友に会うまでの道。
おはこんばんちは。飯塚です。
もう3月中旬。実はここ数週間寒さがぶり返しています。明後日はセントパトリックスデーなんですが、雨予報で寒いらしく。
あぁ、どうなることやら。
9年ぶりに一人でイギリスに遊びに行くぞー。
1人分の航空券を手配して1人分の荷造り。
大人1人分、全然物が必要ないんだな、なんて事実を改めて思い知る。
幼児や赤児がいると、食べ物、オムツ、着替え。
一番小さい人に一番荷物が必要なのだ。
あれが本当に面倒なんだよな。
LCCなので荷物一つにもお金がかかる。元々安い航空券だけど、荷物代がかからないように服は圧縮袋に入れ小さなバッグパックに。
二泊三日とはいえ、初日と三日目は飛行機移動だけ、みたいなものだ。
いそいそと準備してオンラインチェックインまで済ませて、私だけがウキウキモード。
子守り兼留守番の夫はいつまでも浮かない顔で
「赤児だけ連れていけば?ほらかわいいでしょ。大丈夫だよ。わがまま言わないしさ。邪魔しないよ。連れて行ってあげようよ。」
なんていう。
男児達は私が居なくても無問題。
勝手に2人で遊んで喧嘩して、寝る。
私と添い寝する赤児。実は私以外の人と寝たがらない。夫が寝かしつけをするとギャン泣きするのだ。
私が夜外出できない理由はこれだった。
他人や夫の両親に預けないけどあなたもこの子の父親なんだから、がんばれ。
一応ラザニア とサラダとブラウニーは作った。洗濯物も全部やっつけた。
週末よろしくお願いします。
もうニヤニヤが止まらない。
ある意味日本に帰国するよりも楽しみなのは、子供達から離れて自分の時間を過ごす事。
長い一人旅をしていた頃から益々物欲がなくなり、欲しいのは物ではなくてそんな時間だけ。
空港でまさかこんな目に遭うとは。
空港に到着。
オンラインチェックインして荷物預けもないとめちゃくちゃスムーズなんですね、そんな事すら知らなかった。
いやー、空港1人とか最高じゃない?
一人旅時代を思い出す。
子供達いると免税店すらロクに見れないからほぼ素通り。
コーヒーとデニッシュで腹ごしらえ。
ゲート前でboarding time のアナウンスを待つ。
隣りに座る男性が航空会社のアプリを見ながら
「40分遅れるってよ」
しかめ面で教えてくれる。
逆側の隣りの人も
「え?40分?あーあ。」
私の両隣り、さらにその隣りも全員一人旅。皆で情報共有。アイルランドは知らない人でも世間話をよくします。
40分経っても全く動きがない。
「一体いつ乗れるんだろう」
「ずっと待ってるの、疲れるわね」
隣りの男性がスマホ見ながらまた呟く
「おい!今度は搭乗時間4時、出発4時半だってよ。勘弁してくれよー」
「え?元々到着時間が4時過ぎだったのに!まだ1時間待たないといけないの?」
空港に迎えに来てくれるシルビアには逐一連絡を入れる。
彼女の家は空港から電車で30分らしい。搭乗したらまた連絡を入れなければ。
こういう会話は久しぶりです。
隣りの女性が
「私、今日誕生日なの。誕生日にロンドン行って楽しむはずが、まさかこんなに遅れるなんて最悪だわ」
「ハッピーバースデー。きっと向こうについたらいい事あるよ。」
「ハッピーバースデー。これが最悪な瞬間よ。あとは良くなるだけ。」
彼女への慰めは自分自身への励ましだ。
彼女はイタリア人だとわかり、私も日本人だと告げ、物価や食べ物の話でしばらく話す。
「アイルランドって本当に物価高いよね。外食とか信じられないくらい高い。イタリアだとグラスワイン€3くらいなのよ。アイルランドだと€8くらいするじゃない。別に美味しくもないしさ。」
「そうだよね。日本は物価高いと思われてるけど実はかなり安いから、アイルランドは何でも高すぎるって思うよ」
「日本て物価安いの?高いと思ってた」
「アイルランドから来たらだいたい安いと感じるわよ」
イタリア人に市内の美味しいレストランを聞きたい。
「この街にオススメのイタリアンレストランはある?」
「ないかな、自分で作る」
やっぱりそうか。うん、そうだよねー。
「日本レストランはある?」
「いやー、同じかな」
イタリア人の隣りの男性
「僕は日本に住んでたんだよ。富山の田舎だったんだけどね」
北アイルランド出身だという彼、アイルランド訛りが全くなくきれいな英語を話すな、と思い
「英語の先生してたんですか?」
と聞いてみたら苦笑いしながら頷く。
いまだに英語を聞き取れない事はあるけれど英語の先生、また医師や教職につく人の英語は本当に聞きやすい。
「日本のご飯は本当に美味しいよね。お寿司もラーメンも普通の食堂もどこも最高だったよ。アイルランドやイギリスであのレベルであの値段のものはないから。それに友達がこっちにある日本食レストランを絶賛してても僕は信じないね。殆ど冒涜に近いレベルで愕然とする。ヨーロッパで寿司好きとかいう人達はロールを意味してるけど、日本で意味する寿司は違うよね。あれをまた食べたいよ」
「あとはあの日本の旅館の朝ごはんが良いんだよね。いろんなおかずがあってさ。目移りするんだ。あれもまた食べたい。」
イタリア人
「日本の朝ごはんって何食べるの?」
私
「いまはシリアルとかパンが割と普通なんだけど、伝統的なのはご飯と味噌汁と卵や焼き魚、漬物とか」
イタリア人
「朝からスープとご飯、焼き魚食べんの?全然ピンとこない」
アイリッシュの男性
「僕も最初はそう思ってたけど実際食べるとハマるよ」
私
「私はアイリッシュブレックファーストの肉攻めプレートの方がいまだに信じられないけど。」
イタリア人
「アイリッシュブレックファーストってのがあるの?何食べるの?イングリッシュブレックファーストみたいな感じ?」
へー、アイルランド住んでてもアイリッシュブレックファースト知らないのか。確かにアイルランド歴が長い友達も身近にアイリッシュがいなくてアイルランド人のこととか全然知らない人いたなぁ、などと思い返す。
アイリッシュ
「まあ、イングリッシュブレックファーストとあまり変わらないんだけど。やっぱり肉が多すぎるな、と最近は思うね。だいたい普段食べないからね」
私
「うちは日曜日だけ食べます。だいたい皆そんな感じじゃないかな。時間がある週末の朝だけゆっくり食べる、みたいな」
アイリッシュ
「そうだね。週末とか休暇でホテルで食べるのが良いんだよ。」
私
「うちの家族が日本から来る時に義理両親にアイリッシュブレックファーストにサラダつけて欲しいとリクエストしたらかなり怒った顔でイラつかれたんですけど、やっぱりおかしいんですかね?テリヤキチキンのスシ食べたい、とかいう外国人みたいな感じなのかな?」
アイリッシュ
「アイリッシュブレックファーストにサラダ?!そんなの聞いたことない。義理のお父さんが怒るのも当然だ。そうだね、日本にないスシを欲しがる外国人と同じだね!」
などと言いながら爆笑されてしまった。えー、だってあんなに朝から肉食べたら胸焼けするじゃん。
あぁ、私やっぱりアイリッシュとは一生、食に関して分かり合えない、と改めて実感。
この会話で退屈な待ち時間、最後は苦痛にならずに済んだのはありがたい。
この、日本住んでた事ある日本大好き外国人、旅してる時によく会ったけど、久しぶりに出会った。
予定時刻より2時間遅れて出発。
そこへやっと搭乗案内アナウンスが。
列に並びながらこの日本好きアイリッシュと話し続ける。
「旦那さんとは日本で出会ったの?」
「いや、モルドバで。東欧ですね、日本でもアイルランドでもないんです」
「へー、珍しいね」
「ずっとアイルランド住んでるの?」
「もう10年くらいですね」
「アイルランドの生活はどう?」
「日本では都会に住んでて東京で働いてて外食とか飲みに行ったり買い物して独身時代を謳歌したけど、今の子供達がいる生活だとアイルランドの田舎の方が環境はいいですね。子供達と日本の都会に住みたいとは思わないです」
「そうだよね、東京は人が多すぎて子供連れ向きじゃないよね。物価高と天気は自慢できないけどアイルランドの環境は良いよね。ダブリンだと治安悪い所あるけどこの辺りの田舎なら子供ものびのびしてるでしょ」
「僕は富山の暮らし楽しかったなぁ。立山にも二回登って白川郷も行ったし。温泉も行ったし。もうすぐ桜の時期だよね、また見たいな」
飛行機では彼は前の席。私は後方。会話は途切れたままで終了。
とはいえ、久しぶりに一人旅時代みたいな体験をした。
2時間も遅延したのは災難としか言いようがないけれど、こんな風に知らない人と話すの、誰かと一緒だったり子供達連れている時も余裕なさすぎてこんな会話はできない。
飛行機に乗り込み、シルビアにメッセージを送る。
「やっと飛行機乗ったよ」
「良かった〜!じゃ空港でね」
1時間半かからない空の旅。
あー、めちゃくちゃお腹空いた。
飛行機から降りて空港内へ。
荷物も待たなくていいし、アイルランドからイギリスは国内旅行扱いでイミグレすらない!
こんなにも楽勝だとは。
シルビアから少し遅れる、とメッセージが。
出口からすぐのお店でポテトチップスの小さいのを買い、とりあえず腹ごしらえ。
待つこと5分でシルビアから電話が。
「到着ターミナルついたけどどこにいる?」
「私の出口、国内専用みたいだよ」
「あ、そっちなのね、コスタコーヒーはある?」
「ないなぁ。」
「わかった。探すからそこにいて」
しばらくして手を大きく振りながら走ってくる小柄なラテン女性が現れた。
「シルビアー」
「ジュンキー」
というわけで来週に旅録続きます。