リストひとつ敢行。

おはこんばんちは。飯塚です。

こちらはハロウィン目前。昨年、一昨年と二年連続で日本に帰国していた我々。

アイルランド発祥の一大イベントを三年ぶりにできることもあり子供たちは張り切っております。

町で見かけたカボチャたち。

命は限りあるからこそ。

日々、子供達と話しながら気付かされる事がある。

先日などは10歳児と6歳児が

「なんで永遠の命じゃないんだろう。ずーっと長生きできればいいのに」

などと話していて。

あぁ、永遠の命が欲しいという感覚こそ「子供ならでは」だと思い、一人でくすりと笑ってしまい、後で夫にも

「ねぇ、永遠の命欲しい?」

と問いかけると眉をしかめて

「いや、永遠の命はいやだな。終わりがなければいつか飽きるし疲れるし、命の価値もなくなる」

「だよね。子供達が永遠の命が欲しいって言っててそれ聞きながらたぶん私も子供の頃は同じような事言ってた気がして、大人になるとそんな風には思えないよなぁ、って思ってさ」

などと話してみたり。

「死ぬまでにしたい事」

「死ぬまでに見たいもの」

「死ぬまでに行きたいところ」

こういう概念も「限りがある命」だからこそあるわけで。

かなり昔に観たモンゴルに生きる人のドキュメンタリー。おじいさんの言葉だけをなぜかずっと覚えている。

「死ぬまでに一度でいいから海を見てみたい」

人は自分にないものを欲っする。内陸部に住む人は大海を、海辺に住む人は山からの景色を一度は拝んでみたいだろう。

ちなみにアイルランド人によく言われるのが

「日本人なの?日本は死ぬまでに行きたい国なんだ!」

遠いアジアの中でも日本だけは行きたい、憧れの国だと言われた事は数え切れない。

日本でやってみたいこと、マリオカート!!

アイルランドの首都ダブリンも東京や大阪に比べたら小さな都市。渋谷の交差点の雑踏などかなり惹かれるらしい。

旅に出る前は南米の最南端、世界最果ての地と言われるウスワイアになぜか猛烈に行きたかった。

ついでにいえば、ウスワイアから先の南極大陸も行こうかと思いながら現地のツアー会社の料金を少し調べたりしつつ、諦めた。

「ラテンアメリカ 光と影の詩」という映画が好きすぎて映画の舞台のウスアイア行ったらカジノがドカーンと建ってて興醒め…。
青年が南米を自転車で旅するロードムービーです。ピアソラの音楽がまた素晴らしき。

とはいえ、南米の氷河やイグアスの滝、砂漠、マチュピチュ、アフリカのサファリ、インドのタージマハル、

ニューヨーク、サンフランシスコ、ロンドン、パリ、ローマ、ムンバイ、と存分にみて周った挙句に結婚したので「遊び足りない」感もない。

パタゴニアの氷河
ケニアのサファリの朝は美しかった。アフリカの旅は一生で一度の貴重な体験。
チベット自治区(標高3500mくらい)の空は青い。

あえて言うならスペイン、ポルトガル、後はアイスランドでオーロラみたい、くらい。

先日、まさかの願いが叶いました。

最近、自分自身のSNS活動は控えるようになった。

自分からの発信はあまりしない、それでもニュースを一番早くキャッチできるのはやっぱりSNSが早いと感じる。

例えば鳥山明さんが亡くなった時はニュースフィードが一斉に「ドラゴンボール」で埋まり、英語、日本語、フランス語をはじめとした様々な言語で偉大な作家の逝去を惜しむのがリアルタイムで流れた。

「まさか、鳥山明さん亡くなったの?」

とそのフィードで知ることになる。

で、ある夜、ニュースフィードがオーロラだらけになりました。

イギリス、アイルランドの各地でオーロラ発生していると。

私は娘の寝かしつけが終わりそのままベッドから起き上がるのが面倒で。

ここはアイルランドの南端。まさか、私の家近辺ではオーロラは見られないと思っていたのだ。

ふと、夜10時ちょっと前、夫の電話が鳴る。

友人からだった。

「オーロラ見えるよ!外出てみなよ」

すぐさまジャケットを羽織って出かける私を横目に夫は

「俺はいいや。もう疲れたしベッド行く」

外に出るとかすかに空は明るい。ぼんやりと緑がかっているような。

はぁー、寒い。震えながら家に入る。

10時半、リビングの窓から空を見る。また明るいかな。

外に出るとお隣さんもスマホを持って撮影を試みていた。

夜11じくらい。ぼんやりしてる。

「写真撮る方がきれいに写るのね」などと言いながら何度か撮影ボタンをおす。でもいまいちだった。旧式アイフォンだからなぁ。

あー、やっぱり冷える。

また家に入る。

夜12時、またふと空を見ると赤く染まっている。またスマホを持って外に出る。

先程とは比べられないくらいに空が赤い。

うわー、今が一番いいな。またガウンを着てすぐに外に出る。

緑色のカーテンみたいなのもかかっている。

でもカメラで撮影した方がずっと色が濃い。

すごいな、こんな空を自宅から見られるなんて。アイルランドに来て11年、人生初のオーロラ。

友達が少ないのでSAKRAのグループチャットに写真を載せると、さっそくこの分野のプロ、隔週日曜日のカルロスさんから解説がくる。

「最近の太陽活動は活発です!いま太陽で巨大な台風🌀のようなのがガンガン発生しててですね。強い放射線を撒き散らしてるんです。
普段から太陽で台風みたいなのは起こってるんですけど、今回はかなりデカ目で、元気がいいので放射線もいつもより多めに吹き出してる感じです。」

やっぱり専門家って頼もしい!

あまりに珍しい現象すぎるので久々にfacebookにもInstagramにも写真を載せた。

友人達のコメント、揃いも揃い、

「いいなぁ。死ぬまでに一度は見たい!」

オーロラってやっぱりそういう存在だよね。

これが不意に家の周りに現れるアイルランド、すごいな!

アイスランドに行って見るつもりだったけど、あっちから来てくれて旅費が浮いたのはラッキー(でもアイスランドは行きたい)。

一度も見たことないのに、「別にいいや、疲れてるし」などと言いながらベッドに向かう夫、意味不明だけど。

また見られる時が来るといいなぁ。その時は子供達も起こして見せてあげよう。(夫とは裏腹に子供たちは翌朝ブツクサ文句が止まらなかった)

西果て便り

(毎週木曜日更新)
世界放浪の後にヨーロッパの西端アイルランドに辿り着く。海辺の村アイリッシュの夫、と3人の子供達(息子二人、娘一人)と暮らしています。