距離が近づく。

キッチンのクロスを作ってもらっている東大門総合市場のおかあさんから、「注文してもらったクロスができあがったよ」と連絡が入る。

今年の4月にスタートした商品のサンプル作り。キッチンクロスや旅にまつわる商品の企画を持ち込んで、何度も修正をして。夏になって、しっかり思い描いた形になったクロスを、定期的に増産してもらっています。

納期は、別の用事も含めて韓国に行くタイミングに合わせ「次回はここまでに」とお願いしているのだけれど、先週友人ナギョンちゃんのレセプションに合わせて訪問した際に注文した新しい色のクロスが、1週間もたたない間にできあがったよと連絡が入った。

元々、「早く早く」の国民性である韓国のおかあさんたち。なのだけれど、人柄もチャーミングなおかあさんのお店は訪問するたび、新しいサンプルをお願いするお客さん、商品のピックアップに来たお客さんがひっきりなしに訪れている。忙しく市場の中を行ったり来たりしているおかあさん。商品があがってくるまでに、少し時間のかかる時もあった。こちらは一緒に物づくりをお願いしたいなと思った当初から、のんびり待つことも当たり前に想定。布の厚みを間違えてしまうこともあったけれど、そういうこともあるよねと、常にまあるく構えている状態だったので、今回の「もうできあがったよ」連絡には少々びっくり。

商品が売り切れそうなタイミングで、定番の色と新しい色の糸を選んで注文をしているのだけれど、大口のお客さんに比べると数は決して多い方ではないはず。優先順位で言ったら、数が多く金額も大きい方から作業になるのではないか、と思うのだけれど。お店を訪問すると、顔を見てすぐに誰なのかぱっと思い出してもらえるようにもなって来た。数量や糸の色を相談しながら、その場でおかあさんはノートにメモを取るスタイル。メールやネットで注文することが当たり前になっている国内でのやりとりに比べて、ものすごく原始的でアナログ。なのだけれど、会う回数を重ねる度、信頼に近いものが生まれているのかもしれない。

「もうできあがったよ」の連絡は、商品が早く出来上がったことよりも、おかあさんとの距離が以前より縮まったことを感じて、なんだかとても嬉しくなった。

海外でのものづくり。思っていたより簡単ではない。けれど、思っていたよりものができあがった時の喜びが大きい。どう伝えたらスムーズに行くのか、お互いの呼吸も合ってきた。顔の見える、体温を感じるものづくり。もっとありがとうの気持ちを伝えたいのだけれど、日々忙しいお母さんたち。短い時間のやりとりで、こちらはありきたりのお礼の言葉になってしまうのが、いつも少々もどかしい。毎度慌ただしく旅程を決めて、慌ただしくピックアップをして、また来ますと帰国してしまう。

次回は手土産だけでなはくて、しっかりお手紙を書いて行くのはどうだろう。文字を追う時間も惜しいくらい、布を細断して、ミシンを踏んでいるおかあさんに長い手紙は邪魔になってしまうかな。便箋1枚に納まる文字の量、ごはんを食べながら読み終えることのできるくらいの分量にして、手紙を書いていこう。お客様が手にとってくださっている写真も添えようかな。

そんなことを考えながら、販売の準備をしているとあっという間に時間が過ぎて行く。

明日10月15日(日)11時30分〜19時まで。and recipeにてネコノスさんとPOP UPショップを開きます。ネコノスの社長しょうこさんが、先週ソウルと釜山に旅にでかけていらっしゃったそうなのですが、猫の本を仕入れてきてくださっているようです。and recipeは「銀色」の雑貨をソウルで仕入れてまいりました。東大門総合市場のおかあさんたちと作っているクロスも新色が並びます。あったかいお茶とコーヒーもご用意しておりますので、代々木上原にお越しの際には、ぜひお立ち寄りくださいませ。

今週も読んでいただき、ありがとうございました。どうぞ、素敵な週末をお過ごしくださいませ。

こいけはなえの気になるもの。

(毎週土曜日更新)
マネージメントを中心に料理家と一緒にand recipeという会社をやってます。とにかく旅が好き。

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