봄날의 햇살 같아.(ポンナレ ヘッサル カッタ)
1日の終わり。ソファーに横になって体を左に傾け、両手で包むようにスマホを持ってドラマを見始める。そのまま寝落ちして、ガタンとスマホを落とした音で目覚めることもしばしば。見逃してしまった数分間を取り戻すために、何度も巻き戻しながら1話を見終える。
そんな状態で見ていても、時が止まるような台詞があって、パンっと感情が弾けて涙したりする。
毎週水曜日と木曜日、楽しみに見ている「이상한 변호사 우영우(イサンハン ピョノサ ウヨンウ」。邦題は「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」。今日のNETFLIXの順位は1位になっていました。
今週水曜日配信された第5回。銀行のATMの機械を作る競合メーカー、2社の間で起きた実用新安権に関連した訴訟を同僚ミヌと一緒に担当することになった主人公のヨンウ。ヨンウをライバル視するミヌは、依頼人とのミーティングの予定を伝えなかったり、会議の直前に大量の資料を渡したり。ライバル心剥き出しの小さないじわるをヨンウに仕掛けます。
裁判でも二人の意見は交わらず言い合いに。「우당탕탕 우영우(ウダンタンタン ウヨンウ)」ドタバタ ウヨンウとミヌに言われたヨンウは、「이 권모술수 권민우가!(イ クォンモスルス クオンミヌガ!)」この腹黒策士のクオン・ミヌめ!と言い返す。そりの合わない二人。裁判は続きます。
ロースクールの同期で、同じ法律事務所で働くスヨンと食事中のヨンウ。ミヌと言い合いになった時の話に。「お互いにあだ名で呼ぶような間柄になったのね。私にもそういうの作ってよ。童顔チェ・スヨンはどう?じゃなかったら、最高の美女チェ・スヨン?」私にも何かあだ名をつけてよと言うスヨンに、「そういうのじゃない」というヨンウ。
ヨンウ:「あなたは」
スヨン:「わたしは?」
ヨンウ:「봄날의 햇살 같아.(ポンナレ ヘッサル カッタ)」
봄날의 햇살 같아.
日本語にすると「春の日差しみたい」。
ポンナレ ヘッサル カッタ。やまびこのように何度も頭を巡ります。韓国語の響きが余計にそうさせるのか、言葉が心を捕らえて離しません。なぜヨンウにとって、スヨンは「春の日差し」のような人なのか。ものがきれいに並んでいないと気になったり、相手と目を合わせることが苦手だったり。自閉スペクトラム症をもつヨンウを、ロースクール時代からさりげなくサポートしてくれていたのがスヨンでした。講義室の場所を教えてくれたり、休講の情報を教えてくれたり。ヨンウがあけられなくて困っているペットボトルのキャップをさっとひねってあげたり。これ見よがしに手を貸すというよりも、少し後ろで優しく見守っていてくれて、困った時にすぐに手を差し伸べてくれる人。
ヨンウから「春の日差しのようだ」と言われた当の本人は、びっくりした表情を見せる。「春の日差しのよう」というヨンウの言葉の後ろに、スヨンの日々の行動がどれだけあったのか。特別なことというより当たり前に。手助けというよりスヨンにとっては日常。「ポンナレ ヘッサル カッタ。」このヨンウの一言に、二人の関係性とここまでの時間がざーっと降ってくる。ヨンウの口から出た言葉は「春の日差し」なのに。
今日7月16日(土)から始まる幡野広志さんの展示『family』の準備で、今週は渋谷に通っていました。
プリントされた写真が届いて、展示の位置を決めていく。壁に貼られる写真が追加されていって、少しずつできあがっていく会場を見ながら、「봄날의 햇살 같아.(ポンナレ ヘッサル カッタ)」この言葉が頭を巡っていました。幡野さんfamilyの毎日。家族の日々。
今回の展示では幡野さん撮影の写真だけでなく、奥様のゆかりさんと息子の優くんが撮影されたfamilyの写真もたくさんご覧いただけます。
봄날의 햇살 같은 일상(ポンナレ ヘッサル カットゥン イルサン)、春の日差しのような日常。じっくり、ゆっくり味わっていただきたいです。
会期は8月21日(日)まで。皆様のご来場、心よりお待ちしております。
梅雨が戻ってきてしまったような7月半ばですが、みなさまどうぞよい週末をお過ごしください。