半年間、心配いらずだった訳。
おはこんばんちは。飯塚です。
息子1号の半年間日本滞在記、今日で最終回。
改めて母から送られたメッセージや写真、ビデオを見返す。
たくさんの食卓記録、初詣、クリスマス、東京タワーの観光。
今よりふっくらとした息子の笑顔が楽しい日本の生活を物語る。
帰ってきて一カ月以上経ち、それは昔のような、はたまたついこの間のような不思議な感覚。
「9歳の子が私達と離れて半年間日本で生活する。」
これを言った時、誰もが驚き
「え〜!大丈夫?凄いね!」
と反応する。
しかしこれ、私達は何も凄くないし何もしてないし、むしろ楽になるくらいで。
大変なのはまた数十年ぶりに子育てをする私の両親。
元々は「また日本の小学校の体験入学したい」と言い続けている息子1号をみかねて、
「体験入学もいいけどそれならば半年とか一年通ってみるのはどう?」
との提案でした。
そしてそれは実は以前から夫や息子がなんとなく言っていた「そんな事いつか出来たらいいのにね」みたいな夢みたいな話でもあり。
小学校の校長先生にも手紙を書き、実家に「受け入れ承諾」の連絡があり、それから息子は嬉しさのあまりに会う人全員に「日本行き」を嬉々として伝え、まさにウッキウキモード全開だった。
実際、彼は楽しく健やかに日本の生活ができて。
学校の先生やお友達、バスケのコーチや仲間、いい人達に恵まれていたのは本当にラッキー。
まだ9歳。親元離れての生活、保護者がいなきゃ成り立たない。
でもきっと、子供がこれくらいの年齢が一番いいのかもしれない、などと想像したり。
たいていの事は一人で出来、まだ大人の言う事を聞ける素直さもある。
息子にとっては3歳の時以来の一人っ子生活も満喫できて「甘えっ子」になり、ずいぶんと幸せだったらしい。
もう感謝、しかない。
お勉強みっちりサポート。
日本語は話せるけれど語彙が圧倒的に少ないし読み書きはかなり苦手な息子。
昨年の体験入学の際にやったはずの算数の九九もちょっと忘れかけてたし、漢字なんて三年生のは手付かず。
勉強でかなり遅れをとっていたのは明らか。
学校は楽しいけれど始めの頃は難易度の高い宿題に集中力が続かずにイライラしていたり。
そんな彼におばあちゃんはしっかり寄り添い毎日お勉強に付き合う。
特に漢字は毎日の繰り返しで反復しないと身につかない。テストでできない漢字は再度家で繰り返し練習する。
そんな毎日。
そのおかげで期末のテストでは目標の点数クリア。
日本の学校に編入して一番大切なのは「日本語の勉強についていく」ではなくて「無理難題に見えても毎日やれば出来る」という事の体感だったんだな、と改めて思う。
それをしっかり監督してもらえて本当にありがたい。
先日、日本から届いた荷物に入っていた漢字や算数ドリル。毎日、ではないけれど細々とやっている。
きっとそのうちまた停滞しそうな気もするけれど、好きなマンガを買ったりしながらモチベーションを保つしかない。
4回に及ぶ病院通い
日本にいる半年間で実は何度も病院に行った。
目の痛みを訴えて眼科に行った時は意外にも「ストレス」と診断されたり。
電話ではいつも日本が楽しくて仕方ない、全然アイルランドに帰りたくない、としか言わないけれどやはり家族と離れて寂しかったのかもしれない。
コロナやインフルエンザも蔓延し「学級閉鎖」にもなり、急遽学校に行けなくなった数日間。やっと登校出来そうなタイミングで自身がコロナに罹りまた数日間自宅待機。
極め付けは2月下旬に急性胃腸炎に罹り緊急入院。
結果的には週末だけの滞在で済んだとはいえ、やはり「人の子を預かるプレッシャー」があったので何かあればすぐに病院に連れて行ってくれていた。
アイルランドにいる時は病院のお世話になどほぼならない息子。
日本にいる間は数週間おきに保険証を使う事になるなんて誰が想像しただろう。
「健康そうな子だし預かるのもラクかと想像してたらこんなに病院ばかり行って。もう私なんか一度も風邪も引かなかったわよ!」
なんて電話で嘆いていた。
ゲーム、YouTube断ちの半年間
ニンテンドーSwitchたまにYouTubeなんかも見ていたアイルランド生活から一転。
ゲームなしの生活に挑戦。
TVでやっているアニメはたまに観ていたけれどあとはおじいちゃんおばあちゃんの観る番組を観る生活。
笑点はお気に入り番組になったらしい。
相撲も大好きになったしTVのテロップを読むおかげで漢字もずいぶんと覚えた。
暇な時は「ケン玉」やマジックを練習。Skypeで話すと自慢のケン玉技とマジックを私達に披露する。
土曜日の午前中はバスケットのトレーニング、午後は児童館に遊びに行く。
日曜日はバスケットがあれば午後三時間の練習。
たまに映画も観に連れて行ってもらった。映画のあとは外食もできて都会のお出かけも楽しめて。
年末には昔は我が家で恒例だった「餅つき」をやってもらい、つきたての美味しいお餅を食べたり。
お正月の初詣、節分の豆まきなども体験。
日本の季節行事、体験できて良かったね。
日本でずいぶんふっくらした。
以前にここでも何度か書いているけれど、日本に一時帰国すると私は「冬眠前のクマ」になる。
食べて、食べて、買って、食べて、また食べる。
実は食材自体はアイルランドの方が美味しい物もある。特に肉や乳製品はアイルランドの味に慣れると日本のスーパーの製品は物足りない。
だけれど、アイルランドに「コンビニのスイーツ」はないし、「ミスタードーナツ」を超えるドーナツは存在しない。
お菓子も甘いのもしょっぱいのも色々あって楽しい。
朝ご飯、学校給食、おやつ、夕飯。
全て満腹になるまで平らげたおかげで日本滞在中に体重が5㎏も増えた。
だいたいなんでも「美味しい!」と喜んで食べるし食事も作り甲斐があっただろう。
好物はすき焼き。おじいちゃんのカレー、おばあちゃん手作りのプリンやみかんゼリーも大好き。
アイルランドに戻ってきて
「確かにママのご飯も美味しいね。」
なんて言ってるけれど。
やっぱり日本の食卓が恋しいらしい。
息子がいなくなって、食事をたくさん用意しなくてもよくなって、家も散らからないし静かになっただろう。
孫から若さを吸い取ったおばあちゃん。
宿題を見たり夜一緒に寝たりして面倒見ていた私の母、昨年末に美容室に行った際に
「髪の毛、根元が太くて黒くなってますよ!若返ってますね!」
と驚かれたらしい。
息子から若さを吸い取って元気になれたなら何よりだ。
アイルランドにいた私達はずっと安心して任せられたのも本当に恵まれている。
「受け入れてくれる」人がいなければ絶対に実現出来なかった子離れ。
息子は日本を経つ数週間前はずいぶん気が荒れて毎晩泣いたり落ち着かなかったらしい。
半年間親代わりになってくれたおじいちゃん、おばあちゃんとの別れは耐え難い。
「ねぇ、アイルランドに必ずきてね!絶対だよ!!」
などと毎晩せがみながら泣くのだそうだ。
日本を離れるのが寂しい。アイルランドにいる家族やお友達にも会いたいけれど、しばらく日本には来れなさそうだ、と悶々としていた。
今もたまに日本の生活を懐かしがって寂しそうにする。
特に自分一人であちこち行ける安全な生活。
おじいちゃんおばあちゃんとの落ち着いた暮らし。
学校の先生やお友達。
週末にはやっとボートを出せそう、と夫が言う。
夏の遊びさえ出来れば、こっちのものだ。
アイルランドの暮らしも最高だ、と子供に思わせなければ。
そういえば、今日は私の両親の48回目の結婚記念日だった。
おめでとう、そしてありがとう。
子育てのベテランに可愛い息子を預けられて、本当に我々は幸せ者です。