こころに花を。
いらっしゃい!喫茶竹藪 店主の小池です。
こちらでは朝の時間にあいそうな、音楽を紹介していきますよ。©️喫茶竹林
毎週、知らなかった音楽の扉を開いてくれるSAKRA.JP金曜担当の千田くんの挨拶を思いっきり拝借しましたが、今日はそんな気分なんです。
今年のゴールデンウィークは、昨年同様。ゴールデンな気分とは程遠く。自宅・事務所、撮影現場と小さい範囲を往復して、淡々と仕事をこなす日々でした。
対面の打ち合わせが必要で、外苑前まで出向いた日。いつもなら100%に限りなく近い確率で人が並んでいる蕎麦きり「みよた」が空いている。やった!15時すぎ、中途半端な時間だけれど、遅めのランチ。吸い込まれるように店に入りました。
店内には先客が一人だけ。お客さんがいっぱいでも「早い・旨い」のみよたですが、今日も瞬く間に蕎麦がやってきました。実を丸ごと挽いた「挽きぐるみ」という製法で作られる蕎麦は香りがいい。前職のオフィスがみよたの斜め向かいにあった時代が長く。小腹がすくと「みよた、空いてるかな。」と必ず思い出すお店でもありました。鰹の香りがしっかりする、甘すぎないつゆも旨いんです。
店に入る時にはお客さんがほとんどいなかったのに、自分が入った後に店内がいっぱいになっている、という経験を誰しもしていると思いますが。蕎麦を食べ終わる頃には、客席が埋まっていました。
さっきまで小雨が降ったり止んだりしていたけれど、少し先の空に太陽が出てきた。代々木上原まで歩いて帰ることにして、246沿いを行く。
コーヒーや食べ物の屋台が並ぶ「COMMUNE 2nd」。入り口にワンピースが1着飾ってありました。今日は古着屋さんが出ているのか。ちょっとだけ寄ってみよう。
コーヒー屋さん、ファーマーズマーケットと続いて、花屋さんも出ていました。街のどこを見ても、バラがきれいに咲いている季節。COMMUNE 2ndの花屋さんにも珍しいバラが並んでいました。花びらの裾がほんのりグリーンの薄いピンクの花びら。ぎゅっとつまった花びらの中心に向かって黄緑色の短い花びらが顔をのぞかせているバラ。
何度も目があって、このバラを購入することに。「店じまいの時間だから。」と、店主の女性がおまけにもう1本、バラを包んでくれました。
「このバラね、広島のバラの第一人者の方が作っているものなんだけれど美しいでしょう。テアトロっていう名前なんです。劇場の舞台袖で出番を待つ踊り子さんのイメージで作られたものなんですって」
中心のグリーンは踊り子さんで、その周りを幾重にも囲んでいるピンクの花びらはチュチュなんだ。最近最終回を迎えて寂しく思っていたNetflix「ナビレラ」。高く舞うバレリーナの姿が重なりました。なんていい名前なんだろう。ここで脳内になるはずのBGMは、ドラマのラストで主人公チェロクとドクチュルが踊っていた白鳥の湖。なのに、なぜかエレファントカシマシの「赤い薔薇」が鳴り始めてしまいました。
ピンクのバラを手に、いつもより人通りの少ない表参道を歩くBGMは赤い薔薇。マジックアワーに浮かぶの雲の色は手の中にあるバラのように浅いピンクなのに、脳内には赤い薔薇。
赤い薔薇、1本でもかっこよくて美しい。でも、なんだか緊張するので、自分では買わない薔薇。
「僕はひた走る どんなアホらしい人生も 全て喜びに変えて」宮本さんの声が頭の中でループする。映画のように表参道を疾走はしませんが、どんどん歩く速度が上がっていく。いつもより人通りの少ない表参道は、すいすい進める。
「赤い薔薇」がリリースされた1997年。この曲を繰り返し聞いていた21歳の自分は、将来が不安で不安で、という言葉を続けたくなるけれど、好きなミュージシャンがたくさんいて、いい音楽があって。わりと楽しくやっていたんだよなぁなんてことも思い出す。
エレファントカシマシといえば。1996年に発売になった『ココロに花を』。このアルバムを一人の空間で、何度も繰り返し聴きたくて。車に乗って、国道254浦和所沢バイパスを走った。ここで中央フリーウェイとか、湘南の海沿いを走るにならないところが、埼玉在住の大学生の現実。
表参道から代々木上原までの帰り道。脳内BGMだけでは我慢できなくなって、代々木公園の横を通過しながらiphoneでエレカシを検索。『ココロに花を』を聴きながら上原までの道のりを歩く。
COMMUNE 2ndのお花屋さんのおかげで。今年はエレカシ三昧のゴールデンウィークでした。
「赤い薔薇」
作詞:宮本浩次
作曲:宮本浩次
今宵の月のように
℗ PONY CANYON INC.
Released on: 1997-07-30
それではまた次回!チュース!©️喫茶竹林