飛べない理由。

おはこんばんちは。飯塚です。

ウクライナからアイルランドに来た避難民の方々の話を少し前にここでもしました。

最近のニュースでは、避難民達がウクライナに帰りはじめている、という話に変わってきています。

息子の学校でもまだ多くのウクライナ人がいるものの、何人かは帰国しているようです。

離れ離れになった家族(お父さん)と暮らしたい。

またアイルランドに来た避難民の住まいは車が必要な田舎。車がないので不便過ぎて生活がままならない。

国はロシア軍に破壊されてはいるものの、以前の生活を取り戻しつつあるエリアも多いとの事。

自国で家族と生活出来たらそれが一番いいはず。慣れない言葉の異世界での不便な新生活は合わなかった、という心境は自然な流れかもしれません。

元々、ヨーロッパ旅行は国内旅行的な金額と距離です。

去年の秋から海外旅行が再開し始めてる感があるヨーロッパ。

私の周りでも3月頃からは堰を切ったように高飛びしてる人多数。
特に子供がいない人は毎月スペインやフランスに旅している。
格安航空券だし、スペインやポルトガルは物価も安い。

物価が高いアイルランドで休日を過ごすより、ヨーロッパのどこかの方が断然安上がりなんです。

毎週のように誰かから海外旅行の話を聞き、更に夏休みが近づいて誰もが

「夏休みどこ行く?チケット買った?」

という話題が挨拶がわりな今日この頃。

ただ、それに伴なわないあちこちの現場の惨状がニュースや新聞を賑わしています。

コロナ時期は2年間見なかったクルーズ船がこの4月に久々に現れた。ある意味平和な日常の象徴。村の人たちが一斉にコミュニティのFacebookページに写真をあげる。(そのページから拝借した写真です)

これがないと国外から出られない!

パスポートが来ない。

アイルランドのパスポート工場?がパンク状態。

ちなみに、コロナのロックダウン時には海外旅行は行けませんでしたし、パスポート申請も出来なかったのです。

その間に期限が切れた人も多数、また出生した赤ちゃんたもパスポートは必要。
格安航空券を購入し、宿も手配したのに、申請したパスポートが来ない。

結果、泣く泣く全てをキャンセルしなければならない!

ニュースでも
「ずっと海外行けなくて、いざチケット取ったら、まさかパスポートが来なくてキャンセルだなんて信じられない。」

とインタビューで話していました。

我が家も4月末に申請した赤児のパスポート、6週間かかり昨日届きました。

子供達のアイルランドのパスポート。

アイルランド、基本的には完全車社会です。

海外からアイルランドに来る旅行者、色々周るならば断然レンタカー。

公共交通機関があまり発達していないアイルランド。

バスも普段は本数は僅か。観光シーズンの夏休みの間だけ観光地は本数増やして対応しています。
または有名な観光地はバスツアーで1日ツアーに参加するか。


ところが、そのレンタカーが高すぎる。

ダブリンの一番安い1日レンタルで20,000円位に。ヨーロッパ諸国と比べてもミュンヘンは7000円、ローマやロンドンでさえ10,000円とアイルランドがダントツで高額。

旅行が近づき見積もりを出したら一週間50万などあり得ない金額に。

誰がそんな額払うんだ?

結果的に予約した宿もキャンセルせざるを得ず、アイルランド行きを断念した、など。

原因はコロナの影響でマイクロチップが世界的に間に合ってないから、だそうで、この高値はしばらく解消されないようです。
それでなくともアイルランドのホテル代や外食費はヨーロッパ諸国に比べて高いので益々旅行者が遠のいてしまうという悪循環。

コロナのロックダウンが収まっても旅行者が来なきゃ観光業は生き残れない。

今年はアイリッシュも海外旅行をするし、国内観光地、大丈夫なんだろうか?

アイルランドの西の景勝地Cliff of moher 夏ならバスが出ている。またはダブリンからはツアーバス。観光シーズン以外だと公共交通機関で行くのは厳しい。

ここ数日のニュースは空港から中継が入ります。

5月末の日曜日、ダブリン空港では荷物チェックインの行列が建物の外まで続き、1400人もの人が飛行機に乗り遅れた。というニュースが報道されました。

インタビューでは、スロバキアから旅行で来た女性が、

「2年間海外旅行が出来なくて、やっと久しぶりの海外旅行でアイルランドに来て凄く楽しかったのに、帰国便で空港の外で並び飛行機に乗れなかった。並ぶ人が怒鳴ったり喧嘩したりでまさにカオス。楽しかった思い出が最後の最後に台無しになった。最悪!!」
と話していて。

大きい荷物を持ち、しかも私みたいな子持ちは空港で4時間並ぶなんか不可能です。幼い子供達を抱えた人達はどうしたのだろう?一人旅の人はトイレを我慢して4時間並んだのだろうか?

それまでもここ数ヶ月ダブリン空港の混雑振りは話題にはなっていたのです。

通常ならば2時間前に行けばいいはずが、出発4時間前に空港に行かなければならないというのは度々新聞やラジオ、ニュースで取り上げられていました。

またこれはダブリンだけではなく、オランダの空港も一時閉鎖されたり、ヨーロッパ中の大きな空港では似たような状況が起きていました。

原因は職員不足。コロナのロックダウン時期は空港は閉鎖に近い利用状況だったので、セキュリティー部門で多数の職員を解雇、または離職者が出ました。

そのスタッフが少ない状態で、空港利用者が急増したのだから、追いつかない。

空港職員は人員採用しても、数週間のトレーニングをしないと現場に配置出来ないのですぐに対応が出来ない。

また給料もさほど良くないので、志望者自体が少ないのだとか。

コロナのロックダウンで人々の勤労への意識が変わってしまい、元の職場には戻りたくない、サービス業はしたくない、という人が多いのか、アイルランド中のホテルやレストランもスタッフ不足に悩まされています。

ダブリン空港の大混雑は流石に国会でも取り上げられるほどの問題となりました。

空港も利用者にチケット払い戻し、タクシー代やホテル代を賠償する、と発表しています。

また、この混雑日以後、自衛隊の人達が急遽スタッフ補填に当たったようです。

空港利用者も飛行機を逃さないように5時間前に空港に行くなどしているようです。

こうして改めて列挙すると、どこを叩いても綻びしかないアイルランドの観光事情に愕然とします。

どれもある意味コロナ後遺症ではありますが。

6月末には夏休みに入ります。

この先、事態は好転するのか甚だ疑問。

日本からヨーロッパに来られる方、くれぐれもご注意ください。

アイルランドのビールは美味しいよ。

西果て便り

(毎週木曜日更新)
世界放浪の後にヨーロッパの西端アイルランドに辿り着く。海辺の村アイリッシュの夫、と3人の子供達(息子二人、娘一人)と暮らしています。