日本の小学校体験入学ーその後編ー

おはこんばんちは。飯塚です。

二月もあと僅か。

春の訪れをかなり感じる田舎暮らし。また日がずいぶん長くなってきたのが何より嬉しい。

朝も夜も明るさが長引いてくると気分が明るくなります。

2月22日、子供達を学校に送ったら、学校の木(桜みたいだけどなんだろう)こんなに咲いてました。

あれから、の話。

昨年10月の一時帰国の際に日本の小学校に三週間ほど体験入学した小学校二年生の息子。

連載で長い体験記となってしまいましたが、今回はその最終回です。

6週間ぶりに戻ったアイルランドの学校。小さな学校なのでクラスメイトは息子の登校を待っていたようだ。

息子自身も彼らとの再会は嬉しそうだった。

朝、校門の外で息子達が久しぶりに会う友達と談笑している様子を見届けながら、私も久しぶりに会うママ友達に

「おかえりなさい!日本の小学校はどうだった?」と聞かれる。

「すごく楽しかったみたいで、日本の学校にもっと通いたい」と言ってたくらい。」

と話すと

「え?!日本の学校好きなの?日本語もそんなに普通に話せるの?」

という反応がほとんど。彼らは息子が日本語を話している姿すら想像つかないのだ。

日本の学校に居たかった息子。給食も美味しかったし、学校から友達と話しながら下校するのも楽しかった。

担任の先生も今まで受け持たれた先生の中で一番好きな先生、と今でもいうほど。

優しくて、わからない事も丁寧に教えてくれて、休み時間はクラスの子達と追いかけっこや野球なんかもしてくれる。

アイルランドの学校のお友達にそんな話をすると、誰もが

「え〜、そんな先生だったの!いいなぁ」

なんて羨ましがられる。

デジタル時代の“エアメール”

アイルランドに戻って1週間経ち、日本の小学校宛に手紙を書いた。

私は担任の先生にお礼状を。息子はアイルランドの絵葉書に

「学校楽しかったです。またみんなとあいたいです。」

というような文面でアイルランドの家から自分が手を振っているようなイラストを描いた。

また、実家の母からの提案でクラスに本のプレゼントをしてもらった。

アイルランド作家、ジョナサン・スウィフトの

「ガリバー旅行記」

「ファーブル昆虫記」

クリスマス前はクリスマスカードを送った。

そのカードには

「ぼくはアイルランドの学校をたのしんでいます」

と書いてあったのは、私もホッとした。

日本の小学校は楽しかった。お別れは悲しかった。

だけれど、ホームのアイルランドの学校だって元々好き。大好きな先生も友達もたくさんいる。

12月、日本の小学校のクラスにいたアメリカ人ハーフのL君からビデオコールが来た。

アメリカに引っ越したL君、ママによるとまだ家探し中との事だった。

息子は私のスマホを掴みしばらく自室でL君と話をした。

日本でできた友達とこんな風に交流が続く事は喜ばしい。

アメリカに来たばかりで心細いはずのL君、でもアイルランドとアメリカ東側なら日本より近い。

またいつか会えるといいな、などと楽しい未来を勝手に想像する母。

手紙が来たら思い出す一人一人の顔。

一月某日、日本から分厚い封筒が届いた。

小学校から息子宛に。

学校から戻った息子に封筒を見せ

「日本の小学校からお手紙きたよ」

と伝えると、目を爛々と輝かせ封筒を開けた。

先生からの手紙、そしてクラスの子達全員からの手紙。名前を読み上げると、

「この子は休み時間にいつも追いかけっこした。この子はぼくの隣りの席だった。この子はあのマンションに住んでる子」

などとしっかり覚えている。きっと顔も思い浮かべているんだろう。懐かしみながら心底嬉しそうだった。

手紙には

「また会いたいね」

「忘れないよ」

「たのしかったよ」

と言った言葉が並ぶ。

また「贈られたガリバー旅行記が面白かった」や「本のプレゼントありがとう」と言った文面も多かった

メッセージの裏面はイラスト。

息子がアイルランドの家の絵を描いたからか、たくさんの子達が学校の絵を描いてくれたりはなまるを描いたり。

ハガキサイズの用紙の表面にはメッセージ、裏面は思い思いのイラストを描いてくれた。学校の絵、東京タワーやスカイツリー。アイルランドの国旗やはなまるがずらり。

翌週には先生から年賀状が。

これは私達からのクリスマスカードのお返しのようだった。

その年賀状に

「クラスの子供達のカードの封筒は届きましたか」

とあったので、またこちらからはバレンタインデーにカードを書いた。

アイルランドのバレンタインは日本と違って男性が恋人に花束やプレゼントを贈るのが主流。スーパーで見つけた「友達に送る仕様のバレンタインカード」でメッセージを。息子はいつも「はなまるください」と書くので先生とお友達からたくさんのはなまるがきました。

日本語でメッセージを書くのは今でもあまり得意ではない。それでも大好きな先生や友達なら書く気になる。

漢字の勉強を続ける理由。

日本の体験入学が楽しめたのは、拙いとはいえ日本語の読み書きや漢字の勉強をしていたから、というのが大きい。振り返って考えると「やっておいてよかった」と強く思う。

先生やお友達との会話もままならなくて授業の内容がまるでわからなければ授業も学校も退屈だったはず。

8歳児は、また日本の学校に戻る日を夢みながら今日も漢字ドリルをやる。

モチベーションはそれだけだ。そんな目標が持てる事はありがたい。

こんな環境で日本語や漢字を独学で続けるのは至難の業。

周りに日本語などない世界。新しい文字がなかなか頭に入らないけれど、やれるところまでやってみよう。

次回は息子2号の一次預け幼稚園も本気で探して二人が同時に楽しい時間を過ごせるようにしなければ。

お兄ちゃんが学校楽しむ傍らで暇を持て余してしまった4歳児。動物園に3回通った。今年また帰国するならば短期の幼稚園をちゃんと探そう、というのが最大の課題。

今回の体験入学、息子にとって素晴らしい経験だった。担任の先生にも学校にも感謝しかない。

また、クラスの子供達からの寄せ書きのファイルやお手紙を読みながら彼らにとっても三週間転校生がいた事が良い刺激となっていたなら、こんな嬉しい事はない。

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西果て便り

(毎週木曜日更新)
世界放浪の後にヨーロッパの西端アイルランドに辿り着く。海辺の村アイリッシュの夫、と3人の子供達(息子二人、娘一人)と暮らしています。