気がつけば羊男のようになっていました
「羊のことよ」と彼女は言った。「たくさんの羊と一頭の羊」「羊?」「そして冒険が始まるの」
(村上春樹『羊をめぐる冒険』)
眠れない夜。羊が1匹、羊が2匹と数えてみるものの、ちょっと待って。どうして羊なの?
考えてしまったが最後です。目を閉じているのに、よけいに眠れなくなるのは目に見えています。そして、羊が脳内でぐるぐる駆け出すのです。
たまらず目を開き、スマホで由来を調べて納得。日本語で数えても意味はないとのこと。
そのまま、ネットサーフィンを続け、気がつけばYouTubeで海外のハプニングおもしろ動画をどっぷり見てしまい、寝不足が確定。真夜中に絶望して路頭に迷っていました。
そんな迷える羊のごとき僕は、メリノウールのウェアを扱うicebreakerのアンバサダーだったりします。
夜ごと路頭に迷うわけにはいきません。眠れぬ夜を過ごさないために、冬もランニングしたり、山に行ったりと体を動しています。その際には羊がとても役立っています。
というか、ベストパートナーです。相棒はメリノウールのシャツ。ニュージーランドで育ったメリノ種の羊毛で作られています。
一枚でもぬくぬくな保温力。濡れても保温力があるので、汗冷えしにくいです。さらには、濡れたまま放置してても臭いません。
先週末は連日、山を走っていましたが、その時も臭わずでした。脱いだシャツを車の中に置き忘れていましたが、翌日も臭わず。洗い物を増やさないように、そのまま着てみましたが、この日も快適でした。走った後も、そのまま着続けて、街中に出てもバレません。
昨夏の日本山脈縦走で、山口から青森まで走っている時にも重宝しました。この時は、長袖ではなく、袖の短いTシャツでした。
保温性に優れているのに?と思われるかもですが、毛だらけの羊が夏を過ごせるのです。羊毛がいい感じに環境を整えてくれるからです。具体的には、汗や湿気をしっかり吸収して、放出してくれます。汗でべたつくこともなく、サラッとしつつ、消臭効果も抜群でした。
荷物を減らしたかったので、2枚のTシャツだけで一夏を乗り切りました。夕方に水洗いして、濡れたまま着衣で乾かしてみたり、疲れて洗い忘れてみたり。それでも臭わないんです。
もともと服が好きで、学生時代に買ったフランネルのシャツを20年近く経っても羽織り、気に入った服は穴が空いたら、ヴィンテージ感が出たといって喜びつつ袖を通しています。
昨夏に着続けた2枚のTシャツも、使いこんだ柔らかさになり、夏の太陽にさらされて退色したものの、それも味があっていいものです。すでに10年は経っているかのような風合いですが、ザックを背負っていたわりに毛玉もできなくて、まだまだ着られそう。長持ちしそうなのは嬉しい限りです。
だからといって、無頓着すぎるのは注意が必要です。なぜなら、服は臭わずとも、体は臭うかもしれないから。過信は禁物です。
そんなわけで、村上春樹の小説に出てきた「羊男」のように、気がつけば普段から羊を身につけています。
10代の終わりに、その小説を読んでいた時は、羊男って臭いそうだなと勝手に想像を膨らませていたものですが、ウールについて知り、イメージが変わりました。羊男はたぶん無臭です。
生きていると、いろんな発見があるものです。今回はなんら冒険をしないまま。以上で羊をめぐるお話はおしまいです。
追記:前回の投稿で紹介していたキャンプ場「バルンバルンの森」のクラウドファンディングが始まったので、ご紹介です。ツリーハウスに興味のある方、ない方もリンクをポチッとしていただくだけで、森のメンバーに喜ばれます。