日本の小学校体験入学ー実践編ー
おはこんばんちは。飯塚です。
もう二月なんですね。
日本は今季は寒い冬だと聞いています。
アイルランドは寒い日々も多少はありましたが、私の住むエリアはだいたい10℃前後です。最近は春の兆しもあちこちで見られるようになりました。
さて、昨年10月の一時帰国時に我が家の8歳児が日本の小学校に体験入学したお話シリーズ。
私と息子にとっては人生の一大イベントでした。溢れ出る記憶を綴り続けた結果、連載物になってしまいましたが、興味のある方はお付き合いください。
一日のスケジュール
7時には起きて着替えて朝ごはん。歯を磨き7時45分頃には家をでる。
家の前の道はそこそこ交通量が多い。道路を渡るまで見送ったらあとは一人で学校に行く。
アイルランドの田舎暮らしの少年にとっては一人の登下校すらアドベンチャー。
ママの送り迎えなしで学校に行けるなんてcool。
帰ってきたらおやつの時間、給食はちゃんと食べても帰宅時間の3時にはもう空腹。
焼きそばやあんぱん、焼きおにぎりなんかをパクパク食べる。
お腹が満たされたら宿題。
宿題は毎日漢字の練習、そして九九。毎日暗記を繰り返す。私の時もこれやったな。二年生の時の記憶が蘇る。
アイルランドの学校も宿題はあるけれど、日本の学校の方が量は多い。しかも金曜日は宿題倍増。先生は土日も宿題をするように話しているらしい。
アイルランドの学校で金曜日は宿題免除なのと比べると歴然としている。
親子の独学でやっていた漢字や読み書き、日本の子と同レベルではないことはわかりきっていた。案の定、作文や国語のテストはかなり苦戦。
それでも毎日漢字の書きとりを必死になってやり学校の授業もそれなりに理解しているならそれで充分じゃない?
うちは漢字の書き順、トメ、ハネ、ハライ、まではやっていない。
形さえ合ってればいい。
なるべくマルをたくさんあげないと子供のモチベーションは保てない。
算数の文章問題はちゃんと理解して答えられる。
それだけでもすごいよ、という。
授業に多少ついていけない現実は確かにある。それでも劣等感を抱かせたくはなかった。
8歳児は「日本の学校の方が勉強厳しいと思う」と言いながら、学校が大好きな様子。毎日ハツラツとした表情で登校する姿は頼もしくもあった。
食いしん坊の母の子なので。
日本の学校が好きな理由。
給食。
体験入学の話をするずっと前から息子に聞かせていた「日本の給食、美味しいよー」
これが楽しみでしょうがなかった8歳児。
アイルランドでは毎日変わり映えしないサンドイッチとヨーグルトバー、みかんとか。
いわゆる日本風なお弁当ですらない。
ちなみに私の夫なんぞは11年間毎日チーズサンドイッチを食べ続けた男。その後遺症で今は何がなんでもチーズサンドだけは食べたくない、というのも無理はない。
そんな人生送った男が息子からビデオコールで
「スクールランチ、凄いんだよ!毎日パンかご飯、肉か魚、野菜のおかず、フルーツがでるの。4コースミールだよ!豪華でしょ!毎日違うご飯でおいしいし温かいんだ!日本の学校最高だよ」
なんて自慢話聞かされるのだ。
初日から「給食、美味しかった!全部残さないで食べた」と目を爛々と輝かせて話しつつ、食べるの遅くて早い者勝ちおかわりに間に合わなかった、という反省点もあり。
元々ゆっくり食べるのんびり屋。
翌日からは食べるピッチをあげてなんとかおかわりレースに間に合ったようだ。
ちなみに小学校は給食センターからトラックで給食が運ばれてくるシステムです。
昔も美味しかったし何の不満もなかったけど、今は更にメニューがオシャレなのが羨ましい!
また、普段野菜は好んで食べないのが、給食でサラダをドレッシングで食べるお陰で食べるようになり、家の夕飯でも食べるようになったのは良い変化。
こうやって日本の子供たちは食育されているんだなー、と改めて実感したり。
野菜やサラダを全く食べないアイルランド人、日本みたいな給食食べていたら変わるんでしょうね。
学校は友達と出会える場所。
ありがたかったのは、先生をはじめクラスの子たちが温かく迎えてくれたこと。
初日から最終日までとにかく「学校楽しい」だったのは彼らの存在あってこそ。
休み時間は大好きな担任の先生も一緒に外遊びをしてくれたらしい。追いかけっこやボール遊び。
友達との会話で日本では野球が人気な事や仙台には楽天イーグルスというチームがある事も知った。(野球はアイルランドにはありません)
遊んだり話すのはたいてい男の子ばかり。
女の子とはあまり口を聞かなかったようだ。
毎日一緒に帰るのは二軒隣りのマンションに住むH君。
学校が終わってから一度だけ家に遊びに来てくれた。しばらく遊んで行くかな、と思ったけれどお母さんにすぐ帰るように言われていたらしく、おやつすら食べずに帰ったけれど。それでも、息子は友達が来てくれた事は嬉しかったようだ。
いつも話題に上がるのはクラスに唯一いたアメリカ人ハーフのL君だった。バスケットもしているL君、体験入学前の学校案内の時にも体育館でちょうどバスケットの練習中だった。遠目でも他の子達に比べて頭一つ背が高いのがよくわかった。
日本生まれで日本人同様に育ったらしいL君、それでも見た目が日本人離れしている事やお父さんがアメリカ人ということでマイノリティの意識はあるのだろう。
彼にとって外国から来たハーフの日本人は同志のような存在だったのかもしれない。日本人の子達や母親の私にさえも永遠にわからない彼らの心境。
息子にとって優しいL君の存在はとても大きかった。毎日話題に上るL君、実は年末にはアメリカに引っ越すらしい。
8歳の子供が外国に引っ越す。先の見えない不安や自分は日本に住みたい、などと胸の内を話していたようだ。
すぐに打ち解けたからこそまた、早すぎる別れを惜しんでいたに違いない。
息子は学校を楽しむ一方で、「アイルランドより日本の学校にいたいな」などと呟くようになった。
体験入学をしてよかった、と喜びながらも避けられない別れの寂しさがすぐそこにある現実。
母子共々複雑な心境になるのだった。