準備と報酬。
お互い忙しくて、とても久しぶりにSAKRAJP火曜日担当のニホンコンに会いました。
韓国語レッスンをするための2/3の時間はだいたいが、近況報告からのそれぞれの仕事の話やこどもの話になるのが常。
「ニュース番組の企画で中華圏の人たちへのインタビューがあって、通訳をしたんだけどね。世界中にファンのいる日本のアーティストについてのインタビューで、シンガポールとかマレーシアのファンの人たちにオンラインで話を聞くってやつだったんだけれど、依頼からインタビューまでの時間がほとんどなくて。とはいえ、準備はしておかないといけないから、そのアーティストの曲を片っ端から聞き直して、今までのインタビューや資料を読み漁って、関連する単語で出てきそなものをチェックして。オンラインのインタビュー時間は、それぞれ1時間ずつくらいだったんだけれど、久々にめちゃくちゃ集中したよ〜。」
中国語の先生でもあるニホンコンは、その昔、音楽業界でも仕事をしていた人。アドレナリンを大量に放出しながら準備をしていた様子が手に取るようにわかる。最後は達成感があった?
「短いコーナーの中で、英語圏の人たちにも別にインタビューをしているから、私が通訳した部分で放送されたのはほんの数分っていう単位。でも、限られた時間でめいいっぱい準備したから、まぁ、よくやったかな」

そうだよね。準備の時間に比べると、そこからアウトプットされる放送や原稿になるのはほんの一部ということも多い。でも、何かと何か、誰かと誰かを橋渡しする通訳の役割としては、お互いの話したいことや思いをせいっぱい想像して、その上で正確に伝えなければいけないから、だいたいで準備をするわけにはいかない。
「そういえば、こないだ出た雑誌も取材前にすごく準備していたよね。あれ、どうなった?」
旅の記事がメインではあるけれど、その場所の歴史にも少しだけ触れて欲しいというリクエストを編集の方から頂いていたお仕事。その雑誌の読者層を考え、自分の知っているお店の他にも現地の人たちのブログを読み込み、現地の友人においしい店や好きな場所を聞き。YouTubeにあがっているVlogやロケ番組を見て、ここは間違いなさそうだという場所をリサーチして提案する作業とは、また一味違う準備がいる機会だった。
原稿の文字数は限られている。楽しい旅の記事の中で、その歴史にどう触れたら良いか。答えがわからぬまま、本を買い込み、年表を作り、映像の資料を見ながらメモをとって、折に触れてまとめたノートを見返し、自分の考えも追記をしていった。
取材の旅に出ている間も、その歴史をどんな言葉でどんな風に表現するのか。頭の片隅にその宿題を置きながら街を歩く。タクシーの運転手さんと話をしているタイミングで思いがけず、目の前にそのテーマが飛び出してきたり。そんなことを繰り返しながら、その土地で時間を過ごした。
旅で訪れた様々な場所についての情報を文章の中に織り込むのも外せないポイントだから、歴史について触れることについてあまり文字数を割くことができない。あぁでもない、こうでもないと何度も書き直し、最終的には250文字の中に、土地の持つ歴史に触れることとその場所に訪れた気持ちをまとめることになった。他にたくさんの表現方法があったであろうし、もっともっと違う準備もできたのかもしれない。でも現時点での自分の答えが形になったものが、記事を読んでくださる方々の元に旅立っていった。

「최선을 다하다(チェソヌル タ ハダ)」という言葉がある。日本語にすると最善を尽くすという意味になる。
韓国のバラエティやアーティストのインタビューを見ていると、この言葉を耳にする機会が本当に多いのだ。自分が最善を尽くせなかったなぁと思う瞬間が多いから、この言葉が耳に入ってくるのか、韓国の人々がこの言葉を口にする回数が本当に多いからなのか、その両方かもしれないけれど、韓国語を学び始めてから、何かの仕事やイベントごとが終わるといつも、はたして今回は最善を尽くせたのかどうなのかが気になるようになった。
今回は、最善を尽くせたのかな。最善を尽くせてはいなかったかもしれないな。最善を尽くしたなと思えることもあれば、そうでなかった時ももちろんたくさんある。最善を尽くしたいと思っていても、体調やらタイミングで、どうにも心をそっちの方向に動かせなかったなという時もある。
「準備に見合う対価があるかないか、その時々で違うけれど、結局仕事の報酬ってさ、次の仕事だよね。」
ニホンコンの一言うなづく。仕事の報酬は仕事。確かになぁ。いい仕事をすれば、また次に続く。最善を尽くせば、また次に続く。仕事だけではなく、人間関係も同じかもしれない。

「やっとあったかくなってきたね。お互いに、日々おつかれさま。」
ポンポンとハグをし、手を振る。
花粉も飛んでいますが、コートのいらない季節、嬉しいですね。
今週も一週間おつかれさまでした。よい週末をお過ごしくださいませ。