始めよう、野菜生活。

先週、アイルランドのニュースで野菜や果物を一日7品目は取りましょう、というニュースが流れました。
なるべくシーズンの物を、また食べた事がない新しい野菜も取り入れましょう、と。
ちなみに最近までは一日5品目でした。
こういうニュースを聞く度に、アイルランド、やっぱり食の後進国だよな、とため息ついてしまう極東女。


食育、食文化が豊かな国、日本ではかつて一日30品目摂取と言われていましたよね(今は日本でも一日30品目だとカロリー過剰摂取になるため推奨されてはいないようです。今は14品目くらいらしい)。
かたや食文化などほぼ存在しないこの国にいると、たまに絶望感に襲われるのです。

すみません、今日は愚痴モードです。
確かにこの国、野菜の種類は日本に比べたら少ないです。季節の変化もあまりないので旬の味というのもあまり聞かない。
ただ、EU圏スペイン辺りから新鮮な野菜や果物はかなり入ってきます。
問題なのはほとんどの人に野菜や果物を食べる事が健康的な生活だという意識がないことです。
また、典型的はアイリッシュは食に関して非常に保守的。食べるものはいつも同じで変化を好みません。普段食べない野菜やサラダを生活に取り入れよう、という心境にはなかなかならないでしょう。

夏のお楽しみフルーツ、ドーナツピーチ。白桃みたいな味。しかも安い。スペイン産。真ん中の丸い印が1日野菜と果物を5品目取りましょうのサイン。
庭で採れた野菜。左からビーツ、コールラビ、にんじん。コールラビは甘いブロッコリーの茎みたいな味。皮を剥いて浅漬けやサラダで食べます。
ビーツは真っ赤なのが主流ですが、今年我が家で育てた種類のビーツは切るとこの模様。茹でると色が混ざってしまい薄いピンク色になる。

朗報、豚カツ定食ゼロカロリー論。

アイリッシュの食卓、ロースト料理やシチューだと茹でたブロッコリーやにんじん、キャベツなどが副菜として提供される事が多いです。
サラダや生野菜は元々食べる習慣はありません。
食卓に緑色がないことは珍しくはないのです。
フィッシュ&チップスなどはまさに揚げ物一本勝負。胸焼け必須の一品でございます。

これに比べたら日本の豚カツはダイエットメニューみたいなものです。なんたって大盛り千切りキャベツが揚げ物摂取の罪悪感を相殺してくれるんですから。
ってことでゼロカロリーですよ、豚カツは。

友人と外食した際に私はムール貝を、友人はアンコウのフィッシュ&チップスをオーダー。コールスローは追加オーダーしたはず。

アイリッシュブレックファーストに緑色は邪道!

アイルランドで私の結婚式を挙げる際に日本から両親がきました。
事前に家の食事で何を出そうかと夫の家族と話し合いをしていた時にローストチキンには茹でたブロッコリー、アイリッシュブレックファーストにはサラダを添えていただきたい、と申し出た時の義理父の不愉快極まりない表情は今でも忘れることはできません。

説明しますと、アイリッシュブレックファーストは卵(目玉焼きやスクランブルエッグなど)ソーセージ、ベーコン、グリルしたトマトとマッシュルーム、ブラックプディング(豚の血でできたソーセージ。プディングという名前ですが甘くはない)ホワイトプディング(こちらは血は入ってないオートミールのソーセージ。)ハッシュポテト系のポテト、豆の缶詰めなどのプレートです。

彼ははっきりと「アイリッシュブレックファーストにサラダなんて聞いたことない。サラダを添えたらもうそれはアイリッシュブレックファーストじゃないだろう!」と言い切りました。

結果的にはゲストのためということもあり、要望を受け入れてくれましたけど。
口には出さずとも日本人の健康志向もたいがいにして欲しいという感覚だったんでしょうね。

外国人がテリヤキチキンのお寿司を食べたい、とゴネるのに近い感覚だったのでかもしれません。(ちなみに義理父とは非常に良好な関係です。普段はこんなことは言わないので余計に忘れがたい。)

昔アイルランドに初めて来た時にパブで友人と食べたアイリッシュブレックファースト。カフェやレストランなどではランチタイムの人気メニューの一つです。
ゲストを迎えた時は我が家も張り切って朝から肉祭りなアイリッシュブレックファーストを提供します。焼きトマトの横の黒いのが豚の血でできたソーセージ、ブラックプディング。

ナス?確かにそんな野菜もありましたね。

秋ナスは嫁に食わすな。
一富士二鷹三茄子。

日本人のナス愛はDNAに組み込まれているレベルではないかと思う。
かくいう私もナス大好きです。焼きナスも、ナス を甘辛く炒めたのも、天ぷらも、はさみ揚げも。
アイルランドに来てまもない頃、とあるパーティーのブッフェでナスやパプリカのグリルサラダに出会いました。肉やパスタには目もくれず、ひたすらナスのサラダを食らう極東女。

帰宅して義理の両親に「パーティーの食事どうだった?」と聞かれ、
「良かったです。ナスが特に美味しかった」と答えると、二人揃って
「ナスなんてどうやって食べるの?買ったことない。」
「ナスなんて存在すら忘れてるな」
と驚きの発言が!

別の機会の折に周りのアイリッシュの友人達もナスは買ったことない、食べ方がわからないと言っていたのでこれはアイリッシュスタンダードと見受けられます。

ただ、こちらのナスは大きくて皮が分厚く中身は味がなくて、食感が柔らかくて、早い話しが美味しくないのです。
ある意味人気がないのも仕方ないのは理解できます。我が家は日本のナスの種で育ててます。もう日本のナスを食したらこちらのは食べられません。
夫も日本に来て初めてナスの魅力に気付いたとよく言います。だからこそ国民的人気野菜なのかもしれません。

ナス、にんじん、セロリのグリルサラダ。サイコロ切りした野菜にオリーブオイルと塩を振ってグリルし、茹でたキヌア、フェタチーズと合えます。ドレッシングはバルサミコ酢と醤油、オリーブオイル、塩、胡椒。

ヘルシーライフはファッション。でもそれでいいのだ。

実はこの国、たいていどこのレストランにもベジタリアンメニューはあります。
健康志向の高まりと共にベジタリアン、ビーガンの食品も増えています。
スーパーにもたいてい中近東のフムスやオリーブ、豆腐、サラダのパックなどがあります。
市内のサラダ専門店、ランチタイムいつも混み合ってますし、特に若い女性中心にダイエット志向、健康志向が高い人は意識的に野菜を摂取しているように見受けられます。

学校や幼稚園でもランチボックスはヘルシーな物を持ってくるようにと通達があります(逆に言うとこの通達がないと皆ポテトチップスやチョコバーを持ってきてしまうからなんだけど)。
というのもこの国は肥満率がかなり高く、砂糖の摂取量が特に問題視されているからです。テレビでもドキュメンタリーや特番などよく放映されている昨今。

健康志向とはほど遠かったアイリッシュの食生活は、近年改善されてきてはいるはず。

私も息子二人は出来れば何でも食べて欲しいと願いながら日々暮らしています。
少なくとも庭で野菜を育てて食べることで食育にはなっている。
とりあえず、私自身は1日で野菜、果物、ナッツ類を10品目摂取を心がけています。

市内にある人気パレスチナ料理レストランにて。かなり本格的で美味しい。このプレートはビーガンですが一つ一つ味や食感が違うし満足感も満腹感もあって幸せを感じさせてくれる。これもゼロカロリーだ。
数年前、あるサイトで子供向けの理想のlunchboxと紹介されていた写真。
いくら何でもこれはないわ、と思わず当時FBで愚痴と共にシェアした。
ジャンクなランチに警鐘鳴らしてるんだろうけど、振り切れすぎて怖い。ブロッコリーはおそらく生。ここまでくるとカロリーマイナス?

西果て便り

(毎週木曜日更新)
世界放浪の後にヨーロッパの西端アイルランドに辿り着く。海辺の村アイリッシュの夫、と3人の子供達(息子二人、娘一人)と暮らしています。