田舎小僧にとってSuper coolなこと。
8月ですね。
日本は梅雨も明け学校は夏休みに入ったんですよね?
アイルランドはすでに7月下旬から既に秋の気配を感じています(涙)。
いや、気づかないフリを必死でしていましたが、もう限界だ。
晴れていても空気はひんやり。夏が過ぎ去ったことを認めざるを得ません。
というより、大して暑くもならないから夏があったかどうかすら微妙ですけど。
ある意味通常営業の夏ではあります。
日本はお盆休みを前に、おそらく多くの方が本当は海外旅行をするはずだったのに…。一体いつになれば自由に旅に出られるのだろう。
と嘆いてる事と思います。
一方、在外邦人にとっては日本に帰れない夏となりました。
子供がいる家庭は夏休みは長期で日本に帰る人がほとんどです。
いつになれば帰国出来るのか、いつ家族に会えるのか、不満と不安を抱えている状況です。
私自身、この夏は2人の息子達を日本に連れて行くつもりでした。
5歳と2歳の男児2人連れでトランジット含め約20時間の空の旅はで苦行ではありますが、アイルランドでは経験できない事がたくさんある日本の夏を楽しみにしていたのです。
5歳児はアイルランドにはいない蝉やカブトムシを捕まえたい(ちなみにこちらには蚊もいないしゴキも見た事ありません)。
花火大会に行きたい(基本的に個人の花火は法律で禁じられています)。
かき氷を食べさせたい。
お祭りに行きたい。
それが叶わなくなった長い夏休み、というより長すぎる子供達と過ごす日々。
3月中旬のロックダウン以降は学校休校だったのですからさすがにネタも尽きてました。
そんな中、7月某日。普段は通る事ない道をドライブ中、鉄道の線路を通りました。
5歳の長男は線路や駅をしきりに気にしています。
「ここに電車があるの?」
田舎暮らし、車社会で生活する息子はそれまで自分の生活圏に電車がある事すら知らなかったのです。
たまたま運良く駅のホームには1時間に一本だけの電車が停車中。
「駅に電車あるよ、みたい?」
「見たい!見たい!」
車を駅に停め、子供達を急かしてホームに走ります。
無人駅で改札もないため自由にホームに入れます。
5歳の長男は前回日本に帰国した際に山手線にも新幹線にも乗りましたが、もう一年半以上前の事なので記憶がうろ覚え。
アイルランドで初めて見る電車に2歳の弟と大興奮。
電車はあと3分で発車。
子供達と電車の中に入って歩いてまたホームに出たり。
当然、他の乗客には不審な目で見られるので2回だけで終了。
あとは発車までホームのベンチで電車を眺めるのみ。
「これに乗ってどこか行きたいな」
やっぱり、そうなるわな。
いつも行くスーパーのレジのお姉さんが電車に乗りました。
彼女は電車の窓から、電車を眺める子供達を不思議そうに見ています。
まだ、十代の彼女はシティに電車で行くのでしょう。車の運転をしない人は家族に駅まで送ってもらって電車でシティに行くのです。実は私自身も運転できない頃はよく電車を利用していました。
ふふふ、彼女には子供達がただ電車を見に来ただけだなんて理解できるかな。
発車時間、扉は閉まり電車は行ってしまいました。
駅はガランと静かになりました。
あと1時間近く電車は来ません。
誰もいないホームを子供達は走り回ります。
長男は反対側のホームに行く陸橋を見つけました。
「あそこ歩けるの?」
しかも、階段横にはエレベーター(こちらではLiftと言います)まであるじゃないか!!
ボタンを押して、待つ事数秒。
扉が開くと興奮気味に弟と乗り込みます。
「Lift is super cool!!」
エレベーター、最高!!
いや、これ、たった一階しか動かないし、動きはスロー過ぎますけどね。
扉が開き、橋の上の階へ。
今度は階段を降り、反対側のホームへ。さっきまで自分達がいたホームを眺める。
「マミー、駅って面白いね!」
そぉかぁ?何もないよ、ここ。
売店すらコロナの影響で閉店してるし。
でも、そういうものなんだな。
彼らの日常にはない物、駅とエレベーター。
例えそれが大人にとっては大したものでなくても関係ない。
子供にとっては
Super cool
ということらしい。
私自身はそこそこ都会育ちのため彼らのこの感覚など経験したことはあまりなく、この喜び振りは新鮮で思わずキュンときてしまいました。
この小僧達、もっと大きくなったら涼しい顔して駅やエレベーターを利用するんですもんね(このままのテンションだったらある意味問題だけど)。
この後、田舎の小僧達はエレベーターに5回乗り込み、陸橋をまた渡り続け、ホームを走り回り、かれこれ30分近く駅で過ごしました。
なかなか帰りたがらないので、家でアイスクリーム食べるよ!と、いつもの技を使いなんとか車に乗り込みました。
帰りの車中、
「マミー、電車乗りたいよ!」
よし、日本で電車乗れなくなったことだし、アイルランドで鉄道体験するか。
まだ、夏休みですから。
次週へ続く。