5年目。
2020年の6月1日にスタートしたSAKRA.JP。今週、リーダーのぐっさんから「来月から5年目突入です!みなさんいつもありがとう!」とLINEが届く。
SAKRA.JPについているサブタイトルは「気の合う仲間たちの特に役立たない日々のこと」。メンバーのなにげない日常を週に1回ずつ更新している。
なにげない日常とはいえ、こうして土曜日に何かを届けるという場がなかったら、見過ごしてしまっていたような小さな感情や街の匂いなど。思い返すと決してなにげなくない、なにげあるように見えてくる日々。
思えばSAKRA .JPの始まった2020年はコロナ真っ只中。旅に出られなくなった時の透明な箱に閉じ込められたような気分や、再び海外に足を運ぶことができるようになった時の、好きな都市を歩いているだけで気分がよかった大事な1日を、SAKRA .JPがなかったら残すことはできていなかった。カメラを肩からぶら下げて歩くことが恥ずかしくなくなったのも、SAKRA.JPに何かを書くからという自分への口実があってこそ。
5年目かと思いながら、カメラを持って地元の街を歩く。天気予報では、東京の梅雨入りはもう少し先。朝降った雨が少し前に止んだところ。写真を撮るには晴れで、光がきれいなほうが望ましいのだけれど、雨上がりの曇りの日にしかない街の良さもある。
春から夏に移り変わるこの季節に咲く泰山木(タイサンボク)。甘い香りに気づくことができるのは、雨上がりだからこそ。モクレン科モクレン属の常緑高木である泰山木の花が、ひとつだけまっすぐ蕾をふくらませて、花を開かせる準備をしていた。北アメリカが原産だという泰山木は、何万年も前からその姿を変えていない植物だと言われている。高いもので20mにもなるという泰山木の木陰で雨宿りをしていた昔の人たちも、雨の音を聴きながら香り立つこの花の香りをかいでいたかと思うと、なんだか嬉しくなる。
2021年7月にオープンしたnadoya no kaTteというカフェに立ち寄る。毎週末、3日間だけ営業をしているお店。開店当初、素敵な建物だとふらりと入ったことがあったきり。土日に店の近くを通ると、順番待ちの列ができていて、横を通りすぎるだけだった。金曜日の閉店に近い時間だったこともあって、お客さんは店内のテーブル席のひと組だけ。テイクアウトでコーヒーを1杯お願いしようと声をかけると、バリスタの方がコーヒーの好みについて質問を投げかけてくれた。酸味のきつすぎないもので、柑橘系の香りがするものをお願いしたいですという答えに合わせて選んでくださったのは、ETHIOPIA GUJI ANASORAという豆。運ばれてきたコーヒーに添えられていた豆の説明の紙には、GLITCHの文字。GLITCH?もしかして神保町のGLITCHさんと同じ豆ですか?とバリスタの方に訊ねてみる。
「そうなんです。オーナーの方が違うんですが、こちらのコーヒーはGLITCHが監修をさせていただいています。豆はもちろん、ここでもGLITCHのバリスタがコーヒーを入れています。銀座にもお店ができたのはご存知ですか?」
いえいえ、知りませんでした。神保町のお店は海外のお客さんでいっぱいですよね。
「今、一番海外のお客様が多いのは銀座店になって、神保町の方は少し落ち着きました。お店来てくださっていたんですね。ありがとうございます」
ほぼ日さんに行く際に、時々お邪魔していた神保町のGLITCH。およそ3年も、こんなに近くにあったなんて。オープン時、nadoyaさんに来た時にも同じコーヒーを飲んだはずなのに、自分の中で全くつながっていなかったGLITCHのコーヒー。開店の時間は比較的人が少ないですよという情報も教えてもらったので、今度は朝一でカフェラテを飲みに来よう。
近所にあるのにしばらく行っていなかったお店。近くで咲いているのに気づかなかった花。SAKRA.JPを口実にぶらぶらする時間のおかげで、地元の街も新しく見えてくるものがある。そしてまた海外に旅に出て、見たもの感じたことをSAKRA.JPに残していけることも、5年目の大きなたのしみでもある。
メンバーのみんなと実際会うことができるのは、1年に1回あるかないかだけれど、毎日更新される仲間の日常をのぞくことができるのも嬉しいSAKRA.JP。リーダーのぐっさんおつかれさま。いつもありがとう!
そして、読んでくださるみなさまあってこそのSAKRA.JPでございます。本日スタートした5年目のSAKRA.JPも、どうぞよろしくおねがいいたします。