Mostly earth, sometimes space.

基本に戻って光学衛星の話

ども、カルロスです。

最近、宇宙系の出来事が続いていて、全く追いついてません。月にはSLIMが夜を越して、オデュッセウスも民間初の月面着陸して、AxelspaceはPyxisを上げて….

そして少し前ですが、次期基幹ロケットH3の打上げ成功。ホントめでたいんですが、我々サイドの何人かは初号機とともに失っただいち3号(ALOS-3)のことが脳裏にちらついていることでしょう。

衛星カメラの難しいところ

ALOS-3を失ったことで、現在もJAXAが運用する高分解能の光学衛星はありません。ALOS1号機(初代だいち)が運用を止める2011年から高分解能光学衛星が無い状態。高分解能光学衛星、ほぼ球でもたびたび紹介している畑や森を観測したり、災害の時に”宇宙からのデジカメ撮影” ができる頼れるやつです。なんとも残念です。

この手のデータはまずは見たまんまで分かりやすいことが特徴です。カラー写真のように細かく、宇宙から観測できることは誰でも “便利そう” と思ってもらえると思います。ただ、どんどん細かく、広範囲をいつでも観測できるようにするには技術的な問題をクリアしないといけないのです。

一つ目の大きな理由は、たとえばカメラ(特に光学系)を大きくしないといけなくなることも。カメラでも望遠レンズって大砲みたいに大きくなりますよね。あれです。

レンズの口径を大きくして光をいっぱい取り込み明るくして、焦点距離を長くしてフォーカスしなくてはいけないので幅も長さも大きくなってしまうんですね。大きな衛星は運ぶのも大変だし、運用も大変です。

二つ目は、先ほどもちょこっと書いた明るくするという問題。まず、分解能をあげるということは、一つ一つのピクセル(点)の面積が小さくなるということとほぼ同じなので、小さい方が大きいよりも暗くなる。そしてカラーで見たいとなると、光の三原色の赤、緑、青(RGB)に分けなくちゃいけないので光の量も1/3になりさらに暗くなります。

なので、大きなレンズで光を集めて(集光)やらなくちゃいけないし、一点を凝視する時間(積分時間)をなんとか長くすることを工夫したセンサーを設計したりしなくちゃならなくなります。

さらに、RGBだけじゃなくて、地面の色や、海の色のもっともっと細かい色の違いも観測して、鉱物資源や、海の中の植物性プランクトンの量を調べるとかなってくると… もっと一点の明るさが暗くなっちゃいます。その場合は、仕方ないから一つの点を大きくする、つまり分解能は犠牲にして我慢するということもします。

これも、センサーの技術開発が進んでいるのでよくなっていきます。

まだまだ難しいところってあるのですが、またそのうち。

画像は、話には関係ないですが、比較的うちの近所の船橋です。中山競馬場が見えますね。右隣(東側)のなんとなく丸い街並み、分かりますか?”ニイタカヤマノボレ”を発信した旧日本陸軍の無線局の跡地なのだそうです。

船橋周辺。競馬場の右隣の丸の中は集合住宅も produced from ESA remote sensing data  

気になる音楽のコーナー

Wendorlan / Squarepusher

Squarepusher久々のnew release です。このPVはオシロスコープをプログラミングして映像を作っています。大学1年の物理実験でオシロスコープを使って、コンデンサの過渡現象を調べるというのが一発目だったんですが、水疱瘡で休んで補習で受けたことを思い出します。月曜朝は爆音でどうぞ。

では、またまた!

ほぼほぼ地球 たまたま宇宙

(隔週月曜日更新)
人工衛星で観測される地球のデータをあれこれする仕事をしています。見知らぬ人から、カルロス!と声をかけられることがあります。

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