詰め込む。
3ヶ月続いたドラマのフードのお仕事が終わり、先のスケジュールが見えづらい日々に区切りがつきました。
あっという間に6月末。HSK中国漢語水平考試・試験の日「7月18日」が、約1ヶ月後に迫っている。自分で作った〆切。まずい。だいぶまずい。本腰を入れて勉強しないと!
今年1月からスタートした中国語。ニホンコン先生の授業は、毎回新しい発見に満ちていて、中国語が面白くなりました。回を重ねるごとに、中国語が好きになる。ニホンコン老师のおかげ。いつもありがとうございます。
中国語の音に慣れようと、NETFLIXで『美味の起源』を見直したり(2019年制作。広東省潮汕料理、雲南料理、甘粛料理の3シーズンあり。それぞれの地域に根付いた食材、調理法を1テーマ10分ちょっとで魅せます。ものすごくお腹が空いて、旅に出たくなる番組です)、ドラマを見たり。聞き取れる単語はぽつぽつと増えてきた。紙の辞書も買った。知らない単語が出てきたら、都度調べるようにはしている。とはいえ、文章丸ごとディクテーションできるほど耳は育っていないし、書き取りで書けない漢字もたくさんある。テストに臨める体制は、全くといいほど整っていない。
この状況は非常にまずい。「非常」。漢字で書いたら、「fēicháng」と発音記号の拼音が浮かんでくるくらい気持ちだけは、臨戦態勢なんですけれど。実践が、全くもって足りていない。急ぎ対策を練らねば。
バリバリおかきを食べながらNETFLIXを見ているぐうたら人のこいけAと、辞書を持ち歩いて(「携帯のアプリでいいじゃん、重いのに」と、ぐうたら人こいけAが後ろで言っていますが)気持ちだけは、いつでも勉強できる体制を整えておく派の真面目な語学学習者こいけBが鬩ぎ合います。
こいけBが正確に焦りだした日付は6月21日(月)。そこから数えて、テストの前日までは27日間。HSK3級をクリアすることが目標。ではあるのだけれど、滑り止めのような気持ちで、同じ日に開催されるHSK2級も申し込んでしまった。
「テストは毎月開催されるんだから、まず2級。受かったら次に3級って、受験日を分ければいいのに。」
ぐうたら人こいけAが寝そべりながら、言っています。しかし、ある程度追い込まないと、エンジンがかからないことをよく知っているこいけB。
「いいの、いいの。わたしの語学習得の鍵になってきたのは、いつも勢いだったから」
とはいえ、勢いだけで受かるほど試験は甘くないことも身にしみてよくわかっています。残り27日間の計画を練らねばならない。
HSK3級。基礎段階終了レベル。「生活・学習・仕事などにおいて基本的なコミュニケーションができる。中国旅行の際にも大多数の場合、中国語で対応できる」と書かれています。必要な単語数は600語。だいぶ前に購入したHSK用の単語トレーニングブックは、ひとつも手をつけていない。すでに勉強している単語ももちろん含まれるけれど、600語、復習を2回はできるようにと考えると1日60単語ちょいは確認、覚え直す必要がある。
基礎段階終了レベルの勉強時間の目安は135時間。1月から学んで入るものの、毎日少しずつというよりも月2回の授業の前後に勉強する程度しか時間をさけていない。今まで勉強した時間を一旦おいて、135時間を27日で割ると1日5時間中国語を勉強する時間を捻り出そう。
「仕事もあるし、毎日5時間って無理じゃない?徹夜できる体力もなくなってるし、眠くなったら寝るんです。」(こいけA)
「こないだまで見てたロースクールでさ、カン・ソルAが刑法の試験のために眠くなったらペンを手の甲に刺してまで頑張ってたじゃん。そのくらいの気概がないと間に合わない。5時間、なんとしてでも捻り出す。眠くなったら、迷わず仮眠はするけどノルマはこなす」(こいけB)
NETFLIXで先日まで、韓国の放送と同じ日に配信されていた「ロースクール」。キム・ミョンミン演じるヤン・ジョンフン教授と名門のロースクールに通う検事や弁護士を目指す生徒たちが、自分や家族にふりかかる事件と向き合いながら、法律とは、正義とはを問い続けていくドラマです。ヒロイン、リュ・ヘヨン演じるカン・ソルA(同じクラスに同姓同名がいたため、二人はそれぞれソルAとソルBと呼ばれています)。右手に持ったペンで左手の甲を刺しながら睡魔と戦い、試験会場で鼻血を出しながら回答し続けた姿を重ねて、自分を鼓舞。できないと思ったらできないし、できると思わないと始まらない。
「そんなことなら、もっと早くからやってればよかったじゃん」(こいけA)
わかっているのに、試験前にだいたいこうなる人生をもう何年歩んできているんでしょう。でも、自分が進んで学びたいと思った語学については、試験前に集中することでなんとか乗り切ってきた。諦めずにのぞみます。
21日から毎日、1日の行動予定を手帳にメモ。勉強ができる隙間の時間を5時間確保。5日間は、ノルマをクリアしてきました。過去に習ったテキストの復習、アプリ「Hello Chinese」(ノルマ1日5〜6項目)、単語60ケ。詰め込み勉強を始めてから3日が経つと。単語も文章も覚える速度がぐんと上がったのが分かりました。アプリで音声を流しての書き取り。聞こえる部分が格段に増えている。いい調子。けっこう頑張ってるじゃん。
勉強は楽しい。楽しいけれど、眠くなると集中力は落ちる。何回もおなじ単語をループし始めたら休憩のサイン。さっきからずっと「以后」って書き続けてる。発音記号の拼音、合ってない。「以」は三声で、「后」は四声だよ。
15分間の休憩。コーヒーを飲みながら何か、背中を押してくれるものを読もう。後半部分をお預けにしていた読書猿さん著の『独学大全』。この本のおかげで、行動記録表のことを知って、中国語を学習する時間を確保することができました。
まだ読めていなかった『独学大全』の696P。「英語(外国語)独学の骨法」には、ロンブ・カトーが編み出した分数式が載っていました。1909年ハンガリーに生まれたロンブ・カトー。中国語、日本語を含む十数言語を習得した翻訳者であり、同時通訳者でもあります。韓国語の勉強を始めた時、ロンブ・カトーの『わたしの外国語学習法』を読んで以来、とても尊敬する憧れの人となりました。大学で物理学と化学を学んでいたロンブ・カトー。生活のために英語を始めとした様々な言語を学び始めた時、毎日勉強を続けることを邪魔するいくつかの要因に気がついたそうです。「そんなやり方は時間の無駄」学習方法に関する様々な雑音。言葉を間違うことへの恐怖。これが分母となり、勉強に費やした時間とモチベーションを足したものが分子になって、成果が現れる。
「そんなやり方は時間の無駄」。勉強を妨げる雑音は、自ら自分にむけて発してしまう場合もある。こいけAがこいけBに発する言葉のように。最善の方法を探り続けて何もやらないより、学習を続ける火種がずっと消えないように、毎日ちょっとずつでも勉強を積み重ねていく。結局それが一番身につく方法。
『独学大全』のおかげで、久しぶりに、ロンブ・カトーの言葉を読んで、睡魔と戦っていた火種がまた燃え始めました。試験という目標に向けて、火が消えないように空気を入れたり、もっと燃えるように薪をくべたりしながら、自分という箱に新しい言葉を詰め込む。
近所のドーナツ屋さん、ハリッツで7月11日までコラボドーナツを販売している台湾「你好我好」の青木由香さんに、以前聞いたことがあります。「中国語ができるようになったと確信したのは、どんな時だった?」と。
「中国語で怒ってる夢を見た日があって。その日に、あっできるようになったと思った」
怒ったり、泣いたり、笑ったり。夢の中で中国語が飛び出すその日まで。
まずは、7月18日を目指して、言葉を詰め込んで、外に出して、詰め込んで、外に出して。少しずつ、体の一部に染み込ませていきたいと思います。
今日は暑くなりそうですね。皆様、良い週末をお過ごしくださいませ。