熟成期が食べ頃。

おはこんばんちは。飯塚です。

今年の冬は暖冬だったアイルランド。

3月中旬からは好天続きで暖かく、我が家の薪ストーブもつける事がなくなってきていましたが、また先週末から寒気がきて冬に戻っています。

来週からはイースターホリデーなんだけどなぁ。二週間学校がお休みなんです。

はぁー、どうしよう。長い休みを乗り越える前は毎度憂鬱になるのは私だけじゃないはず。

20代のロボット時代。

今は西の果てで子供達に振り回されている私。

二十代から三十代までは都会で会社勤めをしていました。

特に二十代は仕事まみれな生活。体力はあったので休みの日も全力で遊ぶようにしてましたが、平日は残業しない日が珍しいくらいで。

広告代理店にいたのですが、通常でも毎週締切に合わせ満タンに業務があるにも関わらず、イベント近くなるとクライアント先で打ち合わせ終えてから会社に夜7時に戻り、原稿業務を終電までする。みたいな生活。

イベントの佳境などは終電まで仕事が終わらずタクシーで帰る事が日常的になり、終電だと定時、タクシーは残業、みたいな狂った感覚を身につけてしまい。

それが続くと土日は寝倒し、山手線の電車内で倒れたり、激痩せして常に口内炎が3つくらいあった。

確か冷蔵庫にはマーガリンとマヨネーズしか入ってなかった。

ただこの生活、当時の広告業界ではそんなに異常でもなかったのです。

自分も麻痺してる自覚はありながらも、残業が当たり前過ぎて効率も下がっていたはず。

あんな働き方は良くない。

心を亡くすと書いて忙。

当時ただロボットのように働き、そんな生活に嫌気が差して会社辞めてインド一周の旅に出た29歳。

会社辞める際にいただいた寄せ書きの色紙、今までお疲れ様、とか、頑張ってね、よりも、

え?インド行くの?
インドに旅?
ヨガでもするの?
なんでインド?

になっていた。

仲が良かった同僚が色紙に一番始めに、インドに行っても頑張ってね!とわざと書いて社内に回したからなんですが。

多忙で心を亡くした末に、こんなイタイ奴になるとは…的にざわついてたのが我ながら香ばしい。

ガンジス川。ボートから撮影しました。私は川には入ってないです。

今は働き方改革とやらで変わったのでしょうか。

そうあるべきです。

一度しかない自分の人生ですから。

在外邦人の幸せな瞬間とは。

子供達が喜ぶ瞬間。

それはたまに日本から宅急便が届くとき。

ふりかけ、お菓子、お米、そしてナポリタンを作る用のケチャップ。日本のケチャップじゃないとナポリタンの味がそれっぽくならない。お米も日本のは色艶からして全然違う。

日本にいる両親が送ってくれるのです。

子供達は毎回日本から何か届くとウキウキ。たいてい食べ物が入っているので、お菓子などはすぐに食べちゃいます。

この時はチョコビが入ってた。クレヨンしんちゃんの影響でチョコビに憧れていた息子1号。
月曜日のニホンコンさんの家族新聞に同封されていた薄っぺらいお菓子たち。子供達には特に梅干しが大不評で笑えた。

海外在住の日本人は私みたいに日本の家族から送られてくる食品を楽しみにしています。

アイリッシュの夫、カナダやウクライナ、オーストラリアに住んでいた事がある彼にアイルランドから食品の宅急便など届いた事などなかったそうで、日本人の過剰なほどの食べ物愛を物珍しそうに見ています。

ですが、最近ちょっと事情が変わりました。

コロナの時にも郵便局からの航空便配送がなくなったのですが、再開されると配送物がアイルランドまで一旦来るものの、ダブリンの配送センターにしばらくありながら何かの不備で日本に送り返されてしまうのです。

私の誕生日に向けて両親が送ってくれた配送物、ダブリンに二週間近くあった挙句に我が家には来ずに日本に戻されました。

しかも二回も!

両親は配送料を一万円以上払っているにも関わらずです!

しかも配送料は返金されないんです。

一体どういう事なんだろう。

とにかく、キレてます。

という訳で、しばらくは何も来ないんですが、我が家には日本から送ってもらった食べ物がいくつかあります。

ただ、賞味期限が切れてる。
でも、いいんです。日本からきた美味しい食べ物は賞味期限が切れていてもこちらで入手できる同類の品より価値が数段高い、と日本人は信じています。

あ、結構前に送ってもらった一蘭のラーメンも賞味期限切れてた。

先週食べた一蘭のラーメン。そうか、一年近くキレてたか。

でも、食べます。躊躇などビタ一文たりともない。

そして、ただただ美味い!

キクラゲは近所の森で生えてた天然物。

なんで賞味期限切れるまで取っておくのか?

って思うそこのあなた。

日本から来た貴重な品、我々大人はホイホイ食べないんですよ。

だって日本から来たんだよ?

遥々と海を越えてくる物を軽々しく開けるなっちゅう話です。

もったいなくてすぐ手をつけられない。

それは、大事な女にはすぐ手を出さない男心、とでも言うのか。知らんけど。(←一度言ってみたかった)

という訳で賞味期限はどれもこれも切れてる。
で、これ、食べられるかな?なんて考えた事すらない。

朝からスープ飲むのって実は日本人くらいなのでは?

ただ、年末年始にキッチン片付けてたらまだ大量に残ってるクノールのコーンスープが。

クノールは世界中でスープを売っていますが、日本で人気のコーンスープはアイルランドにはありません。

ちなみに英語で発音するとクノールではなく、ノール。

knockやknow みたいな発音です。

なんで日本はクノールなんだろう。

アイルランドのスーパーに陳列されているクノール、じゃなかった、ノールのスープ。実はまだ全種類飲んだことない。

で、日本に帰国した時に息子1号が毎朝このコーンスープを食べていたんです。

私もクノールといえばコーンスープが一番好き。

という訳で私の両親がそれこそ段ボールいっぱいにしてコーンスープを送ってくれまして。

それは三年位前だったのかなぁ。

まだ、あるんです。だって普段そんなにスープ飲まないんですもん、この家。

朝ごはんはシリアルだし。消費するタイミングが掴めなくてずーっとある。

賞味期限、2020年10月ってかなり前に切れてる。

これ、さすがにアウトなんだろうか。

賞味期限を過ぎたら味は変わるんだろうけど。

気になったのでインスタでアンケートしました。
私のインスタは海外在住日本人(あった事ない人ばかり)、リアルな友達、料理好きな人、がフォロワーです

あー、やっぱりそうだよね。
結果的に、日本に住む日本人はアウト。海外組日本人は全員セーフ!

海外在住組は日本から来た物を捨てるなんてとんでもない!って言う見解です。

中国香港生活が長かった月曜日のニホンコンさんももちろんセーフ組。

いやー、心強い。
感覚が麻痺するんです、生きていくために。

そもそも、賞味期限の意味すらあやふやな気がしてきた。

賞味期限切れさせて熟成された頃が食べ頃なんではないか。

牛肉を熟成させる感じ?

賞味期限=ここから熟成期
ってことじゃないの?

二十代のがむしゃら残業時代の麻痺を思い出しながら熟成スープを頂くランチタイム。

同情も批評も不要です。

海外生活の悲哀を生暖かく見守ってください。

西果て便り

(毎週木曜日更新)
世界放浪の後にヨーロッパの西端アイルランドに辿り着く。海辺の村アイリッシュの夫、と3人の子供達(息子二人、娘一人)と暮らしています。