自分の好きなことで。

今年の旧正月は1月29日。台湾の春節に合わせて、家族で日本に戻ってきていた青木由香ちゃんが連絡をくれました。

由香ちゃんは、台北で你好我好という「日本と台湾の良いもの、良い人を紹介するお店」を運営しています。and recipeの近くのドーナツ屋さん・ハリッツで1月29日から2月8日まで行なっている台灣ウィークのイベントで登場する台湾の味のスペシャルドーナツの監修をしていること、由香ちゃんの運営している「香香台灣」というブランドのお茶が販売されるとのことで、ハリッツに寄ったあとお昼を食べようと、思い立って連絡をくれたのでした。

由香ちゃんに会うのはいつぶりだろう。何かあれば連絡はとっているものの、顔を見ておしゃべりをしたのは2年ぶりくらいだったのかもしれない。別々の用事でソウルに来ていて、友人の家で合流したのと、浅草で行っていたイベントに来てくれてちょっと話した時と。その後は多分、会えていない。

「携帯を新しく買ったのだけれどデータの移行がうまくいかなくて。
 容量の問題かなと思って移動の間、写真をずーっと消しながら来た」

そういって、手に携帯を2台持ち、ポチポチ操作している由香ちゃんを見て笑ってしまう。由香ちゃんはいつも忙しい。

あれやこれやお互いの近況報告をしているうちに、子どもたちの話に。台湾の教育事情を聞いて驚く。ゆったりのんびりした台湾の空気とは裏腹に、小学生の毎日の宿題は7個も出るのだとか。みんな学校帰りの塾で宿題をやるか、親が一緒に宿題を見るという日は夜遅くまでかかるよう。日本より、もっと勉強についての圧迫感が強いように聞こえます。

子どもたちに好きなことを見つけて欲しい。
台湾でも日本でも。親の思いは同じ。そのために親ができるサポートは、こどもたちが自由な選択ができる環境を整えること。由香ちゃんは海外も視野に入れ、実際に息子さんと一緒に足を運んでいるようです。

「うちは音楽が好きで、吹奏楽部と軽音楽部を掛け持ちして音楽にどっぷり浸ってる。大学も芸術の方面に行きたいみたい」

「いいね。勉強ばっかりで苦しむんじゃなくてさ、自分の好きなことで苦しんでほしいよね。」

その一言にはっとして、メモを取り出し「自分の好きなことで苦しんでほしい」と書いていると、目の前で由香ちゃんが笑っています。どちらかというと、好きなことで生きている方の母親たち。もちろん簡単なことばかりではない。好きなことを続けるためには、回り回って勉強をしなければならないことがどっさり降ってくることもある。でもなんのためにする勉強なのか、自分が明確にわかっている状態で向かう勉強は楽しい。苦しい部分も含めてまるごと。

쉽지 않다(シプチアンタ)。簡単じゃない、という韓国語がふと浮かぶ。
簡単ではない、けれど好きなことが見つかることは幸せなこと。好きなことがひとつ見つかったとしても、成長していく過程でそれが変わっていくことだってあるだろう。

台湾で育つこどもも日本で育つこどもも。好きなことにたくさん出会えますように。苦しいと思えるほど好きなことは、それだけ真摯にその好きなことに挑んでいるということ。こどもたちだけじゃなく大人のわたしたちも、苦しいと思えるほど好きなことにこれからも出会っていけるといいよね。

「次はまた、世界のどこかで会いましょう!」

台湾にも行きたいけれど、韓国で会う可能性のほうが高そうだ。別の国で偶然ばったり会うのもウェルカム。

春節のお休み、満喫してもらえますように。
原稿や展示の準備でどたばたな1週間の、束の間のご褒美のような訪問でした。

新年快樂!そして、生日快樂!由香ちゃん。充実した1年をすごしてくださいね。

あっという間に終わりそうだと思っていた1月が予想通り、風のように過ぎていきました。こんな感じでやっぱりあっという間に2025年の12月を迎えるのかなぁ。

みなさま、今週も1週間おつかれさまでした。好きなことをして過ごす週末でありますように。

こいけはなえの気になるもの。

(毎週土曜日更新)
マネージメントを中心に料理家と一緒にand recipeという会社をやってます。とにかく旅が好き。

HPはこちら