幼稚園体験入園。
おはこんばんちは。飯塚です。
こちらはクリスマス準備も佳境に入り、まだサンタクロース役の我々は買い物を済ませました。
街のおもちゃ屋さん、人によってはワゴンに何箱もおもちゃを積んでいたり。
大家族が普通なアイリッシュ。自分の子供以外も姪っ子や甥っ子の分も10個以上のおもちゃを買わなきゃいけない、なんて話は珍しくありません。
我が家は甥っ子が三人。彼らはおもちゃは既にたくさん持っているようなのでここ数年は洋服をあげています。
来週またジンジャーブレッドハウスの材料を買わなければ。
先週の続き、幼稚園体験入園初日です。
小学校の初日とかぶってしまった幼稚園の初登園日。母にお願いして連れていってもらう事に。
母の話だと、すぐに友達ができて仲良く遊んでいた、という。
給食のメニューを確認する。
大丈夫かな、ちゃんと食べられるかな。
帰りたい、とか言わないかな。
お迎え時間の2時。
担当の先生、担任の先生方にも改めて挨拶をする。
担当の先生、開口一番に
「運動神経凄くいいんですね。飛び級してるっていうのに納得しました。マットに落ちるジャンプ台から一回転したり、ドッジボールも投げる力が凄く強くて他の子たちが驚いてました。ジャンプ台の一回転だけは危な過ぎるのでもうやらないでね、と伝えました」
「そうなんですか。他の子達が真似したら危ないですもんね」
「いや、あの動きは真似したくても出来ないです。」
「田舎に住んでて海とか走り回ったりお兄ちゃんの友達とばかり遊んだりトランポリンも日常的にしてるからですかね。」
「そうでしたか。都会の子と鍛え方が違うんでしょうね。あの歳であんなに機敏になかなか動けないです。」
長男の体験入学の時も担任の先生に同じ事を言われた。私達の田舎暮らしは自然と子供達を鍛えているのか。
ちなみに私は運動神経ゼロだ。母に似なくて良かったね。
「コミュニケーションは大丈夫でしたか?言葉は問題なかったですか?」
「大丈夫でした。スタッフの話も理解出来てましたし、特に問題ないようでしたよ。」
先生が話す傍らで、息子は寄り目をして我々の気を引こうとしていた。
「H君がとてもひょうきんで面白い子だって事もよくわかりました。H君、明日からも来るかな?」
息子は
「うん。明日もくる」
よし、出だしは好調だ。
妹も幼稚園大好きに。
翌日もご機嫌に家を出る。
幼稚園の前で担任の先生と出会う。
「H君、おはよう!」
息子は嬉しそうに
「おはよう」と答える。
わー凄いな。1日しか行ってなくてもちゃんともう名前覚えてるんだ。名前を覚えるのが何よりも苦手な私、それだけで先生を尊敬してしまう。
「おはようございます」
中に入り、靴を脱いで教室へ。
先生方と挨拶をして息子を預ける。
そのまま帰ってもいいのだけど、2歳の娘をしばらく遊ばせる。
この幼稚園、園庭開放なるものをやっていて、通ってない子も保護者つきで遊ばせられるのだ。
毎日約1時間、砂遊び、鶏を見たり、滑り台をしたり。
朝ご飯を食べて、
「さぁ、幼稚園に行くよ!」
の声がけを楽しみにしていたのは息子よりも2歳の娘かもしれない、というほどに彼女は幼稚園が好きになった。
水道の水を出して全身ずぶ濡れになってからは必ず着替えを持参するようにした。
実は競争率が高い人気の幼稚園。
この朝の滞在時間のおかげで幼稚園のことがより深く見えてきた。
息子が友達や先生と遊ぶ様子も垣間見れ、保護者の方や他の先生方とも少し会話もできた。
街中の幼稚園だけれど、庭の片隅には鶏がいて、野菜を育てている。
ザクロやかりんの木もあり、子供達はザクロの実をとっては粒をほじくって食べていたり。
かりんの実はシロップにする、とも言っていた。
通う子達の殆どはマンション住まい、日常的に土いじりなどする機会はないのだろう。
そんな子供達が幼稚園で泥だらけになり人参を掘ったり、木に登ってザクロをもぎとる。
この「自然派」の理念に賛同した保護者が遠方からわざわざ車や自転車でこの幼稚園に通っている、というのは納得した。
幼稚園の募集も抽選で競争率が高い。たまたま一番近くにある幼稚園に何の気なしに通う私には申し訳ないくらいの園だった。
私も給食食べたかった!!
給食のメニューも和食中心で季節の味を取り入れている。
まるで自然派カフェみたいな献立。
うちの子にこの良さがちゃんと伝わるかなぁ。
わかんないだろうなぁ、もったいないから私が代わりに食べに行きたい。
朝の滞在中にも園の隅にあるキッチンからいい匂いがする。
10時は2歳児達のおやつ時間らしく、先生がワゴンを教室に運んでいた。
よく見ると、器もプラスチックではない。乳幼児にもプラスチック食器を使わないなんて意識高い、と己の怠惰を少し恥じる。
我が家はIKEAのカラフルプラスチック食器のベビーユーザー、いや、もはやルーザーと呼ばれても構わない。
給食は初体験な我が子。
毎日幼稚園から帰る時に、何が出たかを聞く。
たまに慣れない味や野菜ばかりだと残していたらしいが、気に入ったメニューの日などは
「三回もおかわりして先生に「すごいね!今日はお腹空いてるんだね!」って言われた。」
などと誇らしげだった。
庭で炭火焼きした秋刀魚もとても気に入ったらしい。
アイルランドに存在しない「食育」を体験できて良かった。というよりもこの幼稚園に通う子達が羨ましい。
息子が幼稚園を好きなのかはわかりづらかった。
幼稚園にはちゃんとお友達もできた。先生も主導してくださり、ドッジボールや追いかけっこをしたり、段ボールで作り物をしたり。
また、徒歩10分ほどの公園に皆で散歩に行くことも数回あった。
次男は長男に比べるとさして興奮はしていないけれど、彼なりに新しい環境は楽しんで受け入れているようだった。
長男の学校が早く終わったある日、長男も連れて幼稚園に迎えに行った。
私や母が
「凄くいい幼稚園だ!」と絶賛するのを側で聞き興味津々だった長男、中に入るや興奮し、
「僕もこの幼稚園に通いたかったのに!」と嘆いたのは、本人の自尊心を大いに刺激した。
「僕の幼稚園いいでしょう!」と更に誇らしげに通うようになったのだ。
幼稚園生活残り一週間、という時に家で額を切る怪我をし、大事を取り1日休ませた。
その時も「幼稚園に行きたい!」と言うほどしっかりと馴染んできたのだな、と嬉しく思った。
とはいえ、やはり言葉が若干不慣れだったりという事はあったようだ。
「たまに先生が言う意味がわからなかったんだけど、スマートフォンの翻訳で説明してくれたから大丈夫だった」
幼稚園は楽しいけれど、本音は慣れ親しんだアイルランドの友達や学校を恋しがってもいるようだった。
私の父は
「この子は英語だと兄弟でずっとペラペラ話しているから日本語だとまだ伝えられないことがずいぶんあるんだろうなぁ」とたまに漏らしていた。
確かに、そうだ。英語だとずっと話しているけど、日本語だと寡黙。日本語で表現ができないのだ。
最終日、ずっと一緒にあそんでいたR君とお別れ。R君は初日から息子に構ってくれていた。
他にも何人かは遊ぶ事はあったみたいだけれど、R君のおかげで幼稚園生活を楽しめたのかな、と思う。
R君のママとは最終日会えなかったけれど、最後は二人で抱き合った。
R君
「なんでもういっちゃうの?また来る?」
息子は
「アイルランドに家があるからだよ。また来るよ!」
と答えた。
三週間なんて本当にあっという間。
慣れない言葉の中での生活は大人でも難しい。
息子によると
「アイルランドの学校も日本の幼稚園も同じくらい好き。アイルランドの方が学校の庭が広いからいいけど、日本の幼稚園は宿題がないのがいい。あと給食は凄く良かった!」
幼稚園を終えて、次男は少し自信がついたのだろうか。
お別れの寂しさよりは「やり遂げた」ように見えた。
5歳児が得意ではない日本語で知らない世界に初めてポンッと飛び込んで生活する。
幼稚園を終えた翌日の朝、布団の中でゴロゴロしながら
「幼稚園、大変だった?でもよく頑張ったじゃない。毎日行けて偉かったね。ありがとうね」
と声をかけると、満足気に微笑んだ。
私には我が子達の経験は未知。
二つの国や言葉を持つ事、私達を含めた大人は
「日本とアイルランド、どっちも経験できるなんて最高じゃない!」なんて言うけれど。
他の人には経験しえないアドバンテージはあるものの、彼らなりのジレンマやストレスもある、という事は忘れたくない。
その中で本人が二カ国籍だという事をプラスに捉えてもらえれば、との思いで「楽しい経験」や「知らない世界に触れる喜び」を増やしていきたい。
それには親の力だけでは足らなくて幼稚園の先生方のサポートでお友達との遊びが必要だ。
我が家は運が良い。
長男の体験入学、今回の幼稚園、先生方、環境、お友達に恵まれていて現状、プラスになることばかり。
毎度感謝の念しかない。
ずっとかけていなかった幼稚園へのお礼の手紙をクリスマスカードと一緒に今週やっと送る。
子供を通していろんな世界を見ながら、子供の性格も鑑みつつこれからも試行錯誤が続くだろう。