アイルランドで会社員をした思い出話。
おはこんばんちは。飯塚です。
日本はまだまだ残暑が厳しいと聞いています。昨年、一昨年と9月末に日本に一時帰国しましたが確かにとても暑くて10月頭でも半袖で生活出来たので驚きました。
加えて会う人会う人が「最近やっと涼しくなってきた」みたいな事を言うのも仰天しました。
いや、どんだけ暑かったのか、って。
それゆえに夏に日本帰国する勇気がないし両親からも「夏には来ない方がいい」と言われ続けている。
今年は秋に一時帰国予定はなく。航空券代の高騰に嘆きながら来年の一時帰国時期を検討しているところです。
ちなみにこちらも最近ずっと暖かくて20℃前後。
毎日快晴。子供達は毎日学校帰りに公園で外遊びを楽しみ、私はひたすら庭のやっつけ仕事に精を出す日々。(表紙の写真は朝ご飯)
時間に追われていて過去を振り返る余裕もなかったけど。
8月末から子供達全員学校や幼稚園に行き始めて。
お隣りさんに
「やっと自分の時間できるじゃない。何年ぶり?」
と聞かれて思わず
「10年ぶりかな?」
などと言ってしまった。息子が10歳だからそのままの年月で答えたけど、違った。
実は息子が2歳の時にアイルランドで11カ月の契約社員で会社員をした事は自分の中でも忘却の彼方だ。
このサイトの代表の山口氏にも何年か前に
「えー、その会社の話書いてよ」
って言われてたのに。彼はその会社の製品が好きだからね、知ってるけどそんな面白い話ないしな、と思いながらやり過ごしていたけど。
というわけで完全に忘れ去る前にアイルランドで会社員をしていた話をしてみよう。
アイルランドの雇用はアメリカ頼り
アイルランドにはGoogle、Facebook 、Amazon、Apple、Dell等のシリコンバレー系や大手保険会社、製薬会社などアメリカ大企業のヨーロッパ支社が揃っている。
というのも法人税を下げて大企業の誘致に成功したから。言語が英語でイギリスがEUから抜けたのも近年は手伝っている。
自社産業が育っているとは言い難いアイルランド、アメリカ企業のおかげで雇用が成り立ち都会は人が集まっていると言っても過言ではない。
そのため、会社がある日突然
「アイルランド支社をたたみます」などとアナウンスする度にトップニュースになり、その会社のエリアはパニックに陥る。
ちなみに先日はAppleの法人税支払いが正式になされていない、とEUとの裁判で負け追徴課税を払うと報道されたばかり。
様々な言語の部署をもつ世界的大企業の雇用はアイリッシュに限らず、英語、フランス語、スペイン語、ドイツ語、ポルトガル語、中国語、トルコ語、ヒンディー語、そして日本語を操る人員が必要なのだ。
という訳で意外にも日本人の需要があるアイルランド。アイルランドで会社員生活をする日本人は珍しくないのです。
経歴詐称はできません。
私も8年前、日本人の友人から「今会社が日本人のスタッフを募集してるから受けてみたら?」との誘いで面接を受ける運びになり履歴書を送った。
会社名は一応伏せますが、A社としておきます。
ちなみにこちらの履歴書はいわゆるワードの書式で職歴を羅列するのみ。写真添付はない。
アメリカのシリコンバレー系のA社、この地域の広大な敷地に支社を構えており、2016年当時は社員6000人とも言われていた。
会社は市内郊外の本社以外にも市内の中心地のビルにもあり私が受ける部署は市内という事だった。
私がいた部署は「日本人向けカスタマーサービス」
世界的企業は時差を利用してこちらの日中に日本の夜の時間にケアをする、という仕組み。
日本人のスタッフが必要とはいえ、上司は英語圏の人で日本人上司はアイルランド支社にはいない。
面接も電話やメールも全て英語だった。
面接の内容は日本にいた時の職業の話。パソコンスキルはどれくらいあるか。
など。
後日面接は受かったと電話連絡があったもののその後はビザの確認と
「大学の正式な卒業証明がないと入社は認められない」などと言われ、実家の両親に卒業証明を送ってもらうなど割と手間がかかった。
卒業証明を送り、他にも必要な書類を全て手配して正式に内定までかなり時間がかかった。
しかも人事なのか総務の方は送った書類を確認していたにもかかわらず、その後三回電話があり
「あの書類頂きましたっけ?」みたいなやり取りがあり
「あれ、この会社大企業だけど全員仕事ができる感じじゃないんだなぁ」と入る前からネガティブな印象を持ったのは今でも覚えている。
いや、忙しい、とか、他にもたくさん内定者いるから、とか、わかるけど。毎回わからなくなっちゃうならば一覧表作ろうよ?とかね、内心突っ込んでました。
私が一番驚いたのは履歴書に書いてある前歴、本当にチェックが入ること。
Background check と言います。
これはたまたま数年後に日本で最後に勤務していた同僚と食事に行った際に教えてもらい判明したのだけど、当時アイルランドのA社から突然会社に電話がかかって来たらしい。
「この人本当に勤務してましたか?」と英語で電話があり総務の人が対応していたよ、などと聞いて仰天させられた。
実は典型的なアメリカ人のノリが苦手です。
志望者の学歴、職歴に偽りがないと最終確認され、晴れて内定。
内定のメールには
「あなたは世界を変えるんだ!」
みたいな文面があり。
これ見て、「よし!私、世界を変えるぞ!!頑張る!」なんて思うほど、私は純粋ではない。
見た瞬間に「うわー」とドン引きし、夫に
「ちょっと、ちょっと見てよ、これ。契約社員ごときに世界を変える!とか言っちゃう会社ヤバすぎだよね⁈」
「あー、典型的アメリカ人な発想すぎる。こういう事言うからアメリカ人は世界で嫌われてんだよ。本当わかってないよな。大袈裟すぎて寒いわ!!」
と捻くれ者夫婦は内定のメールに悪態が止まらなかった。
もちろん仕事が決まった事は嬉しかったけれど。
というわけで、アイルランドでまさかのIT企業勤務をすることに。11カ月の会社員生活が始まったのでした。
次週に続く。