2024-03-30

済州。

とある媒体の取材で、旅の相棒衛藤キヨコと済州島に来ています。

東門在来市場で食材を買って料理をしたり、宿泊をしている山の方の施設から海を目指して歩いたり。おしゃべりをしながらテクテクテクテク。気づけば7時間以上経っていました。

「この旅は、なんだかついているね。」

旅の初日、釜山で乗り換えが必要だった飛行機。カウンターで「1本前の飛行機も乗っていただけますけれど、いかがいたしますか？」と声をかけてもらったり。タクシーをアプリで呼ぼうとした瞬間に빈차（ピンチャ）のランプがついた空車の中型タクシーと出会えたり。今日で旅は4日目なのですが、どちらからともなく自然にこの言葉が何度も出てくる旅になっていて、いい時間を過ごしているんだなぁと感じています。

今回、街中よりも自然の中でのんびり（時にどたばたと）過ごす時間が多く、長い時間歩いていると匂いの変化が面白いです。

黄色い景色が見えてくると菜の花の香りがしてきて、市場で買ったごま油でさっと炒めたら美味しそうだなと食いしん坊が発動したり。少し歩くと、雨露が朝の光に照らされてゆっくり乾いていく黄緑色の小麦の草の香りがしてきたり。石垣に平屋造の家が並ぶ海を目指す道の中腹の部分では、海風と平野から谷に登ってくる谷風がぶつかって通りの砂埃を撒き散らし、砂の香りがしたり。海が目の前に見える場所に到着、当然潮の匂いがしてくるのかと思っていたら、済州の海がとても綺麗だからなのか、潮くささは皆無。濃い群青と透明なエメラルド海が混ざる潮の流れを見ながら、体いっぱいに空気を吸い込みたくなる。

土砂降りの雨の日もあり、曇りの日もあり。昨日と今日は気持ちよく晴れて、朝の早い時間はウグイスと雀の鳴き声がする。

現在朝7時半。一昨日買ったヘッパン（レトルトのごはん）を温めて、これからおにぎりを握ります。塩はお気に入りのものを日本から持ってきました。昨晩多めに作ったキムチチゲと塩むすびで朝ごはんの予定です。

その前にキヨコが入れてくれたコーヒーと西帰浦の市場で買った金柑でほっと一息。

柑橘類の産地としても有名な済州。市場には様々な柑橘が並びますが、金柑になんとなく惹かれてしまったのは手書きのPOPに書かれていた文字が日本の発音と同じ「낑깡（キンカン）」だったからかもしれません。금귤（クムキュル）とも呼ばれる金柑。お店のお母さんに낑깡（キンカン）、日本語でも呼び名は同じくキンカンですと言ったら、キンカンキンカンと言って笑ってくれました。

普段コーヒーにレモンは入れないし、柑橘とコーヒーを合わせることはなんて思いつかなかったけれど、ほろ苦くて甘酸っぱい金柑を頬張りながらコーヒーを口に含むとこれが意外や意外合うんです。こんな組み合わせも済州ならではかもしれません。