食べるな、危険⚠️
おはこんばんちは。飯塚です。
日本はまだ暑いでしょうか。
ヨーロッパも各地猛暑、山火事で7月は過去最高気温だったようです。
そんな中でアイルランドとイギリスは完全に取り残されてます。
観測史上最も雨が降った7月。
寒いし、天気悪いし、風も強い。
洪水の地域もあり。
観光地は大打撃。
もう秋だよな。
夏は5月から6月始めの間だけだったんだよ。と文句しか出てこない今日この頃。
今週は先週の続編・アイリッシュ編です。
先週、食べ物の好き嫌いの話でしたが、アイルランド事情のことは触れないまま終わり消化不良で。
ここでは判で押したように毎回言うけれど、食に関しての好奇心、アイルランド人はとても低い。
日本だと食べ物のブームみたいなのが数年おきにあるけれど、こちらではそんな現象はあまり聞かない。
新しい食べ物に対する警戒心が強く食わず嫌いが普通。
私的にはもはや恒例ともなった雨上がりのキクラゲ採り。
散歩中の人々が訝しみながら
「何してるの?」
と聞く。
「キノコ採りしてます」
そこから興味を持って
「どんな風に料理するの?」
「どんな味なの?」
「食べてみたい」
なんて言う人はほぼいない。
ワラビ採りも同様。
数年前などはワラビをジョギングがてら近所で採り、聖火リレーのようにワラビの束を持って帰宅したらお隣りさんに遭遇。
典型的なアイリッシュの彼女、食に関しては超保守的。
「それ何?食べるの?」
「うん。重曹でアク抜きしたら食べられるの。食べてみる?」
「大丈夫!私は要らないわ」
明らかに遠慮ではなく拒絶、な断り方。
彼女はとても正直でサバサバしているので私も全く気分は害さない。
そんな彼女の子供達もしっかりとアイリッシュ気質を受け継いでいて。
我が家でちょっと変わった物を食べてても絶対に試さない。
いちごのショートケーキもお寿司も、トマトソースのパスタも食べない。
アイリッシュの子供達の食わず嫌いぶり、初めの頃は驚かされ、今でも毎回呆れてしまう。
ちなみに昨年日本の小学校を体験した息子、学校では給食をいたく気に入っていたけれど、普段は食べないサラダも学校給食で食べた事でずいぶん克服した。なんて言っていた。
好きではない食べ物も日常的に出せば食べるようになると言うこと。
我が家では子供達に
「とりあえず一口だけ食べなさい。それで嫌いならばもう食べなくてもいいから」
という方針だ。
食わず嫌いはしない。でも好みはあるから口に合わなければ無理強いしない。
漁港があちこちにあるのに魚はフィッシュ&チップスしか食べない。
アイリッシュの食わず嫌い、魚介類に特に顕著。
島国なのに「魚介類嫌い」な人は普通。
国内需要があまりないアイルランド産の牡蠣やロブスター、蟹は美食の国フランスへ輸出されるのが殆どだとか。
牡蠣などは「食べた事ない」とか「見た目が気持ち悪いから食べてみたくもない」などと言う話をよく聞く。
また、あんこうの肝、いわゆるあん肝や蟹味噌も捨てる。
私の義理父、40年以上漁師をしていた人ですら蟹味噌もあん肝も試食した事がない。
アイルランドに来て初めの頃に釣りで獲れた蟹の甲羅に残った味噌をスプーンですくって食べる私を訝しげに見ていたな。
「とんでもない野蛮な日本人来ちゃったよ」
とでも思っていたはず。
日本の寿司屋で働いた夫が感嘆したこと。
夫が日本に来て驚いた事の一つ、日本人は魚を綺麗に全て食す。
骨だって出汁をとるし、ひれ酒なんて誰が考えたんだろ。
また「鯵は需要が高い魚」だという事。
アジフライ、アジの開き、アジのタタキ。アジのお寿司。
夫は子供の頃からサバやニシン、カニやロブスターを釣っていたけれどたまに釣れたアジは食べた事がなかったのだ。
「鯖釣りしてると稀に鯵が釣れるけど、食べられるかわからないから捨ててた」
なんて信じがたい話が。
おい、おい!
もったいないお化けに祟られるよ!
本邦初公開!コーンウォール発、アジの伝説。
更にイギリスの漁業で有名なコーンウォール出身の人から夫の話を裏付ける驚愕のアジ伝説を教えてもらいました。
むかしむかし。
イギリスのコーンウォールという漁業の町で漁をしていた男達がいました。
夏はサバをはじめロブスターや蟹が、冬はニシンが大漁に獲れるこの地である日珍しい魚がサバに紛れこんでました。
調べるとそれはアジだといいます。
その未知の魚を持って帰ったその男には可愛い娘ジョアナがいました。
ジョアナは初めて口にしたアジをとても気に入りました。
しかし、勢いよく頬張ったアジの骨がジョアナの喉につかえてしまいあろう事かそのまま亡くなってしまいました。
噂はすぐに町中に広まりました。
「サバに混じって獲れたアジとかいう小ぶりの魚。あの骨が引っかかってジョアナは死んでしまった!絶対に食べてはならない!」
その話は人々を震え上がらせ、その後アジを食べる人は現れず、また「ジョアナ」という不吉な名前を赤児につける人もそれ以降現れませんでした。
アジも食べない町人は幸せに暮らしましたとさ。
めでたしめでたし。
みたいな嘘のような本当の話があったそうです。
アジの骨、そんな殺傷能力あるのかは甚だ疑問ですが、一人の少女の死によりイギリス及びアイルランドでは食用されなくなったのです。
日本の猛毒のフグは魚好きな欧米人には有名です。
かたや、東の果ての日本。
こちらは事実として猛毒があるフグをあの手この手で食用にする執念。
人が死に続けても料理人に免許を取らせてまで調理する。
猛毒があるとされる卵巣に至っては三年も塩と糠に漬けて毒を抜いて食べるとか。
そんなに毒が抜けない代物を諦めずに三年かけるとか狂気の沙汰。
卵巣、何ヶ月おきに毒味した人がいた事で「三年漬ければ大丈夫」という結論に至ったのか。
市場に出回るまで一体何人の犠牲者を出したのだろう。
日本の食文化、この飽くなき探究の賜物なのは確か。
ことわざ、「石の上にも三年」より「フグの卵巣も三年」とかのが凄みあるよ?
コーンウォールの話を初めて聞いた時、日本人が猛毒のフグに果敢に挑んだ歴史と対比して夫と笑いが止まらなかったのを覚えています。
ちなみにアイルランドでも食に詳しい人は「フグには猛毒がある」ことは知っていて確か夫も食べた時に嬉しそうにアイルランドにいる家族に報告していました。
息子1号もいつか食べてみたいそう。
東の果ての果敢な冒険心、西の果ての過剰な警戒心。
あなたはどちらに同意しますか?