商店街。
先週に引き続き経堂すずらん通りにおります、「こいけはなえの気になるもの」。SAKRAJPのリーダーぐっさんがこのタイトルで毎週書くように、とお題を決めてくれたのですが。気になるものって、いつでもどの瞬間にもずっとなくならないもの。いいお題をもらったなぁと、あらためて思う5月末です。
えっ。もう5月末!今年も時が経つのが早すぎやしませんか。っていうか、もう梅雨入り?かと思う雨の多さですねぇ。
あやちゃんと経堂に行った1週間前は、お天気も良く。「商店街の奥まで、もうちょっと歩いてみる?」と言いたくなる気持ちのいい日でした。
タイ、ベトナム、韓国など。stockで束の間のアジア雑貨巡りをしてホクホクのわたしたちは、すずらん通りをもう少し探索してみることにしました。
「ここ、初台のスーパー百貨店みたいじゃない?」
あやちゃんがシャッターのそばに駆け寄って、中を覗き込む。
こどもの歯医者さんが初台にあるので、治療の間の待ち時間にブラブラと買い物に行く初台スーパー百貨店。八百屋さん、魚屋さん、お肉屋さんがちょうどいいスペースにおさまっている。珍しい野菜に出会えることも多く、肉や魚の鮮度もいいので、行くとちょっと多めに買い物をしてしまうお店。そんな初台スーパー百貨店のようなお店が経堂にも。
ここは、肉屋さん、魚屋さん、そしてクリーニング屋さんが入っているようですが、この日は肉屋さんだけが営業しているよう。後で調べてみると、ニュースズランの肉屋さん「ミートコンパニオン」の牛肉コロッケがおいしいらしい。この日は、外からお店を覗き込んだだけで中に入らなかったけれど、次回は買って帰ろう。
近くには食パン専門店の一本堂ができていたり、焙煎のいい香りがしてきたなと思ったらコーヒー豆の専門店もありました。
少し先にコインパーキングが見えて、この辺りでお店は終わりかなと来た道を引き換えそうとした時。広いガラス張りのお店の中に、オレンジのマリーゴールドが背の高い花瓶にすくっと活けてあるのが見えました。
「かわいいお店。花屋さんかな」
「ここ、かわいい花屋さんなんですよ。」
独り言のような私たちの呟きに、答えてくれた関西弁のお兄さん。広い翼のハットを被って、ハワイアンシャツを着た洒落た装い。あやちゃんと二人であははと笑ってお店に入ると、少し珍しいお花が並んでいました。
「こんにちは。こないだオープンしたばかりの花屋です」
白いシャツを着た女性の方が話しかけてくれました。「お花のセレクトが素敵ですね。あのオレンジに惹かれて来ました」と伝えると。元々表参道のニコライバーグマンで4年間店長を務めていたこと、最近友人と二人でこのお店をスタートしたのだということを話してくれました。
先ほど「かわいい花屋さんなんですよ」と答えてくれた男性は、オーナーの女性が最近友だちになった方で。今日はお花を買いにきてくれたのだということも会話の中で分かりました。
レジの横にある咲きった芍薬も美しい。最近どのお花屋さんでも芍薬のまぁるい蕾をたくさん見るけれど、今日はなかなか見ないマリーゴールドを買って帰ることにしました。あやちゃんはオレンジのスプレーバラが気になっていたようだったので、一緒に購入してプレゼント。
loopという名前の花屋さんで買ったマリーゴールド。1週間と少し経った今も、我が家できれいに咲き続けてくれています。
歩いて来た道を折り返して、ちょっとお茶して帰るかとstockの横のドーナツ屋さんに入る。散策途中、手描きのイラストが気になって後で来てみようかと話していたお店。木箱には、ボリュームのあるドーナツが並んでいます。イーストを使ったもっちりフワフワのパン生地のドーナツと、ベーキングパウダーで膨らませるクッキー生地のサクサクしたドーナツ。どちらもおいしいけれど、最近はパン生地のボリューミーなドーナツに惹かれます。
クリームチーズとクルミたっぷりのドーナツと、りんごとクリームがサンドされたドーナツをチョイス。「ラム酒のきいたクリームチーズがおいしい」と目の前であやちゃんがじっとドーナツを見つめています。お菓子のプロ。どんな粉を使っているか、クルミのロースト具合など。味わいながら、確かめている模様です。
きちんと整頓されたキッチンには、ドーナツをあげる鋳物の鍋が、かっこよく鎮座しています。ロータスのビスケットが乗った、りんごの入ったドーナツはふんわりと優しい味。
半分ずつドーナツを平げたら、二人ともお腹いっぱい。しばし店内を見回す。外から見て気になっていたイラストは、食べてみたい理想のドーナツをお客さんたちが絵にしたものでした。来店したお客さんが好きなドーナツにシールを貼っていく投票式になっていて、実際にお店のメニューとして採用されたドーナツも。
小さなお子さんの描いた「はやりドーナッツ」には、好きなものがいっぱいドーナッツの上に(小さい「ッ」がかわいい)乗っていました。
まだぶらぶらを続けたいけれど、そろそろ帰らなければいけな時間。駅に向かいつつふと気づいたのは、すずらん通りにはチェーン店が少ないことでした。古くからあるお店も、個人の好きがつまった新しいチャレンジを始めているお店も。個人経営や古くから商売をされているお店が集まっている。こういう商店街が自分の住む街にあって、今日はあそこで買い物をして帰ろうと思えること。この街に住んでいなくても、少し遠くから時々遊びにきたくなる場所でもあること。そんなすずらん通りを歩きながら、自分の好きなアジアのたくさんの通りのことを思い出す。すずらん通りのように、住む人たちの日常と小さな発見が混ざり合った市場や通りを歩くことが、旅の醍醐味の大きな部分を占めていた。
経堂から準急列車に乗って、あやちゃんと帰路に着く。次に海外へ行くなら、ベトナム?韓国?と話をしながら、東北沢駅を電車が通過していく。
「あやちゃん、代々木八幡の方が近いよね。」
「あ、そうね。私は八幡で降りようかな。また買い物行こう」
代々木上原駅で電車を降り、手をふってあやちゃんの乗った準急列車を見送って、夕飯の買い物。いっぱいの荷物を手に、家に向かって歩いていると、LINEの通知がププーと鳴った。
「はなえちゃん、新宿に着いたよ。準急列車、代々木八幡をゆっくり通過していった笑」
代々木上原で一緒に降りるつもりだったあやちゃんに代々木八幡の方が近いよねと、わたしが言ってしまったばっかりに…。そういえば、準急列車は東北沢駅を通過していたじゃないか。
ごめん!!と謝りのメッセージを打ちながらも、あやちゃんとの今までの旅の珍道中を思い出してニヤニヤしてしまう。まだ見ぬアジアの通りで、市場で。あやちゃんと笑いあえる日が早く来ますように。オチをつけてしまってごめん。あやちゃんとの旅は、いつも何かが起きて、そしてやっぱり楽しいのです。