散歩終わりのピンクのチャーハン。

気づけば、長いこと小田急線沿線っこです。一人暮らしを始めた場所は、東急東横線学芸大学、次に引っ越したのは田園都市線三軒茶屋。そのあと、小田急線の千歳船橋に越してからは梅ヶ丘、東北沢、代々木八幡、代々木上原。と、ずっと小田急線沿線に住んでいます。海の近くや、多摩川沿い。東東京にも住んでみたい魅力的な場所がたくさんありますが、引っ越すとしても結局このあたりに落ち着いてしまうんだろうな。

子どもが保育園の年中〜年長さんにかけて住んでいた東北沢。運動不足!と思ったら、今でもこの辺りまでよく散歩に来るのですが、最近駅がとてもきれいになりました。東北沢〜世田谷代田間の1.7km。鉄道が地下に降りて、線路のあった場所に新しい建物ができた。昨年から少しずつ開業しているお店も増えました。以前は線路沿いをまっすぐ歩くことはできなかった世田谷代田までの道のり。どこまでストレートに行くことできるのか、ちょっと散策してみようと思い立ちました。代々木上原で時計を見ると、時間は15時40分。1時間半くらいで行って帰って来れるかな。さぁ、出発します。

上原から東北沢までの道。線路沿いには大きな八重桜の木が迎えてくれる公園があります。新緑が青く伸びてきて、花びらが散り始めていますが、人は桜の近くに行きたくなるものなんでしょうか。桜の木の下、休憩している人がいました。

この先は線路沿いを少しそれて航研通りを歩き、また線路に戻ります。東北沢の駅前のロータリーが広くなって、コーヒー屋さんもできた。以前、駅のすぐ裏に住んでいましたが、下北まで池の上駅手前を右折して、スズナリの劇場の脇に出る道まで、くねくねと右折左折をくりかえし10分弱はかかったと記憶しています。線路が完全に地下化した今は、5分ほど。目先に見える下北沢の駅に向かって、元線路脇を歩くことができるようになった。

東北沢から下北沢間にはホテルと商業施設が今年4月にオープン予定だったようですが、少し先になるようです。下北一番街の手前まではまっすぐ歩くことができて、駅の手前はイベントスペースになっている。トルココーヒーを売るフードトラック、古着屋さん。小さなライブスペースもあります。今日は女の子がアコギ一本の弾き語り。シャングリラを歌っていました。

駅はもうすぐそこなのだけれど、工事中の区域を挟むので道を一旦左折します。慣れ親しんだ珉亭と本田劇場のある通りに出る。夕飯にはまだ早い時間だけれど、ラーチャン食べたいなぁ。マーボーラーメンもいいなぁと店を薄目で覗きながら、自分の背中を押すようにして少し早足で通り過ぎる。ヴィレッジヴァンガード前を通過して、新しくなったスーパーオオゼキの店頭に並ぶ台湾パイナップルにも心惹かれながら左折。下北沢の駅に到着。駅の周りはまだ工事中でまっすぐ歩けない箇所が続く。

東口の改札を右折、左折、左折して線路のあった道に戻る。

3分ほど歩くと、発酵デパートメントのあるBONUS TRACKが見えてきます。

桜が散ったと思ったら、もう紫陽花の蕾が花を咲かせる準備をしている。

ビールでも飲んで帰りたいところですが、世田谷代田の駅に到着するまでは我慢。歩を進めます。以前は開業していなかった保育園がオープンしていて、お迎えに走ってくるお母さんたちとすれ違う。うちの息子は、このすぐ近くの代田保育園に通っていました。お迎えの時間はいつも最終。ギリギリになってしまって、駅から保育園まで5分の道のりが近いのに遠かった。雨の降る日、傘にほとんど入っていない状態の猛スピードで、世田谷代田からの坂を環七まで駆け下りて保育園に飛び込んだあと。子どもは長靴と傘の日はご機嫌で。保育園から駅に戻る登り坂を上がる速度はゆっくり。ジグザグに歩いて帰ったことを思い出します。

保育園の先には、温泉宿ができていました。「由縁別邸」芦ノ湖の温泉から運ばれてくるアルカリ性の原泉。日帰りの入浴もできて、サウナもあるそうです。遠くに旅に出られない今、散歩しながらここまで来て、1泊して帰るのもいいな。

世田谷代田駅のロータリーも広くきれいになっていて、東北沢と同じコーヒー屋さんができていました。

保育園のお迎えにいつもダッシュしていた坂。
広くなった駅前では、子どもたちが氷鬼をやっていました。

懐かしい景色と少し新しくなった景色を後にして、また上原に戻る道のり。電車に乗ってしまおうか、もう一度歩こうか。少し迷って、やっぱり歩くことにしました。

行きに歩いてきた線路沿いとは別の道を選んで、下北に戻ります。前よりも、古着屋さんがたくさん増えた。海外からのお客さんで賑わっていた道。あの景色がまた戻ってきますように。

時計を見ると時刻は17:30。行きに我慢した珉亭に寄ってもいい時間なんじゃないか。

「いらっしゃい」カウンターの右角に座る。何を注文するか、世田谷代田から下北までの散歩中に心は決まっていたけれど、一旦メニューを見る。やっぱり今日はラーチャンで。

「はい、ラーチャンひとつ」。

珉亭に来る楽しみのひとつ、辣白菜がまず目の前の運ばれてきた。小さなお皿の上に程よい量の辣白菜。レンゲが添えられている。

「チャーハンに混ぜてもおいしいからね」

ですよね。大量に辣白菜だけ買って帰りたいくらい好きです。

「はい、チャーハンお待ち」

具は真っ赤なチャーシューと卵のみ、珉亭のピンクのチャーハンがやってきた。距離はそんなに長くないとはいえ、3駅歩いたお腹はいい具合に減っている。チャーハンにかぶりつく。あまりに急いで口に運んだものだから、パラパラのチャーハンがレンゲから逃げる。膝の上に落ちた何粒かのチャーハンを慌てて拾い集めて口にもう一度運ぶ。辛いというよりは、しっかり味のついた白菜漬。醤油、ニンニク、粉唐辛子、ごま油で味付けされた白菜は副菜にしておきたくないおいしさです。チャーハンと一緒に辣白菜もパクリ。

「はい、ラーメンお待ち」

柔らかい細い麺と鶏ガラ、ゲンコツを煮込んだ透明なスープ。優しい味のラーメン。小口切りにされたネギも全て残さず平げる。

キンキンに冷えたお冷やを、ごくごく一気に飲み干す。おいしい町中華のお店って、水がおいしくないですか。はたと気がついて携帯にメモをする。

「ごちそうさまでした!」

「ありがとうございました!」

小沢健二さんのアルペジオ(きっと魔法のトンネルの先)の歌詞がふと頭に浮かぶ。ずっとずっと、ここにあって欲しいお店。ずっとご飯が炊かれて、麺が茹でられていて欲しいお店。

満腹のお腹。下北沢からは線路(があった)沿いをまっすぐ歩いて戻る。帰り道は、目的地までの到着が行きよりも早くなる。もう少しゆっくり回り道をして帰ればよかった。

あっという間に東北沢の駅に着いてしまうと、新宿のビルには明かりが灯っていました。