記憶ロンダリング
フィンランドで行われたランニングレース「Racing The Planet : Lapland」で優勝しました。いえい。
食料やウェアなどの装備を背負い、1週間で250kmを走るという、よくあるやつです。僕の周りでは割とスタンダードな形式です。たぶん。知らんけど。
よくあると言いつつ、ここのところ、世界的なアレの影響もあって、出場するのは3年ぶりでした。長らく出てないとどうなるか。その間に脳内で、記憶ロンダリングが行われます。ドリップコーヒーを抽出するかのごとく、楽しかったことばかりが濾されていきます。
苦しかったこと、しんどかった思い出はすべて取り除かれるのであります。スタート前までは、単純に楽しみだなあ。と気楽に考えていましたが、いざ走り出すと、ずっとハアハア言い続けることに。
止まるわけにはいかないので、走りながら考えます。そして、ここに至って記憶が美化されていたことに気づきます。そういえば、前に走ってた時もキツかったなあ。まあ、キツいのも含めて楽しいからよいのです。
ちなみに、走っていたのは森。大半が森の中でした。先頭に立っている時間が長かったこともあり、黙々と走るのみ。そんな中での出会いはトナカイたち。サンタクロースをそりで連れ回す役割でおなじみの面々です。
茂みの中から顔を出してみたり、森を縫うようにして並走してきたり。僕が近づいてくるまで、じーっと見つめては、距離が詰まると、ちょっと離れてまた見つめてくるの繰り返し。アジア系が珍しいのでしょうか。何度か観察して満足したら、木立へと消えていきました。警戒しているのか、そうでもないのか。よく分かりません。
森はとてもきれいで、同じ景色が続くのですが、気持ちよくて飽きません。そんな中に1週間もいると、心が洗われました。記憶ロンダリングで浄化する前に、すでに洗われているという現状です。ああ、楽しかったなあ。
次に走る時もきっと「キ、キツい。こんなにキツかったかな」と心の中で思うに違いありません。
写真は大会公式サイトより。