버티다(持ちこたえる)。
2022年も最後の1日になりました。
今年はどんな1年だったでしょうか。
自分にとってはどんな1年だったんだろう。
そう考えた時にぱっと浮かんだ単語がふたつ。韓国語の「버티다(ポッティダ)」「견디다(キョンディダ)」という言葉。類義語を調べていくと言葉がどんどん連なる。
버티다 (ポッティダ)耐える、持ちこたえる、辛抱する
견디다(キョンディダ) 耐える、やり切れる
참다 (チャムタ)我慢する、こらえる、耐える
이기다 (イギダ)勝つ、負かす、耐える
인내하다(インネハダ) 忍耐する、耐える、我慢する
견뎌 내다 (キョンディネダ)耐え抜く、耐える、耐え忍ぶ、打ち勝つ
同じ耐えるの中でも「持ちこたえる」の意味を含む「버티다」が一番自分の感覚に近いような気がする。今度は「버티다」は英語でなんと表現するかを調べてみると「withstand」という意味が出てきました。人、力、困難などに抵抗する、逆らう。抗う、争う、耐えるの他にこなすという意味も出てきました。こらえる。持ち堪える、堪える。
言葉の成り立ちを調べてみると「sta-」は立つこと、そこから派生して立っているものや場所を表す印欧語幹。主張や種馬の意味を表すこともある。「wi-」は離れて、半分に、二つにの意味を含む言葉。
ありがたいご縁が飛び石のようにぽんぽんと続いて、今年は韓国語の先生をする機会が増えました。旅に出られない間、思い続けた聴き続けた言語と接する時間が増えることになりました。いつ状況が変わるのかわからない状態でも、手をつかむことができるのは、挑戦を続けていることだけ。挑戦というとちょっと大げさかもしれないけれど、手と頭を動かし続けていることだけがつながっていく。人でも国でも言葉でも仕事でも。
「あきらめたらそこで試合終了ですよ…?」アニメがきっかけの子どもたちと、リアルタイムで漫画を読んでいた元バスケ部の母たちで最近見に行った映画『スラムダンク』の安西先生の台詞が浮かびます。韓国でも人気のあるスラムダンク。花道は「カン・ベコ」流川は「ソ・テウン」。リョータは「ソン・テソプ」三井は「ソン・デマン」。副キャプテンの木暮くんはめがねをかけているから「アンギョンソンベ(めがね先輩)」とも呼ばれている。
アン監督となっている安西先生の言葉が、韓国語ではどうなっているかを見てみると。
「포기하면 그 순간이 바로 시합 종료예요…(ポギハミョン ク スンガニ パロ シハップ チョンリョエヨ)」
「諦めたら その瞬間 すぐに 試合終了です…」
言語の勉強のいいところは、ずっと終わりのないところ。もっと違う言い方があったのに。あの時はこう言えばよかった。なんとか通じる言葉と思いを伝える言葉の距離は近くて遠い。遠くて近い。やっと韓国に旅に出られるようになって、改めて安西先生の言葉が浮かんできました。
ちょっとマイナスな印象があるかもしれないけれど「버티다、견디다」という韓国語がなんか好きなんだよね。諦めずにふんばって動き続けたら、その先に何かがそこに存在している気がして。日本語の「耐える」は全然好きじゃないのに不思議。そう韓国の友人に伝えると「同じ意味を含む言葉だったら、わたしは이기다(イギダ)の方が好きだな」という答えが返ってきました。常に新しい試みを続ける彼女らしくて、とても納得する。自ら運命を切り開く意志が이기다(イギダ)の方が強い気がして、今のわたしには이기다(イギダ)という言葉はまだまだ使えない。2022年の最後、やっと自分にとっての旅が戻ってきたから、2023年は「버티다、견디다」からしなやかに「이기다(イギダ)」な年にできるようになるといいな。動きを止めないようにしないと。
2022年、何かで落ち込んだ時、いつも元気をもらっていた今一番の推し。21歳のイ・ヨンジが数時間前、韓国のラップバトルプログラム『SHOW ME THE MONEY』で優勝しました。アプリから生放送を日本でも見ることができる時代になったことに感謝。ヨンジも含め、出演者たちが自分と向き合いながら今の思いを歌詞にめいいっぱい込めていく仮定に胸を掴まれる。気付いたらたくさんの出演者のファンになっていました。自分自身に正直になることってそう簡単なことじゃない。歌詞によく出てくる「オモニ(お母さん)、アボジ(お父さん)」。娘・息子を見ているような気持ちにもなる。
挑戦することに年齢は関係ないという言葉がちらつきつつも、もう40代も半ばという現実がぴったり自分から離れない事実としてある。2023年をどんな年にしていけるかなぁ。抗えない流れもある。けれど、必死で水かきを動かす自分しだいで変わる流れもある。さて、どんな風にがんばるかな。どんな風にたのしむかな。
あなたもあなたもあなたも。わたしも。長いトンネルをぬけて、2023年がいい年になりますように。
2022年おつかれさまでした。今年も読んでいただき、ありがとうございました。
どうぞあたたかい年末年始をお迎えくださいませ。