サラダだけじゃないバー。

16時。新宿で打ち合わせが終わって、だいぶ遅めのお昼。山盛りの野菜が食べたいなぁと思いながら、西新宿をぶらぶらしていたら、最適なお店を思い出しました。ここに行くのは高校生以来。何年ぶりになるのか、計算するのを躊躇してしまうほど長いブランク。

高校生だった1993年当時。ケーキや焼肉、ピザの食べ放題が流行っていて、食べ盛りおしゃべり盛りの高校生にはぴったりの場所がたくさんありました。池袋のホテルメトロポリタンのケーキバイキング、原宿のシェイキーズのピザ食べ放題。薄くてクリスピーなアメリカンスタイルのピザにパスタやカレーも食べ放題。ドリンクも飲み放題。ちょっとしたイベントに行くような気持ちで、食べ放題のお店を楽しんでいました。

その中でも特別だったのは西新宿の三井ビルにあるシズラー。「サラダバー」という名前だけれど、そこに含まれるのはフルーツ、パン、パスタにグラタン、そしてタコス。食べ放題には必ずラインナップされているカレーにデザートも豪華。ソフトクリームや小さなケーキ類もあってパラダイスな場所。すぐ近くにある都庁の展望台に行った後、シズラーのサラダバーでおしゃべり。高校生には少し値の張るお店だったけれど、いろんなものがおいしくて、数々の食べ放題スポットの中で一番イベント感のあるお店でした。

年齢もあがってくると、ホテルの朝食くらいしかバイキング形式の食事を取る機会がない。といいながら、過去のSAKRA.JPでフライドチキンの食べ放題に行った時は、間違いなくテンションがあがっておりましたが。

バイキングやビュッフェというと、体重に対する後ろめたさがついてくるのだけれど「サラダバー」というヘルシーな名前の隠れ蓑のおかげで、罪悪感がぐっと減る。

下にあるロイヤルホストに訪れることはあっても、うん十年ご無沙汰していたシズラー。久しぶりに緑と赤と白のロゴの前に立つとなんだか光栄な気分になる。食べ放題なのだけれど、どこか落ち着いた雰囲気。

外の見える二人席に案内をしてもらって、「お決まりになりましたらお声がけください」という声に少しかぶるようにサラダバーを注文する。「チーズトーストは何枚お持ちしますか?」シズラーのチーズトースト。高校生の当時には存在していたのかな。記憶があまりに曖昧なので調べてみると、1991年日本での開業当時、ステーキなどのグリルプレートにもれなくトッピングされていたものなのだそうです。アメリカンなボリュームが日本人のお腹と合わず、一時期提供されなくなっていた商品。2011年に復活して、サラダバーを注文するとチーズトーストも楽しむことができるようになった。チーズトースト、とっても魅力的だけれど2枚でお願いします。

はらぺこだったので、すぐに席を立つ。華丸大吉の華丸さんがアメトーークで語っていた「バイキング、ビュッフェの失敗しない方法は、まず一周ぐるりとまわって何があるか、何を食べたいかを確認すること」という掟をすっかり忘れて、お皿に一番近いところにあったグラタンにまず手を出してしまう。その横には平打ち麺のパスタとトマトソース。カレーはかろうじてピックアップしなかったけれど、サラダを食べたいと思ってこのお店に来て、炭水化物三昧。お皿の半分が小麦で埋まってから、華丸さんの言葉を思い出す。深く反省。

気を取り直してサラダに向かう。卵とポテトのサラダ、春雨サラダ、人参ラペをもれなく盛り付けてベーコンビッツもトッピング。カニカマとセロリのサラダもおいしそう。これで一旦席に戻る。

どうにも野菜が足りない気がして、生野菜の並ぶサラダコーナーへ。枝豆、コーンは必須だよね。豆腐ものせよう。野菜には玉ねぎのドレッシング、豆腐にはノンオイルの和風ドレッシングをかける。

これこれ。これで野菜がたっぷりとれる。横でサラダをお皿に盛っていたスーツ姿の男性は、山盛りの枝豆の上に、盛り盛りにシュレッドされたハムをのせていた。緑とピンク。それはそれでおいしそう。

喉もカラカラだったので、ドリンクバーでは冷たい飲み物をチョイス。ミニッツメイドにレモンがあるんだ。レモンジュース、レモンソーダ、レモンソーダ微炭酸を選べる。真ん中のソーダのボタンを押して、いよいよ食事タイム。

「チーズトーストお待たせいたしました。」チーズと思われるトーストの上の部分。想像していたとろけるチーズとはちと違う。おいしい香りに我慢ならずぱくり。あぁ、パルメザンの粉チーズなんだ。パンの裏をひっくり返すとこちら側は焼けていない。鉄板で片側だけをギュッと焼いているのかな。あとで調べてみると、このトーストのファンの方たちがレシピをたくさんアップしていた。8枚切りのトーストにバターをたっぷり塗って、その上にパルメザンチーズを大さじ2振りかける。フライパンにオリーブオイルをひいて、チーズ側の表面を焼いたらシズラー風チーズトーストの出来上がり。これとコーンスープ。朝ごはんにぴったりだ。来週朝食でだそう。本家本元のチーズトーストは塩味がほどよくて、軽くてとってもおいしかったです。

1958年、アメリカ・カリフォルニアでディル・ジョンソンと妻のヘレンによって創業されたシズラー。現在はアメリカと日本の他にタイにも店舗がある。タイのシズラーのページを見てみるとグリルのプレートにのっているライスは竹籠に入っていたり、アジアンプレートというメニューもあった。タイのサラダバーにはどんなメニューが並ぶんだろう。日本のシズラーの開業は1991年。高校生だった当時、まだ開業したばかりの新しいお店だったのか。

お皿の上にあったフレッシュな野菜たちはあっという間にぺろり。カニカマとセロリのサラダのセロリが、卵とポテトのサラダに進出しているのを気づかず口に入れる。トッピングしたベーコンビッツとセロリの香りがばっちりあって、卵とポテトのサラダをさらにおいしくしてくれる。この組み合わせも家で試そう。

カレーを食べようかどうか迷っていると、最近ダウンロードしたフィットネスのアプリから通知が届く。「今こそ断食を始める時。断食のトラッキングを開始。」なんつうタイミングでお知らせしてくるかな。わかったよ、カレーは諦めます。

窓の外には秋晴れの空にモード学園のコクーンタワー。カレーは諦めるけれど、デザートは絶対に食べる。店内に入って来た時、すでに食事を終えたどのお客さんのテーブルにも、デザートのカップが2つか3つ重ねられていたのが気になっていました。

デザートコーナーに行くとその答えが明確に。ソフトクリームを食べて〆のつもりだったのに、イチゴバナナヨーグルトに足を停められて、コーンフレークもトッピング。冷凍のいちごでこれを作ったらおいしそう。コーンフレーク、入れてきてやっぱり正解だった。

お腹は満足しているけれど、ソフトクリームは外せない。バニラ、チョコレート、ミックスの3種類。色とりどりのチョコレートスプレーとチョコクランチのトッピングもある。こういう時に必ずといっていいほどミックスを選んでしまうバニラモチョコも食べたい心理。

「レバーを引いてください。」カップを左手にもって、ソフトクリームの出てくるはずのレバーをぐっと引くけれどうんともすんとも。あぁ、下におろすのか。力が入りすぎていたのか、予期せぬタイミングでにゅーっとソフトクリームが現れて、慌ててカップを回す。60点くらいのソフトクリームの形。コーンフレークとチョコクランチものせてサンデーに。

最後にカフェラテを飲んでいるところで流れてきたのはYESの「Owner of a lonely heart」。子供が大好きで見ている「ジョジョの奇妙な冒険」。「柱の男」の回でジョジョがスピードワゴンを助けに行く時に流れてきて、13歳も知っているYES。13歳と話の合う音楽がたくさんあるのはジョジョのおかげ。

「そろそろ断食を始める時」の通知が来て、カレーを諦めた時に流れていたのはマドンナの「Like a Prayer」。シズラーの日本開業の直前、1990年はマドンナの「VOGUE」発売の年。顔の周りで手を動かすあのダンス、休み時間にみんなで真似したものです。BGMで流れているアメリカンポップスが、食事の合間にBack to the pastしてくれるのもたのしいシズラー。ものすごーく久しぶりだったけれど、ものすごーくたのしいサラダバータイムでした。またちょくちょく来よう。

すっかり秋の陽気になりましたね。季節の変わり目、体調をくずさぬよう、しっかり休める週末になりますように。

こいけはなえの気になるもの。

(毎週土曜日更新)
マネージメントを中心に料理家と一緒にand recipeという会社をやってます。とにかく旅が好き。

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