高みの見物。

おはこんばんちは。飯塚です。

学校が先週始まり、我が家も実は3歳児が幼稚園に行き始めました。

久々に顔を合わせる人々と

「夏はどうだった?」

「夏?夏なんて来てないじゃない。これから来るのかな?」

的なジョークを苦笑いで返すしかないほどアイリッシュは今年の暑くなかった夏に恨み節が止まりません。

日も短くなってきてこれから本格的に秋が来るのが本当に憂鬱。

我が家のビニールハウスのトマトは豊作です。

イギリスの兄弟喧嘩、英王室のウイリアムとハリーだけではない。

90年代、2000年代に世界のロックシーンの頂点にいたイギリス、マンチェスターのロックバンド、Oasis。

ちなみに日本人風にオアシス、と言うとこちらではまるで通じませんので注意が必要です。オ-エィシス、と言いましょう。

ノエルとリアム兄弟の仲違いでバンドが決裂したのは2009年。

毎年新聞でも「そろそろ再結成か」なんて騒がれるほどに世界の音楽ファンが注目していたけれど なんと来年夏に15年ぶりのライブを開催と発表されてこちらは大騒動に。

ライブはロンドン、マンチェスター、カーディフ、エディンバラ、そしてダブリンで17日間の日程が組まれていると。

ネット上もSNSも一斉にOasis一色になり。
そりゃそうだ。

ラジオ局のチケットプレゼントの画像がインスタグラムに一斉にシェアされた数日間。アイルランドに住む日本人、アイリッシュ、みんな行きたいのだ!

私世代で音楽多少好きならば知らない人いない。私の両親はピンと来ないだろうけど、CMに起用された曲もあるし誰しも耳にした事あるはずなんだから。

確実に一時代を築きブリットロックブームを牽引していたグループがまた戻ってくる。

月曜日のニホンコンさんもかつてOasisのライブに行ったらしい。
「いいなー、ダブリンでやるなら、行ける人はぜひ行ってー!」なんてメッセージきたけどさ。

いやいや、そんな気軽なもんじゃない。

チケット争奪戦、当然ながら世界中の音楽ファンの戦いなんだろう。と外野から高みの見物に徹しました。
いゃ〜、参戦しなくて良かった。

「行ける人」=「近くに住む人」ではない。

チケット発売日のニュースはこれ一色。

ニュースのヘッドライン全てOasisでコメントはファンの怒りが炸裂。

「ちょっとチケット買えたら行こうかな」という世界じゃない。
チケット発売元のサイトを開くと50万人待ち、なんだそうだ。

なので正真正銘のファン以外はここで脱落する。
で。なんとしても行きたい人は待つ。

世界中のファンはスマホ、パソコン、iPad、手持ちのデバイスを総動員してアクセスし何時間でも待つ。
たいていの人は待ったまま、チケットが売り切れた。という残酷なお知らせで終了。

奇跡的にチケットが買えるところまで行き着くとチケット一枚€500(63,000円)という脅威の数字が。

この額で諦めざるをえない人も続出。

意を決して購入するにしてもカード情報を入力中にフリーズし、買えない。はい、また初めからやり直し。また並ばないといけない。

という終わりなき罰ゲームが待ち受けていたという。

仮に私がダブリンに住んでいても行けない。

Oasisのライブは町中華ではない。

伝説のミシュランスターレストラン、惜しくも閉店した名店。世界中のセレブや著名な料理人が集う店が数日復活するようなもの。

コネ、またはウェイティングリストに待てる忍耐力と情熱、経済力、そして強運を持ち合わせる者だけがありつける。

本物のファンで超ラッキーな人が入手できる「ゴールデンチケット」。

夫の友人もこぞって参戦したけれど全員敗戦。ところが私のインスタ上の日本人のフォロワーさんは二人、チケット獲得成功したようです。

すごく嬉しそうではあったけれど、驚異的な価格に嘆いているようでもありました。(会ったことないしお友達ではないので詳細は聞けていない)

UKとアイルランドの17公演のチケット発売、1400万人がウェブにアクセスし140万人が購入しました。だそうです。

昔、ライブチケットの価格は定価でしたよね。

今のチケットシステム知らなかった。

何やらチケット代というのは「定額」ではなくいわゆる「時価」みたいな価格変動するようだ。

え?そんな時代になったのですか?いつから?日本もそうなの??

私が独身時代にライブや芝居を盛んに観ていた時は違ってましたよ。

今回のチケット価格、例えばハイシーズンの航空券やホテル代が閑散時の何倍もするのと同じロジック。

検索件数(需要)が上がるのに比例して価格は釣り上がり、事前にアナウンスされていた3倍の値段になってしまう。

というわけで、チケットはソールドアウトしたものの、買えた人も「買うのに何時間もかかったし、チケットが尋常ではなく高額過ぎる!!」と嘆き、予約していた別の旅行などをキャンセルせざるをえなかったり。

「Oasisって労働者階級のバンドでしたよね?!で、この価格はないだろうよ?!」

とチケットを買えなかった人も怒りが収まらずニュースのコメントはどこも紛糾。

かつて、チケットオフィスに徹夜して並んだ時代の方が遥かにマシだ!と誰もが嘆く。

便利なはずのオンライン発売。でもこれで幸せそうな人が見当たらないのはなぜ?

新聞もファンの怒りのインタビューや元Oasisメンバーのコメント、ノエルとリアムの私生活を報じたり(離婚で資金が必要だからライブをするんだろうか的な)。

また、このチケット発売の顛末はニュースに大大的に報じられ政府にも目をつけられて販売会社は調査対象になっている、と報道されています。

で、先ほど追加公演が発表されましたが、先のチケット発売騒動の影響か、違う発売方法(別会社?)で売り出すそうです。

やっぱりみんな大好きなんだな。Oasis。

怒りが収まらないファンの嘆きに、新聞の記事は
Don’t look back in anger (怒りながら振り返らないで)
と、これまたOasis の代表曲で締めていたのがまた皮肉。

このままワールドツアーが発表されるのでは、とも噂されているけれどどうでしょう。

西果て便り

(毎週木曜日更新)
世界放浪の後にヨーロッパの西端アイルランドに辿り着く。海辺の村アイリッシュの夫、と3人の子供達(息子二人、娘一人)と暮らしています。