Mostly earth, sometimes space.

水を計る

ども、カルロスです。

地震からの台風3連発。あらためて自然を相手にした時の無力さを感じました。

今回は予警報が行き届いたせいか、大きな被害は比較的少なかったように思いますが、それでも影響を受けた方もいらっしゃるので心配です。私も8/29の鹿児島出張が急遽キャンセルになったりでばたばたしましたが…

マイクロ波放射計

技術大国日本には、宇宙技術においてもお家芸と言われる技術がいくつもあります。ロケットの液体燃料エンジン。地球観測衛星だと、Lバンドの合成開口レーダー(波がわかったり、農作物の成長がわかったりするヤツです)などです。

そして、このマイクロ波放射計というのもその一つです。日本では1970年代から開発が始まって、1987年に海洋観測衛星(もも1号)に搭載されて打ち上げられました。これが宇宙初号機。

そこから、ADEOSのAMSR, NASA/AquaのAMSR-E, GCOM-WのAMSR-2と脈々とミッションを繋げています。あ、ちなみに、アメリカの衛星に日本のセンサを載せるとか、その逆とかよくあるのもこの業界の特徴です。We are the world.

さて、このマイクロ波放射計、なにやらごっつい名前のセンサですが、地球の表面からじわじわと出ている(放射している)マイクロ波を大きなアンテナで計るセンサです。地表面からマイクロ波出てるの?感じないんだけど?という方がほとんどだと思います(私も感じませんし)。

例えば、大気中の水分を例にとると、水蒸気や雨で放出しているているマイクロ波が微妙に違うのです。もうちょっと具体的に言うと、ザーザー降っている雨と、まだ雨になって落ちてこないふわふわ雲で浮いている粒の違いがわかるのです。

雪がどれくらい積もっているか(積雪深)、流氷がどれくらいくっついているか(密接度)、海面の温度、雲の温度などなどがわかるのですが、これは地球にある水がどこにどういう状態であるか知る数少ない観測方法の一つで、特に気候変動をよく知るためにはとても重要なのです。

図は9月6日の台風11号ヤギ。この時はベトナムの沿岸ですが、海南島で被害をもたらし、先週末にかけて上陸しベトナム、中国でも深刻な被害になっています。降水量、雨の強さを示していて、台風の中心部は真っ赤ですね。

AMSR-2で観測した台風11号ヤギの降水量    ©JAXA

気になる音楽のコーナー

FLY (feat. Cherish) / Mura Masa

日本人っぽい名前のアーティストですが、イギリスの方です。ちょっと既存のジャンルでは縛りきれない、バキバキしたエレクトロニックな音なのに、ソウルフルなハリのあるボーカル。でもふわっと浮遊感がある感じ、最近よく聞いているのでお裾分けさせてください。

では、またまた。

ほぼほぼ地球 たまたま宇宙

(隔週月曜日更新)
人工衛星で観測される地球のデータをあれこれする仕事をしています。見知らぬ人から、カルロス!と声をかけられることがあります。

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