日本の小学校体験入学ー準備編ー

おはこんばんちは。飯塚です。

先週木曜日から学校が始まりました。

クリスマス休暇から喧嘩が絶えなかった男児二人。昼間はそれぞれ行くところがあるっていうのは本当に大切だな、と実感している日々です。

昨年10月の体験入学の話をします。

在外邦人の間ではよく知られている「日本の学校体験入学」私も息子が生まれた時からネット上や人伝てに聞いていて、いつか出来たらいいな、と思い続けていたのでした。

それが昨年10月、4年ぶりの一時帰国時にとうとう実現したのでした。

というわけで「体験入学」今週は準備編です。

次回は初日編、最終回は学校の日々の三週間でレポート予定です。

ただ、3週連続かは不明ですし、(途中で息切れして違う話題になる可能性もあり)もしかしたら四週間にかけてになるかもしれません。

とにかく私自身が体験入学をさせてみたかった。

長男が生まれてから、日本語教育は結構しっかりやってきた方かな、と今となっては思います。

日本の学校に行くからには日本語できなきゃ、と3歳からは某子ども向け通信教育の教材もやっていました。

毎月両親から転送してもらいひらがなとカタカナはゲーム感覚で習得。

ひらがなとカタカナはうんこドリルもやりつくした。ソとン、ツとシは難しい。
4年前に帰国した際には私の母ともカルタ遊びができた息子1号(当時4歳)

ひらがなとカタカナをマスターしたタイミング、3年前にその教材の契約はやめてしまいました。

この教材、コロナの時期にやってなくて良かった。飛行機の便が激減したこの時期、日本と欧州の郵送ができない状況が何ヶ月も続いたのです。

コロナで帰国出来ず遠ざかる日本。

日本人の友達もいない状況で日本語を勉強するモチベーションを保つのは至難の業。

せめて、TVくらいはと日本のアニメ、ポケモンやドラえもん、また戦隊シリーズも以前はよく観ていたけれど、英語の方が快適だし弟も楽しめるTV番組は英語モノ。息子2号は母(ワタシ)の簡単な日本語は理解できるけれど、TVの複雑な会話にはついていけない様子。

息子1号には日本語教育がんばった母、すみません、2号は油断していて全然何もしておりません!!

日本ものを観る時間がめっきり減るどころか皆無な状況になってきた。たまに日本語のを観るように勧めても殆ど途中で飽きて観るのをやめてしまうのは悩みのタネに。

きっとこのまま帰国できなければどんどん日本語が消えていくんだろう。

だって、この生活圏ではまるで必要ないんだから。

日本行き航空券、4年ぶりに取ったぞーー!

9月末の日本行きチケットを購入したのは5月。今までで最長、6週間の長期滞在。なぜなら念願の体験入学をしたいから。

あぁ、久しぶりに帰れるんだ。4年ぶりの帰国。

息子1号、小学二年生、本当に体験入学できるのだろうか。

チケットを取り、周りの人に日本行きの話をする度に滞在期間の話になる。

「6週間もいるの?」

「日本の小学校に通えるらしいから申し込むつもりなの」

「えー、そんな事できるのいいなぁ。日本語も上達するね」

この会話が何回再生された事か。

しかし、ある時気付いた。

息子1号が浮かない顔をしているな。

日本の学校行く話をされてプレッシャーに感じているのか、本人に聞くと確かにそうだという。

「日本の学校、勉強しに行くためだと思ってる?勉強なんてさ、そんなに大切じゃないよ。勉強とか漢字はあなたには難しい、そんなの当たり前じゃない。あなたは英語で生活してるんだから。学校に行く意味はさ、同じ歳のお友達と遊べる、友達をつくるためだよ。それにアイルランドと日本の学校は違うんだからそれを体験するだけでいいんだよ。」

と改めて話すと、だいぶ様子が明るくなった。そうか、勉強第一だと思って心配だったんだ。

去年もらった教科書。海外在住でも日本国籍があれば大使館経由で日本の教科書が無料で配布されます。(滞在国の輸送費のみ本人負担)

勉強は大事ではない。

とは言っても、学ぶために学校に行くのだ。ましてや集団生活、こちらもそれなりに準備はせねば、と漢字のドリルだけはやり続けていた。漢字を本格的にやり始めたのは去年の10月から。

一年生の漢字は3月中には終わらず、二年生の漢字に着手したのは5月。

普段は学校の宿題と一緒に漢字の勉強をしていたけれど、夏休みに突入すると勉強の機会を逃す。アイルランドに存在しない夏休みの宿題。ああ、こんな状況で日本の学校ついていけるのか。

妹のお世話もしてくれる優しいお兄ちゃん。庭で取った蛇ガラいちごを食いしん坊の妹にあげます。
夏は遊ぶのに忙し過ぎて勉強する気にならない。

内心焦りながら、なかなかヤル気が起こらない息子と漢字の勉強を地味に続ける。

7歳、8歳の子供に今いる生活環境で全く必然性がない漢字をやらせるのは難しい。

日本の学校に入れる保証もまだないのに。

小学校の校長先生にコンタクトを。

そんなモヤモヤした中、8月中に小学校の校長先生宛に手紙を出した。

私はこちらの小学校の卒業生です。アイルランドに住む息子に短期間の体験入学をさせていただきたい。息子は日本語会話は問題ありません。体験入学を夢見てずっと読み書きは独自で続けていました、と。

どれくらいで届くかはわからない手紙、今までの経験から最長2週間くらいをみて、小学校に電話をかける。時差があるのでこちらは深夜一時半。家族が寝静まっている時間がちょうどいい。

始め電話に出た先生、流石にアイルランドから電話がかかり当惑しているものの、すぐに校長先生につないでくださった。

幸い手紙も届いていたようで話が早い。

「あぁ、お手紙読みましたよ。体験入学いいですよ。小学二年生ですよね。ただ、2期生なんで、後期は10月13日から始まるんでそのタイミングからになります。また11月5日は昔で言う学芸会、今は学習発表会ってのがありましてね。10月はその練習にもかなり時間を割きます。もし予定が間に合うようでしたら、それに出られるのも宜しいかと思いますので考えておいてください。」

そのまま区役所の手続き方法も教えて頂き、あとは日本に着いたら連絡をください、とのこと。

とにかく、心配だった体験入学を認めていただいただけで肩の力が抜けて明るい気分に。

ただ、心配なのは4歳の息子2号の行き場がない事。色々調べても短期間で預かってくれる幼稚園はなさそうだ。

一応、小学校の向かいの幼稚園は毎日午前中園庭を開放しているみたいだからそこに連れて行くか。

体験入学が現実になる、と知り息子1号は嬉しそう。

日本は覚えているけれど、学校は未知の世界。

一体どう違うんだろう。

日本行きの日のカウントダウンしながら、以前はぼんやりと取り組んでいた漢字ドリルにしっかりと目的ができたのは言うまでもなく。

次回は学校の準備、初日編です。

西果て便り

(毎週木曜日更新)
世界放浪の後にヨーロッパの西端アイルランドに辿り着く。海辺の村アイリッシュの夫、と3人の子供達(息子二人、娘一人)と暮らしています。