12月の課題。
おはこんばんちは。飯塚です。
学校もクリスマス休暇に入りました。この週末はクリスマス。
今年は秋に日本に帰国していた事もあり、アイルランドに戻ったら街はもうクリスマス仕様になっていて少し慌ててしまいました。
そういえば、日本に帰国した際にアイルランドから持参したお土産の一つにイギリス発祥のクリスマスケーキ「クリスマスプディング」なる物を持っていきました。
基本的に日本人には不評なこのケーキ、11月に開催されたSAKRA のイベントでも「美味しくないでしょ?」と毒味的な気分でお出ししたら、意外にも「いや、これ美味しいよー」と好きな方もチラホラいたようで。
あのケーキ、スーパーの安物だったからもっとちゃんとしたところのを入手したかったなー(アイルランドを出国したのは9月末、クリスマスの物はあまり出回っていなかった)、などと改めて思わせられたのでした。
ヨーロッパのクリスマス時期はドライフルーツのケーキです。
ドイツのシュトーレン、イタリアのパネットーネ、そして、クリスマスプディング。
ヨーロッパのクリスマスケーキの共通項、ドライフルーツを使い日持ちするケーキ。
フレッシュな果物がない冬、夏に摘み保存しておいたドライフルーツで甘味や風味を楽しむという事なのでしょう。
そのドライフルーツをふんだんに入れるイギリス、アイルランドのクリスマス時期のお菓子、ミンスパイ。なんてのもありまして。
12月になるとスーパーやケーキ店で必ず店頭に並びます。
これも日本人には不人気。ドライフルーツとたっぷりの洋酒、スパイスの味。
私自身も数年前まで全然美味しいと思わなかったのですが、ある時に手作りのをいただく機会があり「あれ、ミンスパイって美味しいのか!」と驚きました。
それ以来、ぼんやりと気になっていたイギリス、アイルランドのクリスマス菓子。
昨年、カフェで試しに買ってみると、それもかなり味わい深くてコーヒーと一緒に食べると最高。
元々ドライフルーツ、スパイス大好き。ブランデーケーキもシュトーレンも好き。という訳でミンスパイ、嫌いな訳ないと気づき。
本当は去年の冬にこれに挑戦するつもりでした。
実は去年の年末にこのミンスパイを極めるつもりだったのに。材料も全て揃えてあったのです。
それが昨年11月末に家族揃ってコロナに感染し、三週間、何も出来ないままクリスマスに。
という訳で去年のやり残し、今年の年末こそやらなければ。ミンスパイ。極めるぞ。
ネット上に出回るたくさんのレシピ。散々見尽くしたイギリスの人気TV番組、「British Bake off」の審査員をしているPaul Hollywood のレシピから。
中身のミンスミートはスーパーで売っている既製品にレモン汁、皮、刻んだりんごなどを足します。
ミンスパイ、といいつつ、生地のレシピはいわゆるパイ生地ではなくタルト生地が主流のよう。
タルト生地に関してはここ最近自分で気に入っているレシピで。
バター、砂糖、卵、小麦粉にアーモンドフラワー。
初めてのミンスパイ、悪くないぞ。あとから足したレモン汁やりんごの風味が効いている。
この翌週も違う会社のミンスミートを買い、食べ比べたけれど、味の違いはあくまでも好みの問題かなぁ、などと。
ミンスパイを毎週末作る。
やっぱりミンスミート、作らないと極めるって言わないよね。
中身をミンスミート、と呼ぶの、mince meat ひき肉という意味です。なんで肉?と不思議に思っていたら、昔は細かく切った肉が入っていたのだそう。
今も実は殆どのレシピにsuet というのが入ってる。聞いた事ないワード、調べたら牛の脂ラードなんだそう。
どこで買えるんだろう。肉屋?近くでなければAmazonで注文した方がいいのかな。
などとネット上を彷徨っていたら、今度は「British Bake off 」のもう一人の審査員、イギリスではお菓子の女王の称号を持つMary Berryのレシピに行き着いた。
彼女によるとsuetよりもバターを使った方が風味がいいと。そもそもsuetはバターが高級で手に入らなかった時代の名残だそう。
なーんだ、良かった。じゃあ堂々とバターを使おう。というわけでMary Berryのレシピでミンスミートを作ることに。
ドライフルーツ、レモン&オレンジピール、ナッツ、果物、スパイス、ブラウンシュガー、バターを煮る。
レシピのドライクランベリーというのが見つからなかったため、生のクランベリー足してみたり(生とドライフルーツは全く別物だけど)。
しばらく煮て、冷ましたらたっぷりのラム酒を足して完成。
Mary Berryのレシピはアルコールを飛ばさないようです。彼女がお酒の風味が強いのがお好きなのは「British Bake off 」見てもよくわかるので、Mary Berryらしいレシピだな、などと思ったり。
他のレシピなどはアルコール飛ばしたのも多い。
実際はタルト生地に入れて焼くのでアルコールはもちろん飛ぶし。
ミンスミートはしばらく熟成してから使った方がいいらしい。
とはいえ、たくさんあるミンスミート、ちょっと味見したいのでミンスパイをまたすぐ作る。
自家製ミンスミート、既製品よりドライフルーツの食感がしっかり残っていてナッツや果物の食感も楽しめてやっぱり美味しい!
買い物ついでにカフェに寄ってミンスパイ1個だけお持ち帰り。
そして近場のカフェのも買ってきて、品評会。
店によって生地もミンスミートも全然違う。この比較検討は楽しいな。
この時期どこにでもあるミンスパイ。当たり外れがかなりある。
カフェでも自分のところで生地もミンスミートも作っているところのはやっぱり断然味がいいし、個性もある。
バターの風味たっぷりのサクサクした生地。ミンスミートにナッツの食感、スパイスの風味。
方や、「これは卸しで冷凍の出来合いのを焼いただけでは」的なのは、風味も食感もイマイチ。
ボソボソの生地、グニャグニャで甘いだけのミンスミート。ドライフルーツやナッツの食感もスパイスの風味もない。こんなんで€3もするのか。もう二度と買わん。
あー、きっと私も初めにこれ食べちゃったばかりに「ミンスパイって不味い」と思ったんだ、と改めて実感。
というよりも、日本語でググると、「ミンスパイ まずい」が上位で出てくる。
さてさて、カフェのと自作のを比べると某カフェはかなりスパイスと甘さが効いてる。これくらいスパイス効かせてもいいのか!
夫も「この味スパイスかな?甘みもあってこっちの方が好きだな」と。私のは柑橘系の爽やかさが効いてるけど、それってミンスパイらしくないのかも。
家族が喜ばないお菓子作り、罪悪感に駆られるのみ。
再度ミンスミート自作。2回目はスパイス多めで。他のレシピでよくみるナツメグも追加。
さて、今季5回目、ミンスパイを焼く。
家族は「またミンスパイかぁー」と呆れ顔。家族の誰も好きではないのが災難。
特に洋酒とドライフルーツ、スパイスが効いたお菓子は子供達に好まれない。
実際このミンスパイプロジェクトしてから実はほとんどを隣人、友人、夫の義理両親にあげている。本音を言うと私も結構食べ飽きてきた。
ミンスパイばかりで白ける家族に罪悪感が手伝い、ジンジャーブレッドマンクッキーの生地を前日仕込んだ。
基本的に貧乏性、オーブンをぱんぱんに使う主義です。二つ同時に焼くんだから文句言うな!!
ちなみにジンジャーブレッドマンクッキーのレシピもMary Berry の本から。
では実食。
いやー、美味いねー。食べ飽きた、なんて嘘だわ、まだまだ全然いける。
アーモンドフラワーの効いたサクサクのタルト生地は他のカフェに負けてない。生地だけで充分お菓子。
ミンスミートもドライフルーツの食感、ナッツ、スパイスもより効いてしっかりどっしり冬の味。
今季はこれで完成にしよう。もちろん来年はまた少しレシピは変えてみるけれど。
クリスマスは義理の両親宅でクリスマスディナーをご馳走になりますが、もちろんこのミンスパイを持参します。
ウィスキーたっぷり効いたアイリッシュコーヒーと食べるの、最高だろうな。
皆様、良きクリスマスをお過ごしください。