「バン メイ」。

衝動的に月末にベトナム行きのチケットを取ってから、ベトナム料理店を営む大学の同級生に連絡を取りました。大学在学時、ベトナムに留学に行くと日本の大学を休学してぽんとベトナムに飛んでいった彼女。常にはっきりした意見を持って、やりたいと思ったことをどんどん実現させていく完全なる「Do」の人。初めてベトナムに行くにあたり「これは絶対食べておけ」というものがあったら教えてもらえたら嬉しいとメッセージを送ったところ、とっておきのお店の情報とともに、「斜めがけのショルダーバックはNGだよ、道でiPhoneを見ながらおのぼりさんのように歩いていてはダメだよ。」と旅を楽しむためにこの部分は緊張感も持って行きなさいという具体的なアドバイスをもらいました。

そうだよねと納得のいくことばかりだったのだけれど、そのメッセージをもらってから、何にも言葉が分からないでいくよりも、少しだけでも言葉を覚えていくかと急に語学オタクのスイッチが入りました。数字やよく使う単語だけでもわかっていたら、心の余裕ができていい具合の緊張感で旅ができるかなと。

少し前ならアマゾンで「はじめてのベトナム語」を検索していたところ。声調が合っていないと通じない中国語を学習した時に痛感した、音がわからないと勉強の進度がかたつむりのごとく遅々として進む、という学びとともに即断で音声の出るアプリをダウンロードしました。中国語の声調は4つ。ベトナム語の声調は6つ。6つ!この短期間でその声調を完璧に覚えることはもちろん不可能だけれど、何もしないよりはやるだけやったほうが旅が楽しくなる。

ということで、Dropsというアプリと共に、ベトナム語のレッスンをスタートしました。例えばナイフのイラストが出てくると日本語とこれを意味する「dao」というベトナム語が出てきて音声が流れる。その後、バターとナイフのイラストが出てきて「dao」はどっちかを選ぶという感じでアプリが進んでいく。ノートに文字を書込みたくなる気持ちをぐっと我慢して耳と目に集中してその都度音声をマネして声に出し、集中力が切れるまで学習を続ける。知らないことを知ることはやっぱり面白い。サンドウィッチだとばかり思っていた「バインミー」という単語。ベトナム語の表記は「bánh mì」だった。発音はカタカナにすると「バン メイ」に近い。意味はパン。バケットも食パンも全て「バン メイ」だった。

これが音のわからない教科書とノートで書いて覚える勉強だけをしていると、発音記号が書いてあっても、どういう音なんだろうとモヤモヤが溜まりに溜まってカタツムリ現象が突如として訪れる。正確な音を発してくれるアプリで一緒に声を出しながら勉強すると、パンを見た瞬間にアプリのお姉さんの「バン メイ」という声が脳内で流れるようになるので、進度はカタツムリからブーンとハチくらいの速さになる。

ベトナムビールの「333」。今回旅先をベトナムにしようと思うきっかけをくれた、ソンベ焼きの器を購入したお店の名前も「333」でした。読み方は「バーバーバー」。これもアプリのおかげでがっちゃんこ。ベトナム語で「3」は「ba」だった。数字を全部足した「9」はベトナム語で「chín」で、ベトナムで「9」は幸福や永遠を意味するのだという嬉しいおまけつきで、発音を知ることができました。

1、2、3、4、5、6、7、8、9、10。「một、hai、ba、bốn、năm、sáu、bảy、tám、mười」

1、2、3、4、5、6、7、8、9、10。「một、hai、ba、bốn、năm、sáu、bảy、tám、mười」

10が難しい!ムオイ。ムオイ。ムオイ。ムオイ。

11からはムオイに1、2、3を組み合わせていけばいい。ただし15の5の音は「năm」が「lăm」に変化する。前の音の影響を受ける音の変化は韓国語に似ている。数字はどの言語でも最初の壁だけれど、ベトナム語の数字は音楽のように軽やかでチャーミング。

1、2、3、4、5、6、7、8、9、10。「một、hai、ba、bốn、năm、sáu、bảy、tám、mười」

繰り返し覚えよう。

アプリがどこまで実力を伸ばしてくれるかは未知数だけれど、笑顔で 「Cảm ơn (カムゥン) 」、いい発音の「ありがとう」が自然に出てくるくらいになるといいな。

仕事の合間に反復アプリ。「học、học」勉強、勉強。

みなさま、よい週末をお過ごしくださいませ。

こいけはなえの気になるもの。

(毎週土曜日更新)
マネージメントを中心に料理家と一緒にand recipeという会社をやってます。とにかく旅が好き。

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