ヨーロッパ家族旅行。
メリークリスマス。飯塚です。
クリスマスは無事に終わりました。
朝サンタさんからプレゼントをもらい、夫の実家でクリスマスディナーをいただきプレゼント交換をする。
毎年同じ流れです。
今年はクリスマス直前に一週間家族旅行をしてプレゼントの買い出しもバタバタになりました。
ドイツに従姉妹がいます。
実はドイツのフランクフルトに同い年の従姉妹が住んでおります。
彼女はもうドイツに住んで20年以上。アイルランドには私の結婚式含めて三回ほど来てくれた事があり息子1号はすぐに彼女に懐き、私も彼女が来ると夜中まで話し込んで楽しい時間を過ごせて。
最後に会えたのはコロナ直前の年末年始。私がおせち料理を作るきっかけになったのは従姉妹と彼女のドイツ人彼氏マティアスさんがお正月に宿泊していたから。
あれから5年経ち我が家も家族が更に増えたけれど、特に息子1号が、
「智子ちゃんに会いたい!ドイツに行きたい!」
と切望し続けている。毎年クリスマスプレゼントも送ってもらい、子供達からすれば「サンタクロース的存在」だったりもする彼女。
子供達の願いをそろそろかなえてもいいかも、と昨年から「来年はドイツのクリスマスマーケットに行こう」と話していた。
最寄り空港からフランクフルト直行便は夏しかない。もっというと、ドイツ行きの飛行機はダブリンからしかない。バスや車で片道4時間かけてダブリン空港行くのが大嫌いな我が家。
何としても、近場の空港から行きたいのだ。
というわけで、出て来た案が直行便があるブリュッセルに飛び、電車でフランクフルトに行き、電車でアムステルダムに行きアムステルダムから帰ってくる。
早めに飛行機と宿も押さえ、従姉妹にも連絡した。
私は2012年にフランクフルトに、ブリュッセルは20年以上前に弟が住んでいて訪ねたこともあり、アムステルダムもアイルランドと日本の乗り換えで一度きたことがある。夫はアムステルダムだけ来たことがあったので他二ヶ所は初めて。
春のロンドン旅行が心底楽しかったらしい息子2号はほぼ毎日のように「旅行が楽しみだ」と夢みるような表情で話す。
期待値高いな。大丈夫か。
移動が多い旅は子連れ向きではない、から。
夏の旅行をお預けにした代わりに行く冬のクリスマスマーケット。ママ友と旅行話にでもなれば
「ブリュッセル、フランクフルト、アムステルダムに行くの」
とざっくり予定を話す。
しかし、ほとんどの人は
「え?それって夫婦二人で行くんじゃないの?家族全員連れて行くの?」
という反応。
今までも何度も書いたアイルランドの夫婦、家族事情。子供達を自分の親や兄弟に預けて大人だけで旅行に行くの大好き。家族旅行よりむしろそっちの方がウキウキが止まらない。
子供達と行く旅行はキャンプや大きなホテルにプールや遊び場、レストランもついているオールインクルーシブ型に滞在するのが主流。
という事もあり、我々のプランを話す度に
「へー、すごいわね」と、あまり羨ましがられなかったり。
ま、あれは正しい反応だなぁと旅に出てすぐに気づいた。
10歳児6歳児はともかく、3歳児は確かに我慢もできないし動き回るし無謀なのかもしれない。
我々はツアーコンダクター
家族旅行のコツ、それは親が「我々は添乗員、ツアコンなのだ」と自覚し子供達を楽しませる事に徹する事、と改めて痛感させられた今回。
子供達が快適に、楽しく、好きな事をする。
仮に「アタイが好きな事や行きたいところ」を優先させても幼い子供達はすぐに駄々を捏ね暴れたり、扱いずらくなるだけ。
言い方は良くないけれどはっきり言って家族サービスだしお子様接待。
もうこうなったら言い方良くなくてもいいんだよ。
徹しろ。
お客様を喜ばせろ。
お金もらえないどころか出費だけど。
アイルランドより寒そうなヨーロッパ大陸北部。ブラックフライデーセールで子供達の暖かいジャケットと足首までのブーツも購入。
宿も「便利で快適なところ」にし、電車も乗り換えなしで席も予約しておく。
立地第一で選んだブリュッセル、アムステルダムのホテル、中流で贅沢感はなくとも子供達は気に入り、夫も「ロケーション最高!」とお褒めの言葉を頂いた。
歩き回って疲れてもすぐに帰ってこれるし、お腹空いてもお店はホテルの周りにいくつもある。
子供達は夜しっかり眠り朝ごはんももりもりと食べて気持ちよく滞在できたのは良かった。
旅早々に出鼻を挫かれる。
ブリュッセル行きの飛行機、予定通りに飛んだのに。
まず、到着してバスに乗る前にトイレを探して飲み物買っていたらバス乗り場が異常に混んでいて。
チケット発券機はなぜか全て壊れていて、並びながらオンラインでチケット買わなければならない。バスに乗るまで1時間以上並ぶ羽目に。
更に並んでいる間に夕方のラッシュアワーとなり渋滞に巻き込まれ通常50分の道のりが1時間半もかかる。しかもバスは予定地までいってくれず、かなり手前の郊外の駅で
「はい、おりてー」
と停車、ドアが開く。
バスの中でそのアナウンスが一切なく、大半の乗客は
「ここは途中の停車地だ」
と勘違いしたほど。
怒った乗客がスタッフに詰め寄るも
「いや、会社が決めた事なんでここから電車乗って。払い戻し?オンラインか電話で会社にクレーム入れてくれる?俺には何もできないから」
さすがだなぁ。謝罪らしき文言や「申し訳なさ」など微塵もなくて呆れる。日本でこんな横柄なスタッフいない、アイルランドもこんな酷くない。
全員訳もわからず地下鉄に向かう。空腹の中で30分くらいかけてやっと最寄りの駅に到着。
ナビに頼りながら約5分でホテルに到着。
ホテルのチェックインはブリュッセル空港到着から四時間近く経っていた。
3歳児含めて子供達の忍耐強さに気付ける機会ともなった。よく頑張ったなぁ。
国境を電車で越える事がヨーロッパ旅の醍醐味
子供達は「三国を跨ぐ旅」に大興奮。日本でもアイルランドでもできない体験。
電車も事前にオンラインで乗り換えなしのチケット予約をしておいたのに。
出発の前週に
「ブリュッセルからフランクフルト行きの電車の直行便は途中運行できない箇所ができたためルート変更し乗り換え二回必要です」
という旨のメールが来る。
うわー、なんだよ!めんどくさそー。
チケットは払い戻しをし現地で前日にカウンターで買う事に。
ヨーロッパの電車、乗り心地はなかなか良い。よくわからないままに席につく。
私たちのチケットは席の予約まではしていない。
これが更に面倒な事になるとは。
よっこらしょ。と席についても、その席を予約している人がいれば退けなければならない。
これが何回も続き子供達と途方に暮れたけれど、私達を見かねたドイツ人女性が声を掛けて自分のいる空いている席に呼び子供達を座らせてくれた。
デンマークに行くという彼女、ディーダさんという。
乗り換えも途中まで一緒で、次の電車も私達をわざわざ探しに来てくれ、
「あ!やっと見つけた。私のいる辺りは空いてるから来なさい」などと案内し、一緒に座ることに。
話を聞くとディーダさんも子供が三人おり、旦那様はチリ人。
「子供達連れて旅行は私もよくしたのよ。大変だからあなた達の事が気になってしまったの」
今はお孫さんもいる「先輩お母さん」に娘もすっかり懐いて膝に乗り、道中世間話に花を咲かせる。
「フランクフルトに直行で行きたかったんでしょ。数週間前に事故があってね。不通区域ができて今凄く不便なのよ。昔はドイツの電車といえば時間に正確だったのに今は全然ダメなの。だからドイツ旅行するならこのアプリをスマホに入れるといいわよ。遅延情報が来るから」
などと教えてくれたり、本当に親切で。ディーダさんのおかげでフランクフルト行きの電車旅を乗り切れたと言っても過言ではない。
ちなみにフランクフルトからアムステルダム行きは指定席を取り直行便なので快適な四時間旅でした。
楽しい街歩き。
田舎に住む私達。
自然の中に生きている私達。家の近所にあるのは牧草地と家々。それに比べて都会は街歩きだけで楽しい。
クリスマスシーズン、更に観光地という事もありどこも人でごった返す。
ブリュッセルは日本からの団体ツアー客もいた。
ブリュッセルの石畳の道、歴史的建造物、細い路地。朝は名物のしょんべん小僧、女の子、犬の三部作を探しに歩き、駅に翌日分のチケットを買いに行きひたすらに歩く。
さほど体力がない3歳児と6歳児は昼間はホテルで一休み。
その間に夫は息子1号を連れ出し街歩き。お土産屋や名物チョコレート屋、ベルギーワッフル屋、レストランもある中で日本のアニメのグッズ店がかなりある。
ウィンドウショッピングだけで楽しいのだ。
普段は外食もしない田舎者は初めて食べるあれこれも楽しみ。
ブリュッセルでは息子1号が「うさぎの煮込み」を。クリスマスマーケットでは「ホットアップルジュース」と「エスカルゴの煮込み」を。
またフランクフルトでは「焼肉」アムステルダムでは「ラーメン」「インドネシア料理」を。
見慣れない看板を見るだけでも刺激になる。
とはいえ、ヨーロッパの都会には必ずいるドラッグ中毒やホームレスの存在も無視できない。
ドイツの素敵な邸宅で息抜き
ホテル滞在は落ち着かない3歳児。
フランクフルトの従姉妹宅に着き、やっと大好きなアニメのTVを見られてご機嫌に。
マンションの屋上階、広くてきれいでオシャレで子供達は大興奮。
ソファにゆったり座りTVを全員で観ながらお菓子や日本のリンゴを食べる。
日本人が多いフランクフルト、我が家のために日本の品種のリンゴをわざわざ買ってくれていた。
ドイツ人といえば食事に無頓着なイメージなのにマティアスさんは食べるの大好きでおもてなしが得意。
朝ごはんから賑やかなテーブルに子供達は顔を綻ばせ手作りミートソースパスタ、プルコギまでご馳走に。
この旅で一番美味しかった食事は彼自慢のシュニッツェル(写真撮ってないのが悔やまれる)。
レストラン以上のクオリティで家族全員が完食。
智子ちゃんにすっかり懐いた娘は帰りたくない!!と別れを惜しみ、帰国してからも
「ともこちゃーん、ともこちゃーん」と泣きながら朝方目覚めたり。
マーケットでたくさんプレゼントも買ってもらって嬉しそうな子供達でした。
いつもいつもありがとう。また来ます!
ドイツの冬=クリスマスマーケット
アイルランドも近年は「クリスマスマーケットもどき」はあるけれどやっぱり本場に行かなければ。
ブリュッセルでもクリスマスマーケットを楽しめた私達。
立ち並ぶお店、キラキラした装飾、メリーゴーランド、観覧車。
スパイスの効いた熱いグリューワインを飲みながら露店を見て回るの、ウキウキする。
北ヨーロッパにいると「クリスマスマーケット」の必要性を体感できる。
とにかく暗いし、寒い。冬至辺りは朝9時くらいにやっと明るくなり、4時過ぎには日没。
イルミネーションが必要。華やかなお祭りでもないと気持ちが塞ぐのだ。子供達だって寒くて暗いからって家でじっとしていられない。
しっかりと防寒着着てメリーゴーランドに乗って遊びたい。
というわけで昼間よりは夜が激混みなクリスマスマーケット。
金曜の夜に行ったブリュッセル、土曜の夜のフランクフルトは人がごった返していた。
田舎暮らしな子供達、慣れてない人混みの中ではぐれないように気をつけながらグリューワインをいただく。
人混み嫌いな夫は辟易してしまったけれど。
平日昼間はゆったりして人酔いせずに楽しめる。
グリューワインの買い方、予備知識では知っていた。
「ワインをカップのデポジットで買い、カップが欲しければそのまま持ち帰り、不要ならば返して返金。カップのデザインは毎年変わるのでコレクションしている人もいる」
っての、やってみたかったし、違うデザインのは私も集めて帰りの荷物はやたらとカップばかりになり、夫に
「マグカップを集めにきたみたいな旅行だな」
などと呆れられた。
帰国して知るショッキングなニュース
旅を終えて翌日、金曜日の夜に入ったニュース速報
「ドイツのクリスマスマーケットにBMWが激走。死傷者が多数出る」
あぁ、やっぱりこういうの起こるのか…。
同様の事件は以前もドイツのクリスマスマーケットであったし、ドイツの移民のニュースが絶えないのは内心一番の懸案事項ではあった。
普通に街歩きするには大丈夫だろうけれど、人混みのクリスマスマーケット、更に何かが起きたらパニックになる。
そのために名刺大の紙に夫婦の名前、連絡先、滞在先の名前、住所と電話番号を書いたものを用意し、男児達のポケットに入れさせた。
「何かあってはぐれても、大丈夫。慌てないでお店の人や警察にこれを見せるんだよ。そしたらちゃんと会えるから」
男児達は私の意図など理解していなかったけれど。
ニュース速報を見て、やっと「起こり得たかもしれない非常事態」に言葉を失った。
実際にマーケット周辺には警察はあちこちに待機していたし、100cmくらいの銃を抱えた警察官に男児達は
「うわー、見て!かっこいい!」
なんてはしゃいでいたし、「あれ、本物かな?」などとも平和ボケ丸出しだったのだけど。
マーケットは車避けのガードもあちこちにあり、「テロ対策」はどこもなされているのが見受けられた。
実際の映像を見て、あんな車が来たら逃げるのは不可能だと絶望感に襲われる。
日本で言えば花火大会やお花見に車が激走するようなものだ。
被害者の一人は9歳。うちの子と同じようにマーケットを楽しんでいたはずなのに、そのまま帰らぬ人になるなんて…と胸が痛む。
従姉妹も言う。
「あちこちで移民系のテロのニュースがあるし、やっぱりマーケットに行くのはいつも少し不安ではあるの」
何の不安もなく生活出来ることは本当に幸せだ、という事に気づいていない私達。
もはやヨーロッパでは無視できなくなったテロや移民問題。
これからも旅の度に「緊急連絡先」は子供達に持たせようと改めて思えた。
序盤からずっと我々には早すぎた旅かな、あと二年くらい待つべきだったか、などと夫と揃って話していたり。
というのも3歳児は初めから「帰りたい」モードで街歩きの楽しさはまだない。帰国するのはとにかく嬉しそうでもあった。
6歳児も移動についていけないのと10歳のお兄ちゃんが存分に楽しんでいるのに嫉妬しているのか、割と始終不機嫌になり私たちをてこずらせた。
全部で七泊。無事に帰途についたら家族全員「楽しい休日だったね」と同時に「お疲れ様。無事に帰って来れてよかった」とホッとした。
ひたすらに都会歩きを楽しんだ息子1号は「凄く楽しかった!次もまたどこか行きたい」一方で、不満げな表情をすることも多かった息子2号はどうかな、と気にしていたけれど「楽しかった。帰ってきたくなかった」とまずまずな反応。
我々は「ツアーコンダクター」及第点ってことでいいですかね?
ヨーロッパ各地の言葉や文化の違いを子供のうちから知るのもいい経験。きっと次はもっと楽になっているかな、と願いつつまた来年もどこかに行こう、と話している。
今年一年、家族が健やかで過ごせたことに感謝しつつ来年も元気で頑張っていこう、と思える年の瀬。
今年も、読んでいただきありがとうございました。
良いお年をお迎えください。