そうだ香港のアレ食べよう
ネイホウ、ニホンコンです。
ネイホウは広東語で「こんにちわ」の意。
方言と言いながらも、ありゃ別の言語だ!と叫びたくなる。
よく北京語(中国の標準語)と広東語の違いは「標準語と大阪弁の違いですか?」と
聞かれますが、答えはノーだ。
私の常套アンサーは「同じアルファベットを使っている、英語とフランス語くらい違う」です。
さて、先週香港スイート男子の話をしたら、無性に香港ローカルフードが懐かしくなり。
というワケで、お江戸用事のついでに訪問したのはこちら。
香港贊記茶餐廳
茶餐廳(チャーチャンテン)とは、香港の食堂と喫茶店をごちゃまぜにした、
ファミレスみたいなところ。
朝から深夜までやっていて、サンドイッチもある、飲み物もある、炒飯もある、麺もある。
が、なかなかトラップが多く、全部が全部美味しい!というワケではない(笑)
例えば、モーニングは目玉焼きとサンドイッチと出前一丁。
アフタヌーンティーと呼ばれる2時からのメニューもコーヒーと出前一丁。
という謎の出前一丁推し。朝から食べられるかーい!午後のひとときに食べられるかーい!
とメニュー選びは慎重になるのです。
さて、こちらお江戸は飯田橋。フランス大使館があったり、美味しいご飯屋さんも
多いと聞くのですが、目指すはもう、このお店がある薄暗い裏路地!
はい、入店!
いいね~。香港ドリンクがずらり。
漢字文化なので、右2つはなんとなく想像がつくかと。
そして、左から2つは「オバルチン」「ホーリック」という欧米系の麦芽系飲料。
日本でいうとミロ、みたいなものか。こういう欧米が日常に入り込んでいるところに
イギリスの植民地文化が垣間見られるというか。
右から3つ目。「鴛鴦」があった!日本語では「おしどり」と読みますが、広東語では
ユンヨンといって、れっきとした飲み物です。
ミルクティーとコーヒーを半々に混ぜたもので、そのハーモニーがおしどり的美味さ、
なのかなと。加えてここに砂糖と練乳がこれでもか!というくらい入っていて、
SUPER甘ったるいのが特徴。
店内の一番奥の隅っこに陣取る。全体がよーく見渡せます。
どうやら今日から新しいアルバイトの女の子が入ったらしく、半袖の男性がいろいろ教えていた。
2人とも中国の方のようで、中国語で「右側はAで左側がBで・・」と教えていた。
気づいたら、ここテーブル番号がない。すべて店員さんの記憶頼みと見た。
お店のBGMは香港で人気の中華的歌姫、王菲(フェイ・ウォン)、サイコーな空間でございます。
さて、オーダーしましょか
日本に居ると、Aランチなんて猪八戒にしか見えてこない不思議。
これもチャーチャンテンあるあるなのですが、しゃ、写真が「そそられない」(笑)。
もっと美味しそうな写真にしておくれ。
たまにアタリもあるのですが、写真のイメージのまんまだったり、好みに合わなかったり
することも多いにある。
ランチセットはスルーして、今日は私が好きなアレ頼も。
麺!しかも焼きそば一択!その中でも一番上の「香港風焼きそば」。
具材も少なくてただの茶色い焼きそばです。ちなみに豉油皇とは、香港醤油
と呼ばれるもの。
メニューの下のほうになってくると不思議度ましまし。インスタントラーメンが
焼かれたりスイスに行ってしまったりもする。
しっかし高いな・・
香港で食べるとだいたい日本円で400~500円、相場が高いといわれる空港で700円程度。
そしてここ、日本だと1050円・・。そこまで出すほどかと詰め寄られると困るのですが、
日帰り香港旅だと思えば安いもんです。
あとは最初に目に飛び込んできた思い出のドリンク鴛鴦、あとデザートにエッグタルトもオーダー。
この妙に長いプラスチックの箸も香港ならでは。現地ではまず、お湯の入ったコップに
お箸とレンゲを突っ込んでガシャガシャと洗うのが常。
衛生状況を考えてのことらしいが、香港のレストランを日本の衛生基準法に当てはめると、
営業できるレストランが1件もないという、ウソかホントか分からない話もある(笑)
げ、先に来た
食後にゆっくり楽しもうと思った鴛鴦とエッグタルトが先にきた。
日本だったら聞くよね。「一緒にお持ちしますか?食後にしますか?」って。
誰がミルクティーコーヒー飲んでエッグタルト食べて「ふぅ」って一息ついてから
ガッツリ焼きそば食べるんだよ!え?ワタシってか?順番逆だ逆!
ああ、忘れてた!でもカップかわいいから許す。
エッグタルトは、元々はポルトガルのお菓子で、これまた1999年までポルトガル領だった
マカオのやつサイコーに美味しい。香港にあるものはこの写真のようなフォルムで
マカオのものよりもチープな味がする。例えるなら黄色部は「ぬくまったプリン」です。
仕方なし。焼きそば食べるまでおいとく。
きた!なつかしの匂い!
ああ、もうこれこれ!
ここから美味しい匂いが出せない発せられないのがこんなにも惜しいものか!
と思うくらい、ザ・香港。
見た目さして美味しそうでもないし、具もニラともやしオンリー。
でも、ああ、この香り、まさに香港のそこらへんに転がってる日常です。
食べるともう唇がピカピカになる。たぶん相当油使ってると思われます。
私はこの焼きそばが好きで、香港に旅行にいったら、帰りは飛行機に乗る前に
これを食べて香港にサヨナラします。
早朝のフライトで、朝6時に空港に着いても食べる。
一緒にいた友人はコーヒーを飲みながら「見てるだけで胃が重たくなる」と言っていた。
じゃあ目ーつぶってておくんなまし。誰が何といおうと、このただの茶色い焼きそばを
思い出と共に胃に沈め、ややもたれながら唇ピカピカで飛行機に乗るんだから。
ちなみに、やっぱりテーブル番号書いといたほうがいい。すごいオーダー間違える。
私には野菜炒めご飯、この焼きそばも他の人のところ行っちゃうなど、いろいろ
とっちらかっていた。
お会計も「これ持ってレジ来てください」の紙がない。すべて店員さんの記憶による
テーブル番号頼み。
鴛鴦飲みますか
ガツーンと脳天に響く甘さを覚悟でおそるおそる一口飲んだ鴛鴦はというと・・
「砂糖はいってないんかーい!」。ハイ、「ここだけ日本」でした、ズコーッ!(古っ!)
たぶん、あの甘さは日本では無理と判断したのかと。隅っこにさりげなく
「お好きにどうぞ」と言わんばかりの砂糖の入れ物が置いてあった。
ちなみに香港でオーダーするときには甘さも一緒にオーダーできます。ちょい甘くらいで十分な
時は「少甜(シュウティム)」と言って、甘さ控えめにしてもらいます。
すごい香港人ぽい
赤坂に二号店を出すという張り紙があり、へぇ、なかなかやり手だわーと思っていたら
社長、ピーター・チュン氏!
このメガネ、少し丸ぼったい鼻、そうそう、こういうおじさん沢山いる!と思って
懐かしくなりました。
ちなみに香港人は皆イングリッシュネームを持っています。ピーターはもちろん、
女性ではエリザベスもいればダイヤモンドもいる。
ちなみに、苗字は難解。チャン、チュン、チョンすべてあって混乱する。
「ジャッキー・チェン」はかの有名なアクション俳優、でも「ジャッキー・チュン」だと
香港で有名な歌手。しかも漢字で書くと前者は「成龍」、後者は「張学友」。
もう、誰が誰だか毎回混乱している。
久々の香港は
東京の片隅にあるリトル香港なお店。私にとってはじゅーぶん香港でした。
またあの雑多で騒々しい町の片隅で、焼きそばをほおばりながら、
友人とああだこうだとしゃべりたいものです。
香港人の友人が97年の返還時に放った言葉を今でも覚えています。
「香港は、親が勝手に変わる子どもみたいなもん。これまではイギリスで、
ここからは中国が親ですよ、と言われる感じ。子どもである香港にはそれを
どうこうする権利がないんだよね」と。
きっと日本人の私には想像がつかないような、自国や地域の中で育つ
アイデンティティだったり、思想だったり葛藤があるんだろうなと。
香港を思い出す度に、セットでついてくる記憶の中のセリフです。
今香港は、そして香港の人は何を思っているんだろうな。
遠い空の向こうにある土地と、人を久しぶりに思い出した時間。
我好鐘意香港(ンゴ ホウチョンイ ヒョンゴン)。
日本の片隅から下手くそな広東語で愛を叫んでみました。
12月7日 ニホンコン