2023航海記。
おはこんばんちは。飯塚です。
先週、「アイルランドの今年の夏はハズレだ」(寒い)などと愚痴りながらも休暇の旅に行きました。
最優先は天候、なので旅立ちは突然です。
決めたのは出発前日。
自営業の夫、今は繁忙期ではなく。
子供達のサマーキャンプも終了し、家族全員ポッカリ予定があいた。
天気予報を見ると三日間は天気良さげ。風も良い。
「セーリングで二泊三日しようとしてたの、今行っといた方がよくない?この後天気が良い保証なんてないしさ」
しばらく自室に篭った夫、
「ボート停泊所に予約したよ。明日出発しよう」
寝袋、調理器具などはすでにボートに積んである。
着替え、水遊び用具一式、食料を揃えるだけ。
男児達も大好きなセーリングで遠出して船中泊する日を楽しみにしていた。
朝ごはんをしっかり食べ、荷造りして、行ってきます!
行き先は我が家から車で行けば1時間の観光地Kinsale。港町で我々の村よりずいぶんと洒落ている。
船出は朝10時。予定では6時間かかるらしいけれど。
花火を観たのもいつも遊びに来ていたのも湾内。私は大海に出るのは初めてだ。
見慣れた景色から離れて広い海に出る。
波が少し強く感じる。船の揺れ方も変わった。天気は良いし寒くもない。
下の子が船内で遊びたがっていたので付き合って中にいたらだんだんと胸がムカムカしてきた。
船酔いしてる〜。
「気持ち悪くなったら外に出て遠くを見てれば大丈夫だよ」
夫に促され外に出る。確かに風に当たりながらしばらく遠くを眺めていたら回復してきた。
始めはエンジンで動かせたボートも帆を出して風の力だけで進むことに。
追い風がかなり強い。
夫は
「良い感じだな。予定は6時間だったけどこれなら5時間くらいで着くよ」
お昼はサンドイッチやスナックを食べ、夫以外全員昼寝もした。
到着寸前、通り過ぎた無人島。
中で末っ子を抱きながら半分寝ていると男児達が
「赤ちゃんアザラシだ!赤ちゃんアザラシだ!」
と大騒ぎ。私は見ることができないまま通り過ぎた。
無事到着。
到着寸前、予約していたボート停泊所に夫が電話し、船を着ける。
到着してビックリ。デッキの反対側は超豪華巨大ボートが停泊中。
管理人さんによると
「アメリカからの大富豪のボート」
らしい。
7階建て?一体何人収容できるんだろう。
男児達は
「中を見たいなー」
なんて勝手にはしゃいでいる。
着いたらすぐにパブでとりあえず一杯。
いやー、ホリデーだね!
町へと繰り出す。
この停泊所、ビーチもパブもあるのだけど、難点が一つ。
町まで片道徒歩30分。
普段から歩いたり走ったりする私には平気だけれど、5歳児、8歳児は嫌がるだろうな。
車社会に生きる我が子達、都会の人ほど耐性がない。
日本みたいに「ここ行ってコレ食べました」はありません(断言)。
ここで毎度書いているけれど、アイリッシュは食に関して話す事はあまりない。
日本人が旅行から帰ってきた人に聞く
「何食べたの?」
こちらでは話題にならない。食べ物のお土産もない。
という訳で、私達も特別凄いものは食べてないしそもそも期待をしなくなっている。
これがアイルランド生活です。
到着日はパブ兼レストランで夕ご飯。
夫はハンバーガー、私は手羽先唐揚げ、息子1号は子供用のフィッシュ&チップスを頼もうとしたけど、明日フィッシュ&チップスになりそうな気がして
「ねぇ、大人メニューでムール貝あるよ。食べる?」
なんて私が余計な提案してしまった。
冗談まじりに夫、
「子供は安い子供メニュー食べりゃいいのに、なんでそんな事教えるんだ〜」
まぁそうだけどさ。
だって、明日はたぶん来る途中にあったフードトレイラーのフィッシュ&チップスでしょ。
二日連続同じもん食べんの、嫌じゃん!
ムール貝大好きな息子1号は目を輝かせて大喜び。
貝が大好きなのに貝アレルギーな夫。貝食べられないから嫉妬もある。
息子2号と娘はチキンのフライとフライドポテト。
そしてこのレストランの食事はバタバタしてて写真は撮らず。
二日目の夜はやはり予告通りフィッシュ&チップス、魚嫌いな息子2号は同じ場所に出ていたピザのトレイラーからマルゲリータを。
このフィッシュ&チップスはかなり値段が安くボリュームがあり、どんどん人が車を駐車しては並んでいた。
ちなみに朝ごはんはソーセージ、目玉焼きを焼き食パンに挟んでお腹いっぱいに。
二日目
停泊所から歩いてすぐの小さなビーチに子供達は行きたい!と騒ぎ続ける。
我が家も海から近いし日頃から海遊びばかりしているのに、なんでこんなに海に行きたがるのか。
温かくないアイルランドの海。子供達はいつもウェットスーツ着用。
ボディボード、シュノーケル、砂遊び用バケツやシャベルも持ってレッツゴー。
船着場は水が濁って汚いけれど、反対側のビーチの水は透明できれい。
朝9時。
地元民が犬の散歩に続々とやってくる。沖の方ではセーリング教室なのか、たくさんの小さなセーリングボートが海上に繰り出す。
普段から海遊びしてても楽しいんだなぁ。ひたすら2時間半遊んでボートに戻った。
前日に町まで歩いた男児達、この日は歩きたくない!と主張。
私だけ食べ物の買い出し兼末娘の昼寝のためにまた町に。
延々と一人で歩く。
観光地のKinsale 、町が可愛らしい。
カラフルでオシャレな店やレストラン、カフェ、ギャラリーなどが立ち並ぶ。
日本人観光客のグループもいて町の写真を撮っていた。
ちょっとオシャレな買い物もしたかったけれど、パン、卵、ソーセージ、みかんやプリングルスなどを買うのでウィンドウショッピングだけに。
カフェでランチ。
クラムチャウダーと子供用ホットサンドイッチ。
クラムチャウダーはアイルランドのランチメニューお馴染み。
好きなのに貝アレルギーの夫がいるから作らない。サーモンやムール貝、バターとクリームの風味が最高。子供もとても気に入ったようだった。
歩くのが苦にならない、と言いながらも二日連続往復1時間かけて町に行くの、やっぱり少し面倒。延々とベビーカーを押して歩く。
このあと、夕飯の時間にはまたフィッシュ&チップスのトレイラーまで家族全員で歩いたおかげで万歩計は25000歩という大台に!
これは去年の一時帰国時のある1日とほぼ同じ。
その日は朝5㎞走った後に午前中は合羽橋で食器を買い、夕方は男児達を秋葉原に連れ出したという盛りだくさん内容な日だった。
そういえば今日本縦断チャレンジ中の若岡さん、1日何万歩なんだろう?
おかげでその日も早くに寝落ちしてゆっくり休めた。
うちのボートは下だった。
ラグジュアリー感がゼロで庶民のボートばかりなうちの近所の停泊所。
ところがキンセールの停泊所で周りを見渡すとお高いボートばかり。
停泊所は金持ちが自慢のボートを見せ合う場所、だと思い知る。
我が家の小さなボート、えらいショボいんですけど…。
「これさ、惨めな気分にすらなるよね。とある高級住宅街の駐車場に迷い込んだら周りはフェラーリ、ランボルギーニしかいない、とか頑張ってドレスアップして行ったパーティはセレブリティばかりで自分だけみすぼらしい、みたいな状況じゃない?」
「それだな。自分は新車のTOYOTAに乗って近所では自慢できたのに一歩外に出たらむしろ安物だったっていうヤツね。」
夫婦で苦笑いしながらボヤく。
しかし夫は続ける。
「でもこれより大きいボートだと確かに居心地はいいけども夏の始めと終わり、クレーン車とか外注して海に出し入れしなきゃいけないわけよ。2回分で€2000とかするからね。俺の今のボートは自分でトレイラーで出し入れできるからお金かかんないしいいんだよ」
「だったらこれで充分よね。寝心地いいしボートの機能は全部揃えてあって不便ないし」
そんな会話を、大富豪の超豪華ボートの傍らでしている。
€85 million 日本円だと130億円。また年間の維持費も毎年10億円かかる。
窓もピカピカ。塵一つなさげな巨大船。
それもそのはず毎日たくさんの掃除スタッフが朝から晩までデッキを行ったり来たり。
この仕事は高級職。維持費の殆どは人件費だという。
生粋の大富豪だからこそある資金源。
オーナーはカリフォルニアからきたアメリカ人。5世代続く富豪とのこと。
このアイルランドの港町キンセールにも8億円の別宅を購入した、なんて情報まで夫は入手した。
きっと世界中に別宅があり、プライベートジェットもある、長距離飛行はファーストクラス。
この富豪が使うお金、最貧困の年間予算など超えてしまうんじゃないだろうか。
私達の
「ボート停泊所は1日€28で安い!」
「子供の洋服殆どお下がり貰えて得してる!」
「日本行きの航空券がめちゃくちゃ高い。もう毎年帰るなんて無理だー」
的一喜一憂もなければ家事だってした事ない。
富豪と我々の生活を比べては夫と苦笑い。
でも苦笑い出来るだけ、私達も少しは余裕があると言う事かもね、なんて自分を慰める。
高級ボート停泊所はお金持ちの社交場。その世界を覗き見させてもらいました。
では自分達の世界に戻ろう。
という訳で二泊三日お世話になりました。さぁ帰るぞ。
帰りはあまり風がなく。
しばらく帆を出してみたけれど動きが遅い。という訳で夫は早々とエンジン起動。
帰りも子供達はボート内でお昼寝をしっかりとした。
私達のテリトリーの湾内に着く直前、夫の携帯が鳴る。
義理父がボートを出してこのボートを見に来てるという。
しばらくするとこちらのボートに向かってきた小さなボート。義理父が男児二人を乗せている。うちの子達の従兄弟二人が大きく手を振る。
海上で少しだけ会話をして、また明日!
そこから約30分で到着するはずだ。
私は船内の荷物を片付け、寝袋を全て収納、ハンドクリーナーで掃除機をかける。
よし。ずいぶんきれいになったぞ。
停泊所に到着。二泊三日。いい旅でした。来年また同じ場所に行くかもしれない。けれど次回からは私が車で行くかな。
気付けば長いと思っていた夏休みもあと一か月。
涼しいアイルランドで夏を満喫します。