頭に効くデザート。
相変わらず花粉が絶好調ですね。それに加えて東京は、連日吹き荒れる冷たい風。桜の蕾がふくらんできているのに。いつ春らしいあたたかさになるのでしょうか。そういえばお花見って、毎年寒い寒いと言いながら桜を眺めていたりしますね。あぁ、また鼻水。ハックッション。
頭はぼーっ。集中力がぶちぶちと切れる。体力もさることながら、やる気HPがどんどん下がっていく。こりゃいかん。こんな時は充電しないと。とあるイベントの試食会を終えて、神保町ブックセンターに駆け込みました。こういう時は決まってプリン。甘くてほろ苦いプリンを食べると、頭と体がぐんぐん回復するんです。
本に囲まれた席に荷物を置いて、注文に向かう。プリンアラモードにするか、シンプルにプリンとコーヒーにするか。アラモードされたプリンも捨てがたいけれど、今日はシンプルなプリン。神保町ブックセンターのプリンはしっかり固め。生クリームと一緒に口に運んで、口内で白いクリームとカスタードがゆっくり混ざって溶けてゆく時間が至福なのです。
ひとくち食べる度、欽ちゃんの仮装大賞の点数のようにデデッデデデとパワーが溜まっていく。時々鼻をかみつつ、プリンを食べ進める。ぐでたまのようにでろんと力が入らなかった数分前の自分とは違う。プリン充電の回復力。頭もすっきりしてくる。
本の匂いを嗅ぎながら、スプーンですくったプリンを眺めていたら、ベトナムで食べたプリンのことを思い出しました。ハノイで食べたプリンはケムカラメン(Kem caramen)、ホーチミンで食べたプリンはバインフラン(Bánh flan)と表記されていた。北と南で呼び方の違うプリン。ケムにはアイスクリームの意味もある。カラメンはフランス語のCaramelにとても近い。バインは皆様ご存知バインミーのバイン。粉を用いた食べ物につくバイン。南のプリンはその昔、粉が配合されていたのでしょうか。現在のベトナム語の実力では全く歯が立たないけれど、いつの日かホーチミンで直接聞いてみよう。
昨年の12月に訪れたハノイ。おいしいものがたくさんあったのだけれど、デザートが格別でした。チェーは今すぐにでもハノイに飛んで行って食べたいし、1958年から続くアイスクリーム屋さんのケムチャンティエンも捨てがたい。でもなんと言ってもNo.1は、ケムカラメン。ハノイのプリン通りにある「Minci Pudding」のプリンが最高でした。ハノイで一番大きな市場、ドンスンアン市場から歩いて10分ほど。緑の看板が目印のデザート屋さん。Caramen hoa quả(プリンと果物)、Caramen cốt dừa(プリンとココナッツ)などプリンに何かをオンしたアレンジメニューがいくつもあるのだけれど、シンプルなプリン、caramenをまずは食していただきたい。1個8000ドン。日本円で約48円のプリン。翌日リピートしなかったことを今でも後悔している。
フランス統治時代に広まったというプリン。ベトナムのプリンは練乳が入っているのが特徴なのだとか。滑らかなプリンもそれはそれで美味しいのだけれど、ここのプリンは程よい弾力。キャラメルは濃くビターな味。カスタード部分はさらりと淡白で、味・舌触り全てのバランスがちょうどいい。こういうのを毎日食べたくなる味っていうのだろうな。
店の外に目をやると、子供とニケツをしたお父さんが店にバイクで乗り付け、細長い袋に入った20個くらいのプリンをドライブスルーのように受け取ってブーンと去っていきました。
冷蔵庫がこのプリンでいっぱいになっていたら、つらい花粉の時期も快適に乗り越えられるのかもしれない。Minci Puddingが日本にあったら。いや、この時期まるっとベトナムに行ってしまえば、花粉とおさらばできる。
そのためには、目の前のベトナム語。4月のレッスンは、教科書1冊分のテストをしましょうね〜と優しいホン先生から刺激的な一言があった。あぁ、また頭がぼーっとする。プリンで回復したばかりのHPがまた徐々に下がってゆく。
まだまだ花粉が空を舞う週末ですが、お天気は良さそうですね。どうぞみなさま、ゆっくり体力を回復していただけますように。