「Black box diaries 」を観ました。

おはこんばんちは。飯塚です。

まだまだ寒いけれど、日照時間の長さを感じ「春が来たなー」と気持ちも上がる今日この頃。

我が家のアーモンドの木の花も咲きました。(表紙写真。アーモンドは桜の仲間なんだそう)

やっぱり冬からの脱却は喜ばしい、の一言に尽きます。

先日散歩に行ったらワイルドガーリック出始めてました。月末にわさっと採る予定。

ジャニーズ報道もBBCが先行報道していたし。

先日、アカデミー賞受賞式がありましたね。

前年はアイルランドの俳優や映画会社が賞レースにかなり絡んでいた事もあり国内の盛り上がりが大きかったので、今年はアイルランドではあまり話題にはならなくて。

日本では映画会社に勤務していた私、アカデミー賞はなんとなく気になるイベントです。

オリンピックやサッカーのワールドカップは一ミリも関心ないけれど、映画の賞レースはなんとなくチェックしてしまう。

日本ではマスコミも殆ど報道しなかっただろう、伊藤詩織さんの「Black box diaries 」もドキュメンタリー部門でノミネートされてました。

受賞は逃しましたが、BBCでも

「日本では上映も配信もされない日本人女性のドキュメンタリー」などと報道されてしまいました。

ジャニーズ問題のドキュメンタリーもBBCで配信されたし、もう日本の恥部は海外からこういう形で報道されるのがお馴染みになってきていて恥ずかしい限り。

あの映像を見たら「同意なし」なのは確実なのに。

そんな日本では見られない「Black box diaries 」BBCで観ました。

もうこれ観たら、確実に被害者なんですよね。彼女。

タクシーから立ち上がれなくて山口が抱き抱えてホテルに連れ込む映像が鮮明に残っているので、弁明の余地なし。

で、これ観たら伊藤詩織さんは被害者だし、山口のやり方見てると、「これってこの男が今までもやってきた手口なんだろうなー」と。

飲食店で飲み物に睡眠薬入れて、酩酊させてホテルに連れ込む。たぶん伊藤詩織さんの前にもやって成功体験あるんでしょう。

じゃなきゃあんな手慣れた感じしない。

それまでの女性は山口の「安倍総理のお友達」といったステイタスに怖気づいて告発出来なかっただけですよね?

前科もあるし作戦成功。

若くて美しい女性がまさか反逆なんかするわけがない。

俺様は安倍総理のお友達だからいつも通り女は泣き寝入りする。

その目論見だったはずが、詩織さんは賢くガッツがありすぎた。

それでも伊藤詩織さんが声を上げた際にも、反省するどころか

「やべー、面倒くさい女に手だしちゃったな」

くらいな感覚しかなかったんだろう、とも想像つくし、もっと言えば、安倍総理にも

「山口君、困るよ。もうちょっと上手くやんなさいよ」くらいにしか嗜められてないんだろうな、と思うわけです。

でもなんといっても、安倍総理のお友達という印籠があるわけだし、お得意のもみ消しができるんだ。

と、余裕だったんだろう。

被害者の心の痛みとか、そんなの一ミリも理解するわけない。

更に性被害者に対して日本の世論は厳しい。

「どうせ美人局だろ!」とか「売名行為」と被害者叩きが止まらない日本社会。

男性に限らず女性たちすらも伊藤さんに「恥知らず!」と罵り、ネット上でもセカンドレイプが止まない。

「レイプされたくせに笑ってる」

「被害者なのに、オシャレして楽しそう」

若くて美しく、知性と根性を兼ね備えた詩織さんへのバッシングは止まらない。

嫉妬からなんだろうか。

日本独特のそんな巨大な敵と長い年月をかけて戦い続けた詩織さんの強さには感服しかない。

また最近やっぱり思う、なんで日本だけこんなに被害者を糾弾するの?

性被害は世界中であるけれど、「その後」が厳しすぎる日本社会。

レイプ被害の告発の難しさは、まず被害者の心の傷が深すぎて、声を上げられない。とか、証拠の提出が難しく立件しづらい、などあるのだろう。

密室で他の証言者がいない性被害。

世の中には美人局、は確かにあるし、売名目的で業界内の重鎮とお近づきになりたい、大金を巻き上げられるチャンス、と事件にでっち上げする人がいるのも事実。

そんな中でいかに「性被害」を告発するか。

日本の芸能界のみならず、アメリカのハーヴェイ・ワインステイン問題は複数人が一斉に声を上げたからこそやっと問題になった。

イギリスでも、長年に渡り料理番組などの司会をしていた男性がセクハラで複数人から報告され、テレビ界から姿を消した。

最近ではフランスである女性が夫から睡眠薬を飲まされ、50人余りの男性から何十年もの間レイプされ続けた、というニュースがあり、裁判になった。

性被害に遭った人達が立ち上がり声を上げるべきだ。

私は恥ずかしがるべきではないし隠れる必要はない。加害者が恥を知るべきだ。

と被害者は顔も名前も公表している。

この手の話題が出る度に、被害者に憐れみや慰め、励ましが溢れるヨーロッパの世論。

これが後押しして性被害者が声をあげられるのに。

「Black box diaries 」ドキュメンタリーとしてもとてもクオリティが高いです。

日本人にこそ観られるべき作品だしどこかが上映をさせるべきです。上映できない=山口を擁護、ということですからね。

日本のメディアは今もなお、女性に睡眠薬を盛ってレイプする加害者に加担している、という現実をBBCは報道しています。

また性被害者が前に出られる世論であればいいな、と改めて思います。

西果て便り

(毎週木曜日更新)
世界放浪の後にヨーロッパの西端アイルランドに辿り着く。海辺の村アイリッシュの夫、と3人の子供達(息子二人、娘一人)と暮らしています。