たかい、たか〜いの国。
おはこんばんちは。飯塚です。
10日前くらいに我が家のガレージにツバメの夫婦が戻って来ました。
それでもまだまだ気温が上がらない。
4月25日の朝は芝生や車の窓ガラスが久しぶりに凍るほど寒く、もうすぐ5月なのにまだまだ冬のコートが手放せない。
週末から気温が14℃くらいに上がる、という天気予報を信じたい。
20年前の初ヨーロッパ旅の写真はないけれど。
ちょうど20年前、ヨーロッパに初めて旅をした時、確かユーロの為替相場は160円代。
まだ20代の安月給の初ヨーロッパ旅行の感想は情けないことに
「ヨーロッパ、何をしても高い」
でした。
当時、ベルギーのブリュッセルに住む弟を訪ねたので、宿泊代は若干浮きましたが、地方に行き一人でご飯とグラスワインを頼んで6000円、宿泊費も小さなゲストハウスで一泊一万円越えた記憶があります。
時が経て、2012年の一人旅時代。
当時の為替相場は私に追い風で確か€1が100円、という時期もしばらくあったのは助かった。
それでもヨーロッパで「安い」と感じる事はない。
特に当時の「物価が安い」の代表的なタイやインド、ネパールと比較すると財布の紐が固くならざるを得なかったのです。
インフレプラス円安。
コロナが落ち着いたと同時にロシアによるウクライナ侵攻。それに伴いインフレが加速。
ニュースや新聞もこの話題ばかり。
友人との会話も物価高の話になりがち。
日本人同士だと更に日本円との比較になるのでインフレのエグさが際立つ。
去年くらいから特に日本円が弱いまま変動がない。
こちらに生活拠点を置いてる身としては、日本に帰国した際などはどこ行ってもだいたい「安いな」と感じ、洋服や靴など爆買いしました。
10年前に旅で出会った日本に行った欧米人達でさえ
「日本は高いと想像してたけど、意外とリーズナブルだった」
と口を揃えていた。
という事は今なら「日本激安国」なはず。
逆に日本人には欧米旅行の敷居が上がる。
パリのルーブル美術館職員は日本人観光客がいまだに全然戻ってこないのを不思議がっている、とパリに住む日本人がTweetしていた。
日本からヨーロッパ旅行、航空券も高くなったのを加味すれば10年間の2倍近くお金がかかるかもしれない。
賃金が上がらない日本人は旅をするお金がなくなったのだ。
それなのに、昔の日本のイメージを捨てきれない人はまだ「日本は高い国」だと信じている。いや、信じたい。
私の両親ですら
「東京は物価が高いから」
などと言う。
「日本は物価や電気代が上がって大変なの」
とか、友人も
「保育料が月に6万もかかるんです」
う〜ん。
それ、安いんじゃない?
アイルランドのインフレ状況。
こっちのインフレと物価高、具体的に言うと。
ダブリンで保育料をまともに払うと€1200かかると言われている。€1を145円換算で日本円だと174000円。
先日、子供達連れて行った動物園。
園内の子供用チキンナゲットとポテトフライ、ジュースで一人前€9もしたのは度肝を抜かれた。
€1を145円換算で日本円だと1300円⁈
いやー、もう二度と買わない。と心に誓い家に帰って夫にも散々愚痴る。
こちらではいわゆるフィッシュ&チップスになる一番安い魚「鱈」先日魚屋さん行ったら1㎏€19なんて書いてある!
えー、前はたぶん半額くらいだったよね?と思わず
「魚高くなりましたねー。どうりで今やフィッシュ&チップスが高級食な値段な訳だわー」
なんて言ったら、顔馴染みの店員さんが
「漁をするのに燃料費の高騰。電気代高騰で冷蔵庫や冷凍庫のフル稼働しているから毎月値上がりしてる感覚だよ。外食産業も大変だよね。アイルランドもインフレしてるけどさ、この間南アフリカ共和国行ったんだよ。すごい物価高いんだよ。アイルランドの比じゃなくてビックリした」
なんて話してた。
いつも買う日本風のお米も一年半前から€10以上も値上がりしている。
お店の人達は毎回お客さんと値上げの愚痴を言い合う。
店員さんを責めてる訳ではなく、ただ
「高くなったよねー」というだけ。
誰のせいでもなく止められないこの現象。
電気代の高騰は昨年から話題になっていたけれど、友人から聞いた話だと、クリスマス時期に成人した子供達が里帰りに来て家族全員がヒーターやらシャワーを好き放題使ったら請求が€1500だった、という普通の一軒家の一か月料金とは思えない話で驚愕。
日本円で21万7500円。
一か月の電気代でこんなの何かの間違いだよ!って思うはず。
いつの時代も若者は様々な理由でアイルランドから出ていく。
アイルランドはヨーロッパでも物価と家賃が高すぎる事で元々悪評高い。
同じユーロ通貨でもスペインやポルトガルは安い。
つい最近もイタリア人がアイルランドの物価高を延々と愚痴っていた。
外食や物を買うのも税率が高いからアイルランド産のウィスキーやジンなどをお土産で買っても、実は国外の方が安かった。みたいな話をジョークで皆話している。
ダブリンの家賃、一番安い1LDKで€2000、先の保育料と合わせるとダブリンで子供育てながら賃貸に住める、または家を買える人は現実的には殆ど存在しない。
新聞やニュースではインフレが落ち着き始めた、とは言っているしガソリン代も最高値よりは二割位は値段が下がった。
それでも、若い人は国外に流出する。
「この国ではアパートすら借りられない。もう住めない」
と絶望して新天地を求める。
さほど友達がいない私の周りですら、
「アイルランドにいたら賃貸でも生活できないし家なんか買えない。生活の質とお金のバランスが割に合わない」
とスペインやフランスに移住した家族が三家族いる。
日本からアイルランドに来た留学生は節約第一で日々を過ごすしかない。
せっかく異国で学生生活をしてもパブでビール、カフェでコーヒーも気軽に楽しむことすらできない。
識者はアメリカもイギリスもヨーロッパもしばらくインフレの状況は変わらないという。
円安はどうだろう。
30年賃金が上がらず経済大国からもはや退いてしまった日本。
外野に住んでいても「日本は安い」と言われるのはモヤモヤする。
日本経済、持ち直して欲しい。若い人にはまた旅を楽しんで欲しい。
インフレも円安もできるだけ早く解消されますように、と願う日々です。