九份の旅
ニーハオ、ニホンコンです。
オリンピックのサーフィンも今日やるし、夏休みに朝から4つもお弁当作ったりとか、
なんだかパタパタとしております。
何の話題にしようかと思ったけど、台湾家族旅行の最終日に出かけた「九份」。
「この景色はどっから見れるか」で躍起になったのを思い出しまして。
ガイドブックには、こんな素敵に書かれている。
「ノスタルジックな街に迷い込む」!
んだんだ!迷い込むぞ!と一路九份に。
とはいえ、気ままな大人旅ではなく、あくまで家族旅行。当時小学生だった1号2号と、3号に至っては
未就学児ということで、あんまり無理もできず。彼女たちがブウブウ、ピイピイ言いださないことが
大前提で向かう。
しかし、近くはない。ガッツリ1時間弱電車に揺られた後、そこからまたバスで坂というか丘を登る。
ゆっくり出かけたら、到着がすっかり夕方になってしまった。
こういう景色見ると「わー、香港の裏のほうみたいだなー」とか思って楽しくなってくるのだけど、
ここは台湾。バスの中はキンキンに冷えた冷蔵庫状態が香港バスあるあるだけど、ここ台湾では
生ぬるーい風が窓からふんわり入ってくる。同じ中華圏でも、ところ変わればなのだ。
しっかし、すんごい人・人・人!第一印象は、まさに「江の島の半分くらいの道幅に
江の島の倍くらいの人がギュウギュウしてる」。そして独特の湿気でもわっとする感じが
階段上る前から体力を消耗する。
それでも、子どもたちも観たことのある「千と千尋の神隠し」の世界そのまんまで、
湯ばーばいるかな?お風呂屋あるかな?なんて言いながら、幻想的な提灯風景を楽しむ。
そうこうしているうちに、とっぷり日も暮れてくる。
「そういや、あの風景どこだ」となり。あの風景とは、ガイドブックの「あの」風景だ。
もっかい見てみよう、あの景色を。
これ見て満足して帰るか、となったのだけど、ここからが長い。探せど、探せど、
この景色が見える場所に到着しない。こうなったら旅の必殺技「そこらの人に聞こう」だ。
入るお店入るお店でこのページを見せて「ねえねえ、この景色はどっから見れるワケ?」と聞いて回る。
お店の人もあまりに聞き込みする私に「ねえ、あんた、このファミリーのガイドさん?」と聞いてくる。
「違う、私、このファミリーの一員でして、この子どもたちの母で、んでこの人の奥さんアルね!」と
己の立場も説明したりして、「いや、だーかーらー、これ見に来たんスわ、我が家!」と騒ぐ。
お店の人が写真に写るお店やら角度やら見ながら「うーむ、これドコだろうねー?」と言ってる中、
ひとりのオバサンがやってきて、一言いった。
「これ、コンパイねコンパイ!!」。店員一同「あ~、コンパイね~」と。
げ、なんだこの一気に解決した感?!そしてこの「コンパイ」でまとまる一体感!!
オバサン、空を指さす。ああ、コンは「空kōng」ね。となるとパイは撮影の意味の「拍pāi」だ。
「空撮」いわゆるドローン撮影っちゅーことだ!なるほどーーー!というか、がびーーん!
わざわざこの景色見たさに九份くんだりまで来たけど、いやなんだい、究極はおめーさんが
空飛ばないとこの景色見れねーぞ、っちゅーことか。道理で美しく撮れてるワケだ。
家族に伝える「わかりました!コレ、ドローンで撮影。なんすわ♡」と。
「なんだよーー!」「疲れたーー!」とブウブウ、ピイピイが始まるが仕方なし。
提灯があふれかえるメインスポットで写真撮って、台北にかえりましょか。
帰りもなかなかに大変。バス停で待っていても、素通りするのは、半日ツアーで来てる人らの
空調効きまくりラクチン観光バス。こちとら来るローカルバスに「これ、最寄駅の瑞芳行きますか?」
「いかねーよ」「途中までなら行く」みたいなやり取りを何度もする。
そうこうしてるうちに、同じような自力来訪の日本人がワラワラやってきて、「私たち何も分からない
んです!」と懇願され、結局全員同じバスに乗せるべく、来るバス来るバスに交渉し、人数と値段を
確認してそこにいた日本人を無事乗っける。
この時また「アナタ、この御一行様のガイドですか?」と聞かれたら「そーですが何か?!」と
眉間に皺寄せて答えてただろうなきっと。
しかも子供たちは必死の母の後ろで、観光客のみなさんに「おかーさん、中国語のセンセーなんだー」
と勝手に紹介とかしてるし。全員まとめて授業料という名のコミッションもらおかなと一瞬思うも、
異国の地でまっくらの時間にバスと電車乗り継いで自力で宿に帰るって不安度マックスだよなーと
同情する。
もう、最寄り駅に着いた時には21時ちかく。ここで食べとかないとここからの電車が
ピヨピヨ軍団のピイピイ祭りになるな、と思って、そこらのしみったれた(失礼)食堂に入る。
でも、そこは台湾なんだな。何食べても美味しいんだなー。
疲れた体で全員もくもくとガツガツと食べること、食べること。
鹹豆漿(シェンドウジャン)、これは中国大陸にも無かったし、香港でもない、台湾独特の味。
毎回家で作ろう作ろうと誓ってはなかなか着手できてない。これが朝から食べられる家になりたい。
行きは鉄道みたいなので来た筈なのだけど、もう時間も遅かったのかな。各駅停車みたいなので、延々と
台北の市内までずーーーっと乗る。まあいい、こんな「ただ移動だけする」というのも旅の醍醐味だ。
もう子どもなんて寝る時間をとうに回ってる筈なのに、旅の高揚感からか、じゃんけんしたり、
キョロキョロしたりで、結局最後まで元気だった。
こうして、一日がかりでえいやっと出かけた九份の旅。次行くならやや割高を承知でツアーに参加して
快適に回るのもよかろう、と思いながらも、いやコンパイでどーせあの景色見れないなら
まだ見ぬ別の街に行きたいな。
いつか九份に行こう!と思ってる方に伝えます。ガイドブックの素敵風景はドローンだよ!
子連れ&自力はなかなか体力が要るヨ!
そして、九份に詳しい方、「あんたらアホだな、もっとこうやって行けばよかったのに」
があったら教えてくださいまし。
エア九份の旅で楽しみますゆえ。
7月27日 ニホンコン