短くて長い濃密な旅

先週末は0泊2日で山の旅に行ってきました。まだ誰も通ったことのないルートを走り、山から山、山から里をつなぎます。そして、そのルートをつないだ人たちの思いともつながる、そんな短くも、とても濃密な旅でした。

まだ夜が明ける気配すらない午前4時、熊本と宮崎の県境にある水上村を出発です。ヘッドライトの明かりを頼りに、九州の真ん中に連なる脊梁山地から、海に面する八代市を目指します。

撮影・球磨川リバイバルトレイル実行委員会

旅路の目的は、5月に開催されるトレイルランニングレース「球磨川リバイバルトレイル」の試走です。距離にして160km。その間に登っていく標高を足すと9000mオーバー、標高8,849mのエベレストを上回っています。

誘われて、ふたつ返事で試走をOKしたのですが、壮大すぎて途方に暮れそうな数字です。いざ走りはじめると、なんだか体が重いし、最後まで行けるのだろうかとちょっと弱気に。軽いノリでやるのはオススメできません。

途中で引き返そうにも、この辺りは九州でももっとも山深いエリア。一度入ったらなかなか抜け出すことができません。帰れないから進み続けます。

舗装路に出ようとしても、徒歩数時間となかなか出られないエリアです

40kmも走ると体が温まってきたのか、あれっ、なんだか楽しくなってきました。不思議なものです。気持ちが上向くと、あぁ来てよかった、となるから我ながら単純なものです。

九州脊梁はとても山深く、屋久島のような雰囲気も。苔むした木肌がいと趣深し。なかなか踏み入ることが難しい印象もありますが、独特の雰囲気にどっぷりハマる人も少なくありません。道中で何度となく見かけた手作りの看板も、脊梁を好きな人が多い証拠です。

苔に覆われてふかふか
色使いと書体が独自の世界観をつくりあげている道標

おおむね楽しいものの、体を酷使し続けるため、疲れた、苦しいという感情が織り込まれてきます。そのたびに山の起伏に加えて、感情の起伏も乗り越えねばなりません。
気持ちの振れ幅が大きいほど、得られるものも大きいはず。とそれっぽいことを自分に言い聞かせて、都合の悪いことは考えないようにします。得られるものが何かは知りません。その場がしのげればそれでいいのです。

さまざまな感情が浮かんでは消えていくように、景色もさまざまでした。

2日目の朝には雲海も。眠気がさめました

自然の美しさに目を奪われる一方、舗装路が大規模に崩落してしまったところや、一部がはがれてしまった川沿いの道もありました。

崩落した斜面をのぞきこもうとするだけで足がすくんでしまいました
ぽっかりと口を開いてしまったガードレールとの隙間

こうした傷跡は、昨年7月に起きた豪雨による被害です。今回試走したレースが企画されたのも、この豪雨災害からの復興を後押しするという狙いがあるからです。
川の源流から河口までを走り、豪雨がもたらした大きな爪痕と、そこから復興のあゆみを進める地域を見つめるというコンセプトがあります。

地元のランナーの手によって整備されて開通した区間も。水害から立ち上がった地域の象徴です。

雨の中、整備に当たっていたランナー「チームドラゴン」の面々。お疲れさまでした。撮影・球磨川リバイバルトレイル実行委員会

なんだか、いい感じにまとまってきたので、ゴールしたいところですが、実は試走では全区間を走れませんでした。ちょっと、ゴニョゴニョ、、、いろいろあって130kmくらいで終了です。どんなコースなのかは走ってみてのお楽しみ!

左がkjさん、脚の筋肉がギリシア彫刻のよう。中央のヨーコさんと僕はペアルック気味

一緒に走った魅力的な先輩もご紹介。山とカレーをこよなく愛する快男児・kjさんは、インドまで行き、山を走ってお腹をすかせて、現地のカレーを食べ歩くほど。今回も道中にカレーをおかわりした後、鍋肌に残っているルウをどら焼き、ピザパンできれいにすくって完食していました。

もうひとりのヨーコさんは、この山域のスペシャリスト。ひとりでコースを引いて昨年秋に別のルートで160kmを踏破しています。すらりとしたモデル体型のどこにそんな体力があるのでしょう。不思議です。。。