新年好2022!~突撃隣の国の晩ごはん~
新年好!今日から中国の旧正月がはじまりました。
私もWechatで中国に住む友人たちに「フライングあけおめ」メッセージを
送っています。「フライングあけおめ」の解説は以下の通り。
「新年快乐(xīn nián kuài lè)」があけましておめでとうなのですが、前日は
「除夕快乐(chú xī kuài lè)」=「大晦日おめでとう」と言う。もう、一日前から
正月気分だし祝っちゃえモード全開。
こういう、大陸的な感覚はとてもいい。ざっくりまとめちゃうというか。
ヨ、ヨネスケ根性が
ひとしきり挨拶が終わる。そうすると、ヨネスケ根性がムクムクと湧いてくる。
「大晦日、何食べてんだろ?」と。
私はコレが知りたくて、かつて教えていた通訳学校の授業で
「自分の故郷での新年の過ごし方」を発表してもらった。
これがまあ、千差万別。
北はもちろん小麦文化。山ほどのご馳走を家族で食べてから、
日付が変わる前に餃子を包み始め、0時に食べる。
餃子の由来は諸説あり、年が「交わる」という意味もあったり、
その形が古来のお金に似てるからとか(やっぱお金か!)、
子宝に恵まれますようにとかだけど、私が思うに、
「皆でワイワイ言いながら包むあのグルーヴ感が年末っぽい」
んだと、勝手に思ってます。
南はエリアによりけり。四川は中国人もびっくりな辛い
オンパレードだし、海に近い福建省エリアでは海鮮鍋を食べて、
そのまま麺を入れて食べるのが習慣。
福建省の美食といえば、「佛跳墙(fó tiào qiáng)」という名のスープ。
名前の由来は「その匂いだけで坊主が寺の壁をジャンプして食べにくる」
という、粗食で禁欲的なお坊さんをも狂わせるほどの美味さだという。
なので、やっぱ広すぎてひとくくりに言えない。日本のお雑煮ですら地域で
違うのに、日本の25倍の広さの中国なんてどだい無理な話だ。
「大晦日に餃子」は「っていう地域もある」とカッコで書くが正しいかも。
さて、ヨネスケに戻ろう。それゆけ、隣の国の晩ごはん!
食為先(まず食べよ)
中国では、とにかく食べることに命を懸けている。食べられない時代も
あったことから「ごはん食べた?(今日も生き延びられた?)」と挨拶
を交わす文化は、今や「元気?」くらいの温度感。
私は、図々しいオバハン根性丸出しで「ねえねえ、何食べてんの?
写真送って!」と直球ストレートなリクエスト。
こういう時、謙虚に言うと伝わらない。ここはヨネスケがニコニコしながら
家に上がっちゃう感じで、「見たい」意思をまっすぐ伝える。
知り合って15年以上にもなる北京のヤンさん一家。
すぐ返信が来て、レストランに居るよーと北京ダックの宴席写真を送ってくれた。
真ん中のスープは「ツバメの巣、チョウザメ、牛すじ、鳩の卵の四宝」が入っていると。豪華!
ちなみに、写真左奥の茶色い料理はお魚。
ちなみに、中国のお正月料理は「魚」が定番。「年年有余(nián nián yǒu yú)」という
熟語「今年もお金に余裕がありますよーに」とかなりダイレクトな願いを掲げる。
熟語の「余 yú 」と「魚 yú 」が同じ発音ということで、宴席には魚が必ず円卓に上がる。
日本時間の夜中には「ねえねえ、もう餃子包んだ?」と連絡したらコレが送られてきた。
あの人たちは胃袋が4つくらいあるんじゃないか?私見てるだけでお腹イッパイなんですけど。
おじさーん、今何食べてますか?
故宮博物館の裏に住む、インテリなオジサン。リタイアされてのんびり過ごされています。
よく漢詩を作って送ってきたり、自分が文化大革命時代に小学生だった時の思い出作文を
送ってくれたり、はてまた自分が考えた従軍慰安婦をテーマにした劇の脚本を送ってくれる
など、文化歴史的にも難易度の高い連絡をくれるのだ。
そんなインテリなおじさまに「何食べてますかー?ハイ、写真どーぞ!」とこれまた
好奇心だけで突っ込んでみる。
「全然豪華ではありませんよ。餃子は買ってきたものですし、あとは簡単に済ませたものです。
便利な時代になりましたが、季節の行事が簡素化されてしまい、大晦日気分が薄れています。
失望なさったでしょう」
と、丁寧な中国語でお返事があったのだけど、いえいえいえ、じゅーぶんご馳走!ヨネスケ、
もとい私、大きなしゃもじと白メシ持ってそのままお邪魔したいです。
「春晩見てるから」
上海に住むアーティストの友人は「春晩見るのに忙しくて餃子包めてない!」
と、この写真を送ってくれた。
春晩とは、春节联欢晚会(Chūnjié liánhuān wǎnhuì)、日本語で言う紅白歌合戦みたいな
もので、歌だけじゃなくてマジックや漫才などもある番組。視聴者数7億人というから
「オバケ番組」という表現では収まりきらないスケール。
向こう時間で0時すぎ、日本時間で実に1時過ぎに届いた業さ。「虎に見える?」と。
「虎皮餃子」と言うんだとか。このアイデアと夜中から作る思う意気込みに拍手。
きっとその家族の数だけ宴があり、家の数だけ違う過ごし方があるのかと。
中国の人たちにとって、家族は血よりも濃い、もはや自分と同じくらいの距離感で
暮らしているちいさな共同体。
家族で今年も元気に暮らせたこと、そして「お金が余って余裕になりますよーに!」と
全員がメラメラしながら「年年有余」の魚を食べる姿を思うと、正直でなんかいいなと
思ったりもする。
すいません、今日はワラワラと面白い写真が届いたので、友人の写真を紹介しながら
今時の中国お正月バナシでした。
2月1日 ニホンコン