バズってます。

おはこんばちわ。

飯塚です。

2018年秋に引っ越してきたこの家。
広い庭で夫がどうしてもやりたかったことがいくつかありました。
野菜や果物栽培、鶏を飼う、そして養蜂。

今日は我が家の庭の片隅に鎮座する蜂の巣箱の話です。

人々を創作に駆り立てた2020ロックダウン。

3月から5月のコロナのロックダウン中、急に暇を持て余したアイリッシュはベーキングを始めました。

この間、小麦粉の売り上げは通常の20倍。
一時期、スーパー棚からベーキングパウダーなどが消えました。
また、多くの人が家のメンテナンスやガーデニングなどにも精を出しました。
ガーデンセンターはしばらく閉店を余儀なくされましたが、我が家の近所のスーパーでは急遽ペンキやコンポスト、野菜の種などの販売を始めたのです。

我が家も例に漏れず、このロジック通りの生活を送りました。
私はスコーンや手打ちうどんにハマり小麦粉大量消費に加担した内の一人です。

手打ちうどん。最近作ってないなぁ。やっぱりこの歯応えはこちらの市販うどんとは全然違います。

ガレージに篭る様子はまるで鶴の恩返し。

夫は初めの頃は庭のガーデンテーブル作りや庭仕事に明け暮れ、それが落ち着くとガレージに篭りはじめました。

蜂の巣箱作りを始めたのです。

夫はファーマーズマーケットで寿司屋をやってますが、実は長年ボートの建築業も兼業しており、大工作業はお手のもの。
次々と箱を増やし気付けば大小合わせて完成したのは15個。(私は正直ヤレヤレ、などと思ってましたが)

ペンキ塗る前の巣箱。作る毎に制作時間が短縮化していた。

出来上がった巣箱は我が家の庭や、一階造築部分の屋根の上、あとは複数の友人達の庭に置かせてもらいました。

一階の増築部分に設置した巣箱。ここには蜂は住みつきませんでした。

待つのは苦手な性分です。

置いてからは蜂が住みつくのを待つだけ。
夫はヤキモキしながらあちこち巡回しては「来ないな〜」と不安顔。

一時期蜂が数匹我が家の巣箱を彷徨いていましたが、結局大群は発生せずに何も起こらず。

このまま、夏前にどの巣箱にも蜂が自然に住みついてくれないと、蜂を買わないといけないようです。
という訳で、夫は蜂の大群を待ち焦がれていました。

ちょっと時間があるとあちこちの巣箱を偵察に出かける日々。

待つのは苦痛。

私ら夫婦揃って短気です。

そんな中、庭の片隅に置かれた巣箱には、連日蜂が数匹巣箱の周りを飛び回り始めました。

彼らは新居の調査隊。
今の住まいが手狭になり居心地の良い新居を探しているのです。

自然の奇跡は突然訪れ、一瞬にして終わる。

6月某日、晴れた日の昼前、夫は長男と庭の片隅でキッチンの拡張工事をしていました。

私は次男と近場を散歩。
家の前まで戻るのとすれ違いで夫は長男を連れて車で出かけて行きました。

それから約3分も経たないタイミングでお隣さんから電話がかかってきました。

彼女の声、いつもと様子が違います。

「ねぇ!今どこにいる?庭が凄いわよ!蜂の大群が庭の空中にいるんだけど!」

「もう今家の前につくよ。蜂たくさんいるの?そうなの、最近けっこう飛んでるんだよね」

「違うわよ!最近いたのはわかってるけど、今のは大群なの。数も音も凄いのよ!とにかく普通じゃないから!!今すぐ戻って来て!!」

駆け足で家の前に着くと彼女は興奮気味にスマホ片手に我が家の前に待ち構えています。

え、なんでこんなにソワソワしてるの?
だって夫はつい先程まで庭にいたばかりなのに。

半信半疑で鍵を開けて庭へ。

ドアを開けた瞬間、空にはブズズズ…音と共に無数の蜂の大群が!

子供の声が若干邪魔して少々お聞き苦しいですが、ブズズズ音は蜂達生バズり。また小鳥のさえずりも聞こえます。
この生垣隣が電話をかけてくれたお隣さんです。

巣箱を見るとびっしりと蜂が何層にもなってぐるぐると小さな巣穴に入ろうとへばりついています。

大きい巣箱の上に小さい巣箱を重ね置きしてます。突然大群で引っ越してきて我先へと入りたいらしい。

空は見たことがない数の蜂達が飛び回っています。

黒いポツポツは全て蜂。写真だと圧巻感が伝わりにくいけど。

うわー!
これが噂に聞いてたやつか!

「これって蜂のお引越しなの?」
お隣さんも興奮して写真を撮ります。

「そのはず!でも突然なのね、だってさっきまでクリスは庭で作業してたんだよ。あ、電話しなきゃ!」

夫にすかさず電話。
「ちょっと!今どこ?蜂の大群が来たよ!今すぐ帰って来なよ!」

この瞬間を待っていた夫はすぐに帰って来ました。

子供達も大興奮。
蜂の大群に恐れる様子もなく巣箱を見ています。

このお引越し大騒動、時間にして約10分くらい。
この数分後には、蜂達の大騒動はかなり収まり静かになったのです。

お隣さんが電話をかけてくれなければ、自然の奇跡的な瞬間を家族全員で見逃していた可能性大。

あー、本当に見られて良かった!

なんとお隣さんの旦那様は当時家でオンラインミーティングをしていたようですが、奥さん(私に電話をかけてくれた女性)が無理やりミーティングを途中で退席させて蜂のお引っ越しを見せていたようです。

一生のうちでこの瞬間を目の当たりにするのは確かに貴重です。

我が家の砂糖の消費量がとんでもない理由。

蜂達はその日以来、この巣箱を住処にしたのです。

その日以来、我が家の庭は蜜蜂ファースト。

庭にはワイルドフラワーも植えていましたが、芝生に咲いた花も保護するという目的で芝生は刈らずに草ボーボー状態が続きました。

住み着いてから数週間後に夫は巣箱内に女王蜂の存在を確認。

女王蜂がいることではちみつ採取が可能になります。
とりあえず、めでたし、めでたし。

こちらが勝手に期待していたはちみつは年内には採れないようで、来年夏以降には最初のはちみつ採取が出来るそう。

また、今現在もそうですが、特に花がない冬の間は巣箱内に砂糖水を切らさずに置いておかねばなりません。

冬の間、巣箱一つにつき、砂糖10キロを消費するのだそう。蜂さん達がこの砂糖水を巣箱内ではちみつに変えてくれるのです。

実はもう一つ義理両親の家の庭に設置した巣箱にも蜂達が住み着きました。
というわけで、ここ最近は砂糖を爆買いしている我が家です。

作業服。右手の道具で煙を出して蜂達の攻撃を防ぎます。
父の作業を見守る息子1号、2号。怖いもの知らずな男児達。
カメラをズームしました。

巣箱は冬季男子禁制です。

夏の間は働いていたオス蜂には悲しい運命が待ち構えています。

蜂蜜の生産が出来ないオス蜂は冬を前に巣箱を追い払われ、中には入れてもらえないのです。

文字通り、お払い箱となってしまったオス蜂を狙ってwasp(日本のよりはかなり小型のスズメバチ系の蜂)が巣箱前で待ち構えて食べてしまいます。

鳥やスズメバチに襲われなくても寒い冬を外でサバイブできる術もありません。

越冬できないという悲しい運命を背負ったオス蜂達。

蜂の世界は残酷すぎるほど完全女性上位社会。

自然の営みの一つとはいえ、なんとも言えない気持ちになります。

私たちは自然を生で学んでます。

我が家の2歳児は、たびたび巣箱を叩いたり触ったりするので、怒った蜂に刺されたりしています。

一応、痛いようで泣いたりしますが翌日も触るので、本当は大したことないようでもはや母も心配していません。

またすでに、ミツバチとクマバチの違いを見極めて、御近所さんにも

「This is Honey bee. It’s not a bumblebee. 」
これはミツバチ、クマバチじゃないよ。

などと言い、2歳児でいろいろ知っているのねー!と感心されました。

また、先日6歳になった長男も蜜蜂のメカニズムを随分熟知していますし、蜜蜂を見ると

「これはオス蜂だから刺さないし大丈夫」

などと言っています。

もちろん私もここで書いたほとんど全てはこの数ヶ月で知ったことばかり。
偉そうに蜂のことを語ったフリしてますが、蜂の世界はまだまだ奥深そうでこれからも数年がかりで、知識を得られそうです。

また、はちみつは我が家でも日頃からかなり消費しているので、来年のはちみつ採取は今から楽しみです。

西果て便り

(毎週木曜日更新)
世界放浪の後にヨーロッパの西端アイルランドに辿り着く。海辺の村アイリッシュの夫、と3人の子供達(息子二人、娘一人)と暮らしています。