春の日。
入試から約1週間後。こどもの高校の合格発表がありました。
私立は翌日に結果が出るのだけれど、都立は合格発表までタイムラグがある。テストが終わって、思い切り羽を伸ばして解放感に浸りたいはずの15歳。たぶん大丈夫と思いながら、確実な結果はわからないと、やきもきもしていたであろう数日間。
もうすぐやってくるホワイトデーに何を作るか相談。今年はウィークエンドを作ってみたいとレシピ本を一緒に見ながら、試作の日を決めたり。学校で卒業式の前に、生徒のみんなの前で披露するバンドの練習に出かけたり。なんだかんだと忙しく過ごしていました。
発表は3月1日の朝8時30分。合格発表のページに受験番号を打ち込むと合否が分かる。我が家と同じようにドキドキしながら、PCの前に座っていた親御さんたちが何人いたのだろう。
まぁ、そうだよね。なかなかつながらないってことになるよね。焦っても早く繋がるわけはないので、フーっと深呼吸をしながら待つ。8時40分ごろ、受験番号を打ち込むことのできるページが開く。「3、0、~、~」口に出しながら番号を入れて、えいッとエンターキーを押す。
学力検査第一次・前期。桜の花びらが描かれたピンクの背景に「普通科 合格おめでとうございます。」の文字。
やったー!合格!
ごろごろしながらゲームをしていた息子を呼び出して「ちょっと、こっちきて見て見て!!」
照れながらもハイタッチ。家族や先に推薦で学校が決まっていた友達のママなどに連絡。仲良しさんたちもみんな無事、希望の学校に合格していました。みんなでお祝いごはんを食べようと中華を予約。息子は、午後に行われる高校の運動着採寸時間までまたごろごろ。母は納めなければならない原稿に戻る。
ここ数日、また寒い日が続いていたけれど、合格発表の日は快晴。とてもあたたかく、制服の上に着ていたジャンバーを脱いで腕にかけるこども。母はコートを脱ぐのがめんどうで、汗ばんだ額を右手で押さえながら校門をくぐる。昨年の秋、学園祭で初めてここに訪れた時にはまだ知り合いにもなっていなかった学校が、今日はいきなり親戚のように感じられる。
「気持ちがいいね」
校舎に向かう左手には、誰もいないグラウンド。真上に登った太陽が砂の上に残る水溜りを、きらきら照らしている。
受付のところまで来ると、同じ中学から受験した友達が並んでいる。小学校から息子と一緒の女の子。「おめでとう!」そう言いながら背中をさすると、満面の笑みで「ありがとう!」と答えてくれた。
合格発表の紙を受け取って、運動着と運動靴のサイズ合わせ。広い教室にはもうひとり、同じ中学から受験した別の友達がジャージの試着をしていて、息子と顔を見合わせる。同じ軽音部に入る予定のベースを始めた友達。こないだ一緒にバンドの練習をしてきたと話していたのに、今日はなんだか二人とも照れ臭そう。「おう!」「おう。」軽く挨拶をして、それぞれ運動着に袖を通す。
中学の入学式で運動靴の試着をした時は「28.5cmは特注になります」と言われて、特注という言葉にも、子供の足の成長にも改めて驚いたのだけれど、高校の試着用の靴は29cmまで用意されていました。
「せっかくだから、紙で張り出してある合格発表を見て帰ろう」
2枚の紙にずらっとならぶ数字。
「なんか、イメージだとさ。もっと高いところにでかでかと番号が貼られているのかと思ってた」
確かに。ドラマや映画の合格発表のシーンとはちょっと違うかもね。でも今日のお天気のおかげで、真っ白の紙に太陽の光が当たってきれいじゃない?
「〇〇さん、会えなかったね。どうだったかな。」
同じ中学から受験をしたもうひとりの友達のことを気にかける息子。「早めに採寸を済ませて、先に帰ったのかもしれないね。」と口に出しながら、なんともいい加減なことを言っている自分を反省する。「みんな一緒に通えるといいね。」校門を出て駅に向かう1本道。午後2時半。まだまだあたたかい。
逆の方向から、マスクをして髪をキュッと縛った女の子とお母さんが楽しそうに歩いてくる。
「あれ?〇〇さんじゃない?」
「あ!おめでとう!」「おめでとう、バイバイ!」と短く手をふって、お互いにすぐに前をむいて歩きだす。
「よかったね。みんな合格だ。さぁ、遅めのお昼はなに食べよっか。」
軽くなった足取りで駅の方向に向かう。2024年の3月1日は、あたたかい快晴の日でした。
SAKRA.JP日曜日担当佐藤家の息子さん。実はおんなじ中学3年生の15歳、名前も全く同じ、漢字まで同じだからか親戚のおばちゃんの気持ち。インスタのストーリーに合格!とアップすると、すぐにメッセージが飛んできました。「おめでとうございます!ウチも本日無事合格しましたー!」ママもおつかれさま!そしておめでとうございます!
今日は昨日とうってかわって、また風がとっても冷たい日ですが、みなさまどうぞ良い1日をお過ごしくださいませ。