今シーズン初船出。
おはこんばんちわ。飯塚です。
春の訪れを感じる今日この頃。
やっと外遊びができる気温になってきました。
さぁ、海に出るぞー。
3月某日、日曜日。風のない快晴。
「そうだ。カヌーをしよう。」
夫は近所のいつもの友人達に一斉メールを送信。
昨年夏は彼らと近場を何度かカヌーをしたのでした。
幸い皆同じ年頃の子供達がいるので、親も子供達も一緒に楽しめる。
ロックダウンで他人の家の訪問も制限されていた為にしばらく会えていなかった彼ら。
外でカヌーなら大丈夫。
8月以降、久しぶりの航海。今シーズン初船出。
カヌーに行く、と聞くと、息子達はソワソワ。
6歳の息子1号も早く行こう、早く行こう、と急かし洗濯物を干すのを手伝い、2歳の息子2号はライフジャケットを着用して庭を走り回る。
私は大急ぎでランチのサンドイッチやスナック類、濡れた時用に着替えを用意。
車で5分で冒険できる便利さよ。
今日は家から車で5分のビーチが出発地。
三家族、それぞれのカヌーでレッツゴー。
息子1号、
「Today is the best day ever 」最高の日だ!
と大喜び。
息子2号、片手を水につけてパシャパシャ。
風がなく水は穏やかで気持ちいい。
雨風が続いた1月2月。日照時間も短く楽しい事があまりない冬は憂鬱だった。
春から夏はこんな遊びがまた始まるのね、また日焼け止めを塗る毎日が始まるな、と思いながらゆったり波に揺られる。
目的地は前もって決めておらず、途中で友人達とどっち行く〜?と。
結果、漕いで30分ほどで着くビーチに行きそこでピクニックをする事に。
ビーチに到着する寸前、背後を通過したボートの余波が来た。
ザンブリ波ひとつ越え、ふたつ越え、あと少しで到着。
と、その瞬間。
私達のカヌーは左右に大きく揺れたかと思うとそのまま回転、というか転覆。
隣りにいた息子2号があっという間に海中に投げ出された。
目を大きく見開き、頭から波をかぶる2歳児。
私は咄嗟に離れそうな息子のライフジャケットを両手で掴む。
と、同時に右手に持っていたスマホは手離してしまい。
夫はカヌーに下敷きになった息子1号を引っ張り出した。
私も頭から全身びしょ濡れになったものの、立つと波は腰の高さほどしかない。
なんだよ〜、あとちょっとで到着だったのに。
友人達のカヌー2槽は無事だったので、彼らはすぐさま自分達の子供用に用意した着替えの服を出してくれ、ずぶ濡れの息子達を着替えさせてくれた。
私もウォータープルーフのバッグに着替えはあったのに、あろう事かちゃんとファスナーが閉まっておらずに中身は全てずぶ濡れになっていたのだ。
ブルブル寒さに震える息子達。
私達を見ていた他の子達も、言葉なく恐怖で凍りつく。
2歳児はあまりのショックに泣きもせず、バスタオルを纏いただ呆然と海を見つめている。
おーい。スマホはどこだぁー。
子供が無事なので、私はふいに海に視線を戻す。
スマホ、無くなっちゃったよ…。波に運ばれないかな。
ま、写真や連絡先は全てMacBookと同期されているので、冷静に考えるとそれほど失う物はないのだけど。
4年前に買ったiPhone 7。
ある意味新しいスマホを買う口実になるんじゃないの?
なんてことも頭をよぎりつつ。
スマホケースに入れている運転免許証だけ申請すれば大丈夫か…。
到着したビーチも私達の村から車で5分ほどの場所のため、その日同行するはずだった友人に、私の夫用の着替えを持ってきて欲しいとメンバーの1人が電話をした。
友人家族達を残し、びしょ濡れの私達だけ退散。去り際、
「スマホ見つけたら私のだから拾っておいてね!」
とだけ言い残し。
駐車場にやってきた友人の車に私と息子2人は乗り込み、夫は濡れた服を着替え、彼だけまたビーチへ戻る。
夫はカヌーを元来たビーチに漕がないといけないのだ。
出発地の駐車場まで送ってもらい、私と子供達は車で帰ることに。
寒いしずぶ濡れだけど、すぐに家につく、という状況も手伝い、ビーチでは無言で震えていた息子達も暖かい車の中で元気を取り戻した。
「家についたら熱いシャワー浴びてホットチョコレートを飲もう!」
「Oh yeah !!」
てな具合。
家に着いたら息子1号はシャワーに直行。凍えた身体を温めながら海水と砂を洗い流す。
息子1号の後に私もシャワーを浴び身支度していると一階から息子が叫んでいる。
波は運んでくれました。
「Your phone is found!!! 」携帯見つかったよ!
「なんでわかるの?」
急いで階下に行くと、私達とカヌーに行った友人の1人が玄関先に立っていた。
彼女の家族も服が濡れたので服を取りに一旦家に帰ったらしい。
服を取りまたビーチに戻る途中で、彼女の携帯に私の携帯が見つかったと連絡が入ったそうだ。
「携帯あったらしいよ!良かったね。着替えたのね。またビーチ戻って皆でランチ食べる?私の車に乗りなよ!」
友達とビーチで遊びたい息子1号、彼女が聞くのを待っていたかのように靴を履き元気に家を飛び出した。
家に残った私と息子2号。
彼はビーチでは泣かなかったものの、シャワーは頑として浴びず、着替えもしたがらず泣きじゃくりソファから動かない。
とりあえずお気に入りのTVを見せながらパスタを用意して食べさせるとそのまま疲れて寝入ってしまった。
ショックだったよね、寒かったよね、疲れたね。
可哀想だったな。
しばらくすると同行した友人の一人が見つかった携帯を届けに来た。
期待せずにカバーを開けると、
え?携帯生きてる⁈
驚く私に友人は
「そうなのよ!すごいね!携帯大丈夫そうじゃない!」
バッテリー容量だけ2%となっているものの、画面上は普段と変わりない様子。
とりあえずチャージをしながらWhatsAppでカヌーメンバーにメッセージを送ってみると普通に使える!
スマホ、30分以上は海水に浸かっていたはずなのに。
耐水なの、コレ?
意外とたくましい我が家の6歳児。
しばらくすると夫と息子1号が帰宅。
夫によると、ランチを食べた後女性陣と子供達は皆カヌーには乗りたがらず車で帰った中で息子1号はまたカヌーに乗って出発地に戻ったらしい。
6歳児は誇らしげ。
「友達全員が怖いからもうカヌー乗らないって言ってたけど、僕はカヌーで戻ったんだよ!」
凄いな。
私だったらやっぱり今日はもうカヌーはいいや、って思うだろうにこの子は平気なんだ。
まぁ、確かに転覆して全身濡れたけど浅すぎて死ぬわけないし着替えさえすれば平気ではあるかも。
それにおそらく当事者よりも目撃者の方がショックや恐怖心が大きいのかもしれない。
私はとりあえず大量に積まれた海水と砂まみれの洗濯物を片付けるだけ。
家族全員が揃い安心した息子2号も夫と共にシャワーを浴び着替えて機嫌を取り戻した。
子供達の海への意識。
セーリングをやっていた夫は
「セーリングやってたら転覆なんてよくある事。落ちつけば怖くない。ただやっぱり釣りやカヌーは風が強い時は海に出たらダメだし、ライフジャケットは絶対着るんだよ。」
と息子1号に力説。幸い6歳児には特にトラウマになってないようだ。
夫は子供たちが二度とカヌーに乗りたくない、と言うのを一番恐れていたようだけど。
ただ、2歳児にとっては恐怖心が拭えず、寝る前に
「I don’t want to go canoeing anymore 」もうカヌーには行きたくない
と何度も繰り返す。確かに、しばらくは行きたくないよね。
無理もない。
沖で起きたら笑い事では済まない惨事になるはずだけれど、今回は失う物無く海の怖さは学んだ。
また、息子2号にとっては携帯を手放して息子を掴んだ事でママが助けてくれた!と信頼度が増したようでもある。
携帯を優先しなくて良かった。
水難事故もたまに報道されるアイルランド。
やっぱり水は怖いのです。
今回のことを肝に銘じて充分注意します。