つらい晴れの日。
朝起きると天気がいい。そして風が強い。
一年の大半は、絶対的に嬉しい晴れ。
しかし、この時期だけはちょっとつらい。
いや、ちょっとではない。だいぶ、つらい。この季節がやってきてしまった。
辛い。からいじゃなくて、つらい。
辛ラーメンの「しん」は、からいの意味の方。
つらいと思いながら、週末の朝、辛ラーメンを茹でる。
同じ字で、つらいともからいとも読む「辛」。HSKの単語帳を復習しているとおもむろに出てきた辛。中国でも発音はxīn=シンだ。「辛」白川静先生の『常用字解』を開く。
「象形。把手のついている大きな針の形。入れ墨をするときに使用する。入れ墨をするときの痛みを辛といい、“つらい、きびしい” の意味となり、その意味を味覚の上に移して“からい”の意味となる」
つらい、元は入れ墨をする時の痛みから来ていたとは。つらい味。痛覚を刺激する味だからからい。辛ラーメンはからくておいしいけれど、鼻水が出る。ただでさえ、鼻水が止まらないのに、鼻水の出る食べ物を食べてしまった。舌が痛い。喉の奥がひりひりする。鼻の下もひりひり。あぁ、涙まで出てきた。
以前勤めていた会社。前のデスクに座っていた先輩が、いつもこの時期になると目がしょぼしょぼとなり、鼻はぐずぐずして、とてもつらそうだったことを思い出す。
「大変そうですね…」
他人事のようにティッシュを出し出すこともあった。他人事のようにと書いたのだけれど、それまでは完全に他人事だったのだ。まさか、自分にもその矛先が向けられるとは思ってもみなかった。大人になって、急にかかるわけはないよねと。
なんだか目がかゆい。コンタクトがずれないように慎重に目を掻く。そんな生優しい「掻き」では足りない痒さが次第に訪れる。それでも私は否定をしていた。絶対にあのせいではないと。そんな様子を見ながら、向かいの席で鼻を噛みながら先輩が言った。
「目薬を買ってやる。それが効いたら観念して、認めなさい」と。
まさか、そんな訳はない。ずっとそうでなかったのですから。
246を挟んで会社の斜め前にあった大きな薬局に駆け込み、目をこすりながら、先輩おすすめの目薬を買う。会社に戻るまでの短い時間にも箱を開けて目薬をさしてしまいたい程、目は痒い。しかし、開封の儀と点眼の儀は正々堂々と先輩の前で行わなければならない。むずむずと戦いながら会社に戻る。
「買ってまいりました。」
「うむ。」
「目薬、さします。」
ポチョン。しっとりと目が潤っていくと同時に、明らかに痒みが弱まっていく。
「隊長。」
「うむ。」
「目薬、効いてしまいました。」
「おぬし、認めるか。」
「はい。完敗のようであります。」
永田さんに買っていただいた目薬。同時に認めざる得なかった花粉症。政府広報オンラインを調べてみると今では日本人の3人に1人が花粉症とのこと。何がつらいって、一日中ずっとしゃきっとしないこと。そして集中力が続かない。花粉症のせいで生産性も低下。1日あたりの日本の経済的損失は2.215億円なんだとか。(2024年3月7日更新の政府広報オンラインより)
みんな考えることはおんなじ。検索するよね、花粉のない国。スギの少ない国ランキング。1位はハワイ、2位は韓国、3位はタイという結果。韓国が2位なんだ!そういえば、あんまり花粉症って聞いたことがなかったけれど、検索をしてみるとあるある。「꽃가루 알레르기」花の粉のアレルギー。原因とされるのは삼나무(スギ)、오리나무(榛の木)、자작나무(白樺)。白樺の花粉は想像したことがなかった。5月がピークと書いてある。韓国ももちろん、花粉症の存在が0ではなさそうだった。
語学学習数珠つなぎで中国も調べてみる。漢字は同じく花粉症。発音はhuā fěn zhèng。
我 好像 得了 花粉症(wǒ hǎo xiàng dé le huā fěn zhèng)。私は花粉症になってしまったようだ。
あぁ、無念。
中国では花粉症の人々は国民の1%ほどと言われているようだけれど、広大な国。砂漠に生息する砂ヨモギの花粉は北京まで飛んでくるのだとか。
最後に勉強を始めたばかりのベトナム語でも、花粉症はなんというのかを調べてみる。Dị ứng(ジー ウン)がアレルギー。Phấn hoa(ファン ホア)が花粉。2つをくっつけるとDị ứng phấn hoa(ジー ウン ファン ホア)=花粉症になるのだそうです。次のレッスンで先生に言ってみよう。ちなみにくしゃみを意味するベトナム語が、とってもかわいかったので記載しておこう。
Hắt xì hơi(ハッ シー ホイ)
早口でどうぞ。ハッ シー ホイ!思わず、Got bress you!と声をかけたくなりますね。
だらだらと花粉症について書いてしまいました。花粉症の皆様、どうぞお大事に。花粉症でない皆様、うらやましい。
今週も読んでいただきまして、ありがとうございました。