選べる世界で。

おはこんばんちは。飯塚です。

先週末、アイルランドの首相がまた緊急会見を開き、コロナの規制を大幅に緩和するとアナウンスしました。

今まで実施されていた他の家庭への訪問、ホスピタリティ産業及びイベントの営業・開催時間短縮措置、屋外イベントの収容人数制限(スポーツ行事・試合を含む)、屋内イベントの収容人数制限(結婚式を含む)、分野別の防疫措置、ナイトクラブの制限、様々な施設へ入場する際の有効なデジタルワクチン証明書の提示撤廃

また月曜日1月24日以降、段階的な業種に応じた職場への復帰。

屋内施設でのマスク着用は義務づけられているものの、突然今までの規制がほぼ一気になくなったのです。

イギリスやヨーロッパ各国、集団免疫獲得したし一斉に規制緩和に踏み切った感があり、イメージ的には

「いや〜、2年間の我慢お疲れ〜。パブで祝杯あげるぞー!かんぱ〜い!」

コロナ終了!みたいな雰囲気です。

ちなみにまだまだ感染者は多いです。

とはいえ、ブースターショット打っても感染するんです。

私の家のお隣さん、感染してました。

きっと、これから何回もワクチン打ったって感染するんです。

だったらロックダウン、意味なくない?

もうwith coronaで行くしかないっしょ。

と舵を切ったようです。

方や、日本は規制を、厳しくしたそうで。

今はまだ、欧州のアプローチが正しいかは分かりません。

東と西、どうなるんでしょう。

個人的には日本の規制緩和をして欲しい。
西の果てで東の様子を伺う日々です。

金曜に首相会見があり、日曜の新聞広告で「海外行くのにパスポート期限大丈夫?」って、この切り替えに唖然とする。

アイルランドに一目置いている人達


日本でアイルランドの話をすると、
「アイスランド?」

とか、

「イギリスの一部?」

みたいな認識をされる、存在感の乏しいアイルランド。

しかし、日本に住んでいた2015年、友人のバーベキューにお呼ばれした際に、一定の層には実は認知度が高い、という事を知りました。

同性愛の方。

今だとLGBTQと言うのですか?

「アイルランド、知ってます?」

と、遠慮気味に言う私に、彼女達は

「アイルランド、知ってる!同性婚が選挙で出来る事になった国でしょ?」

と明るく言われ、なるほど、その認識!と私も驚きました。

2015年同性婚が国民投票により可能になったアイルランド。

当時のアイルランドの首相も自らゲイだと告白しています。

イスラム圏辺りではいまだに偏見や厳しい罰則もありますが、世界的に急速に変わってきている性別への意識。

男の子と女の子

普段の生活ではこの問題を意識させられる事はほぼないのですが、意外にも7歳の息子が話すトピックからアイルランドのジェンダー事情を実感したりします。

それは例えば、クラスにいるある男の子の持ち物が全てピンク系、ユニコーン(アイルランドの女の子はユニコーンが大好き)でヘアバンドをし、いつも女の子と遊んでる、とか。

また、ある日などは

「友達のドミニクのお姉さん、オリビアいるでしょ?ドミニクがね、オリビアはもうお姉さんじゃなくて、お兄さんって事になったって言うんだよ。名前もオリーになったの。だから今後はオリーって呼ばないとダメなんだよ。」

オリビアは確か12歳位なはず。彼女(彼と呼ぶべき?)は、9月からセカンダリースクールに通っています。

確かにプライマリースクールの制服はスカートではなくてパンツを履いていたけれど、ジェンダー意識からだったなんてまるで気がつかなかった。

普段たまに世間話もしていたオリビア(オリー)の意外な一面を知り、ちょっと面食らってしまう。

学校の先生は教科以外のことも教えている。

つい最近は息子の結婚の概念も変わりました。

学校で毎週火曜日に習うアイリッシュダンスの授業。
ダンスの先生が学校に来て教えてくれているようです。

ある日学校から帰ると

「アイリッシュダンスの先生が結婚するんだよ。彼はボーイフレンドと結婚するんだって。男同士でも結婚出来るんだって言ってたよ。」

結婚は周りの大人カップルのように男女のものと思い込んでいた子供にとって、身近な先生が同性婚をする、という事はある意味、事件です。

先生が話した時、子供達は驚き、何人かは無邪気に結婚は男女がするものなんじゃないの?と聞いたようです。

そんな子供達に先生は、
「アイルランドは男同士、女同士も結婚できるんだよ。異性でも同性でも好きな人と結婚すればいいんだよ」
と説明したのだそう。

この話を聞いて、まだ幼い内に新しい概念が自然に入っていいなぁ、と思わせられました。

私は知らなかっただけなんだ、と気づく。

私の場合、子供時代に同性婚なんて考えた事すらなかった。
社会人になるまで周囲では見当たらなかったLGBTQの人達。

でも、本当にいなかったの?
彼らは言えなかっただけなんじゃないか。

いじめられるかもしれない。
差別されるだろう。
そんな気持ちを抱えながら友達の恋バナに適当に相槌を打つしかなかったのではないか。

もしかしたら私も無意識に彼らを傷つける言動をしたかもしれない。

7歳男児。性に対する認識がいかほどなのかは私にも分からない。
ただ、この歳だとまだ頭は柔らかい、常識を日々身につけていく年頃。

友達のお姉ちゃんは男性として生きるという選択をした。
同性婚という選択肢がある。
学校の先生が同性婚をする。

この概念はマジョリティの子供達の意識を変え、マイノリティの子供には勇気を与えるはず。

差別もいじめもなくなるだろう。

日本よりはるかに不便を感じるアイルランド。

ただ、人種や性の多様性な環境にいる事は子供達にとって大きな財産になるだろう、と思っています。

ドイツにいた時にたまたまゲイのお祭りに遭遇。人生楽しく生きたもん勝ちだよなぁ、と思わせてくれる人達。

西果て便り

(毎週木曜日更新)
世界放浪の後にヨーロッパの西端アイルランドに辿り着く。海辺の村アイリッシュの夫、と3人の子供達(息子二人、娘一人)と暮らしています。