秘境で食い倒れてきました
ちょっと秘境を走ろうかと誘われて行ってきました。
島根県浜田市の奥の奥にある弥栄地区へ。山間部に位置し、人口は1,000人ほど。信号がなく、町内の自販機すべてを数えられるという好立地です。
このエリアで開催された「秘境奥島根やさかウルトラマラニック」を走ってきました。距離は100km、山間部にふさわしく富士登山2回分くらいの登りがあります。舗装路のみにしては圧倒的な数字です。
「マラニック」はマラソンとピクニックを掛け合わせた造語で、順位やタイムを気にしない大会です。ここで気にすべきはアップダウン、そして何よりも胃袋の空き容量でした。
開始直後の洗礼
スタートは午前5時。山の朝は肌寒く、気温10℃ちょっと。号砲とともに走って体を温めます。
1時間も走らないうちに、エイドステーションに到着。秘境のエイドはひと味違います。
「かき氷あるよ」
氷水をぶっかけられるような洗礼です。せっかくのお誘いですが、あいまいな笑顔でお断り。さすがに夜明け前に食べるものではありません。
いま食べてしまうと僕はもう走れません。急いで食べると頭がキーンとなるし、ゆっくり食べている間に体が冷えきってしまいます。いずれもバッドエンド。
スタート直後に秘境のポテンシャルを見せつけられ、やや浮き足だったのを見逃してくれるわけもなく、秘境は畳み掛けてきます。
3〜5kmごとに訪れるエイドは感覚的にはわんこそばのごとし。普段のトレイルレースと比べて、3倍ほど多い印象です。とにかく次から次へとエイドがやって来ます。
とにかく食べる
そして到着するたびに、え、なに親戚の家なの?的なおもてなしを受けることに。9時間ほどでけっこう食べました。
フレンチトースト、スムージー、焼き鳥、手まり寿司、ちらし寿司、いぶり飯のおにぎり、チョコポン、トマトジュース、そうめん、じねんじょの味噌汁、そば粉のクレープ、しそゼリー、柿、大学いも、ジャガイモドーナツ、竹筒そうめん、ブルーベリーサイダーとブルーベリージャムのトースト。
とにかく食べ続けたのですが、とりこぼしは多数。こんにゃくの味噌漬けや甘酒、炊き込みご飯なども食べておきたかったです。こんにゃくはカロリーゼロだから補給にならぬ。などと考えてしまいました。理性に邪魔された形です。
というか、こうして振り返ると、かき氷にトライしなかったことも悔やまれます。秘境ハントに来ているのだから、理性を取っ払うべきでした。
東京マラソンの100倍超
それにしても、これだけフードが充実しているのは珍しいイベントです。集落あげてのお祭り的な雰囲気でした。
人口1,000人ほどの地域に100km、65kmの両部門あわせて300人が出場。人口の30%にあたる人が走っていると考えると、それはもう一大イベントです。
都内に換算すると400万人が出場している計算です。東京マラソンの100倍超という規模感。ごちそうを用意してくれたご婦人を含め、スタッフの総数も300人だったそうで、お祭り騒ぎになるのも無理はありません。
走っていると、「どこから来たの?」と頻繁に声をかけられたり、女子中学生から声援を受けたり、ゴール後には記念撮影のオファーをもらったりと、あたたかな大会でした。
コースはというと、平坦なところがほとんどなく、登りか、下りの連続です。トレイルレースに向けたトレーニングにと軽い気持ちで出たものの、思った以上のキツさであったことを記しておきます。
ちなみに大会の翌日に訪れた飲食店「陽気な狩人」で、お土産にでけー肉をいただきました。順位が関係ないとはいえ、トップでゴールしておいてよかったです。