ブライトン観光。
おはこんばんちは、飯塚です。
この日曜に夏時間になりました。これからはどんどん日照時間が長くなります。
実はまだまだ寒いですが、春は実感できています。
先日、イギリスのブライトンに住むイタリア人の友人宅におせわになりました。
イギリスとアイルランドの移動はほとんど国内旅行みたいな感じで割とお手軽。
ちなみにブライトンはイギリス国内でロンドンに次いで日本人人口が多いそうです。(カフェでたまたま隣に座った在住日本人情報)
というわけで今回はブライトンぶらり旅日記。
ブライトン=海辺の街
朝、窓の外からカモメの鳴き声が洩れ聞こえる。
海が近いんだなぁ。そういえば私の家も海近いけどカモメは来ないなぁ。なんてぼんやり考える。
窓の外、ずいぶん明るい。天気大丈夫かな、良かった!
「おはよう!よく眠れた?寝心地大丈夫だったかな?」
と言いながらすぐにキッチンに向かいエスプレッソメーカーを火にかけるシルビア。
イタリアンによるラテとリンゴケーキの朝ごはん。
腹ごしらえしたらシャワー浴びて身支度して出発。
まだまだ寒いけれど、こんな風に太陽が出てるなら大丈夫。
信用できないイギリスの天気、折りたたみ傘は持っている。
今回はロンドンには行かず、イギリスの南東の海沿い、ブライトン観光。
ブライトンはシルビアの家から電車で一駅。今日は天気がいいから海沿いを歩いて市街地へ行こう、という予定。
歩いて20分ほどで視界が明るくなった。
海岸沿いについたのだ。
海沿いには高層マンションが立ち並ぶ。
「私もあんな風に海が見える部屋を買いたかったけれど高いし駅からは徒歩圏内じゃないからね。今の部屋で気に入ってる。」
そうだよ、いい部屋住んでるじゃない。海沿いにこうして歩いて来られるだけで十分だよ!
海の近くに住む私。
ビーチ沿いを歩いても特別
「わぁ〜、海だ!」感はない。とはいえ田舎の海沿いと都会のビーチは雰囲気が違う。
土曜日の午前中。
犬の散歩、ジョギングの人々。
誰もが明らかに私のいる村の人よりオシャレ。
シルビア
「ブライトンはアーティストが多いの。ギャラリーが多いしミュージシャンの家も結構ある。アデル、ファットボーイスリムのメンバーも住んでるらしい。あとはゲイキャピタルだからゲイの人が多いよ」
ブライトンを検索すると必ず出てくるカラフルな家。
海岸沿いを歩き、コーヒーとシナモンロールを食べて休憩。
何年振りかの友達とショッピング
海沿いを背にして市街地へ。
街並みは細い路地が迷路のように入り組んだエリアに。
時間が昼近くになると路地に人が溢れ出す。天気の良い週末。買い物、デート、ランチにぴったりだな。
かなり見応えがあったのがアンティークのマーケット。70年代風のコーヒーカップ、欲しかったけど今回は見送り。
次来たら買っちゃうかも。
面白いのは会計の際にブース毎の売り上げを店員さんが手書きで台帳に記入していた事。
カード決済できるけどこのアナログ感に萌える。
またポスター屋さんのラインナップも圧巻。しかもかなりお手頃価格。
我が家に飾ってるアンティーク調のボタニカルアートポスターはオンラインでドイツの会社から買ったけれど、やっぱり「本物ショッピング」の方が断然気分が盛り上がるな。
しかもかなりお手頃価格。
という訳でA3サイズポスターも買いました。平たい物は荷物にならないから大丈夫。
失敗しない外食法とは。
ランチはパブで私はフィッシュ&チップスを、シルビアはチーズバーガーを。
アイルランドもイギリスもレストランにメニューは色々あっても、客の8割はハンバーガーかフィッシュ&チップスを頼む。
とりあえずそれにしておけば間違いない。
シルビアも私も、そんなレストラン事情に慣れたんだなぁ、イギリス人化してる、などと内心苦笑い。
フィッシュ&チップス、衣がサクサクで魚も新鮮でビールと食べるの最高!
さてさてまた元の道に戻り、アンティーク店を今度はゆっくり見て、私は留守番をする子供達のお土産も調達。
アジア食材店があったので中を見物。
韓国料理屋や日本料理屋もちらほらある。
写真撮り忘れましたが、今イギリスとアイルランドは「タピオカドリンクブーム」が来てまっせ!!あちこちにお店がありました。
カフェでコーヒー飲んだ後は映画を観ることに。
ケイト・ブランシェットの「Tar」チケット買ってから店員さんに
「上映時間、何時間ですか?」
と聞いたらまさかの
「三時間です」
え?思わず2度聞してしまった。
長いなぁ、大丈夫かなぁ、と二人揃って今更及び腰になってしまったけれど、お金払ったしね、見よう。
実際見始めたら始めはちょっと長く感じたけど後半はかなり気が抜けない展開でグイグイ引き込まれて。
帰りは二人でしばらくこの映画の話で盛り上がってしまった。
私「現実と妄想ないまぜ感はナタリー・ポートマンの「ブラックスワン」みたいじゃない?観た?」
シルビア「それは観てない。私はニューヨークが舞台のジャズドラマー『セッション』思い出した。観た?芸術家が極限まで突き詰める世界は私にはわからないけど。」
そうなのだ。素人には知り得ない世界。美しい表舞台を作り上げる中で生まれる狂気。
ケイト・ブランシェットは大好きな女優ですがもうこの映画は彼女の凄みをとことん堪能できます。
英語話者じゃない者同士の悩み。
映画の話から
「でもさ、専門用語もわからないし、俳優によっては聞き取れなかったりセリフが早かったりで字幕ちょっと欲しいとか思う時あるよね」
と英語の話になる。
シルビア「私もいまだにNetflix英語字幕もつけて観てるけどよくないのかな。同僚も聞きづらい人いるし」
私「私は字幕つけないけど、やっぱり物によっては本当にわからない時ある。イギリスとアイルランド英語は耳慣れしてるけどオーストラリアとアメリカ物は聞き取れない俳優がいる事が多いかな」
英語圏に来て約10年、まだ見えない壁がある。この先も変わらない気がしてたまに一人で絶望する。
でも私だけじゃないんだ。英語ネイティブじゃない人の同じ悩みを聞き少しだけ自分を宥める。
タイ料理ディナーを食べながら旅の話に。
シルビアが唯一行ったアジアはタイ。
各国の旅好きと話すと実感すること。
恐らくタイが世界で一番旅人に愛されてる国ではないかと思う。
タイ料理、物価の安さ、ビーチ。マーケット。エキゾチックな雰囲気。インドほどハードル高くなく純粋に楽しめる。
日本からも近くて安かったタイ。私の初海外もタイのバンコクだった。
シルビア「でも本当は日本に一番行きたいの!ね、日本に帰国するタイミング合わせたら少しは会えるかな?帰国のチケット取ったら一応教えてよ。私もその時期に日本に行けるか調べるからさ」
あー、私もシルビアを案内できたらどんなに楽しいだろう。外国人観光客が辿り着けないディープなJAPANを見せたい!
私「あー、明日朝には帰るのか。早いなぁ。飛行機キャンセルされても全然構わないんだけど」
シルビア「本当にね、大丈夫?楽しかった?またいつでも来てよ。今度はロンドン行ってもいいよね」
私「なんで今まで来なかったんだろうね?すごく近いのにさ。今回本当に楽しみにしてたけど、こんなに楽しい週末なかなかないよ。また来る!うちはまだゲストルームがないんだけど、出来たらアイルランドに来てよ。うちに泊まった後は車で景色良いところドライブしてアイルランド小旅行しよう」
シルビア「あとどこかお互いの空港から直行便出ているところで待ち合わせしよう!」
私「スコットランドのエディンバラは?私エディンバラの街並み凄く好きなんだよね。」
この話題はこの後延々と続いた。
答え合わせの時間です。
朝、8時15分の電車で一度ブライトンまで向かい、電車を乗り換えてガトウィック空港へ。
今日も青空。昨日より暖かい。
電車に乗り、聞き忘れていた事を思い出した。
「ねぇ!ラザニアってどうやって作ってる?」
通路挟んでボックスシート反対側の男性がふっと顔を上げて私達を一瞥する。
シルビア「ラザニア?えーっとニンニク、玉ねぎ、セロリの微塵切りに刻んだサンドライトマトを炒めるの。
サルディーニャから持って来てるこのサンドライトマトを入れるだけで風味が凄くよくなる。あとはトマト缶と肉は牛肉と豚肉半々がいいかな、それからビーフストックみたいのと。」
私「赤ワインとベイリーフは?」
シルビア「入れる!あとなんだっけ、小さいの、名前出てこない。あれを入れるのを忘れちゃいけないのよ。えーっと…」
私「ハーブ系?タイム?セージ?オレガノ?クミン?」
首を振り続けるシルビア。
通路挟んだ反対側に座る男性は明らかに我々の会話を聞いている風で口元が笑っている。
どことなく口を挟みたそうにも見える。
シルビア「あ!クローブだ!あの黒い小さいの、あれを粉々にしたのをちょっとだけ足すのよ。」
私「へー、クローブとサンドライトマトか。今度足してみよう。」
電車はブライトン駅に到着。ここで乗り換えだ。
乗り換え電車ホームで立ち話をしていると、先程私達の「ラザニアトーク」を聞いていた男性が歩いて来た。同じ電車に乗るのか、と見ていると、彼は私達に近づき即座に笑顔で切り出した。
「君たちラザニアにはニンジンの微塵切りも入れるよね?」
これを言いたかったのか。
シルビアも私も「あ!ニンジンは確かに入れる!」
男性「それと、トマトピューレ。トマトピューレは煮込む途中に入れるんじゃなくて最初にトマトピューレをニンニクとかと炒めて少し焦がし気味にして風味を出すんだ。」
私「へー、今度それやろう」
男性「それとウスターソースをちょっと。これで完璧だ」
私「あ!私もウスターソースは必ず入れる!」
男性は大きくグーサインしながらウィンク。この人誰か知らないけど「正解」になった気がするのは何故だろう?
シルビア「へー、ウスターソース?聞いたことない。」
イギリスのウスターソース、イタリア人は入れないだろうな。イタリア人がイギリス人にミートソースの調理法を聞く事だってないだろう。
言いたい事を言って先に電車に乗り込む男性。
「で、あんた一体誰よ?」
男性の後ろ姿を見ながら二人で笑いを堪えきれずにこっそり突っ込む。
正解が一つじゃない事が料理の良さ。
アメリカでアボカドが寿司に重宝されたように、ウスターソースをミートソースに入れたのはイギリス起源なはず。
更にコツを集めたミートソース、次回作るのがちょっと楽しみになった。
答え合わせも無事終えてシルビアとはここでお別れだ。
9年ぶりの再会、会えなかった時間など全く感じさせない位に楽しかった。
11年前のイギリスでのシルビアとのお別れと決定的に違うのは
「いつでもまた会える」
とわかっているから。私達に寂しさも悲しみもない。
家族と離れて友達とゆっくり会う贅沢な週末は最高すぎた。この息抜きでずいぶん元気が出てまた頑張れています。