アイルランド的クリスマス(前編)

おはこんばんちわ。飯塚です。

気づけばもう12月半ば。

アイルランドではクリスマスのカウントダウンが始まっています。
今週と来週はメリクリな話です。

暗いからこそキラキラを求めます。

こちらは只今、日照時間がどん底期で暗いです。
現在の日の出は8時半過ぎ。朝が暗すぎて起きれず、連日子供達に起こされています。

一年でこの冬至明けにクリスマスを祝うのは暗くて寒い冬に気持ちを盛り上げるため、という説は北ヨーロッパにいると体感として理解できます。

クリスマスの装飾で街や家が華やぐことで気持ちを明るくしなければやってられないのです。
ヨーロッパ名物のクリスマスマーケットなどは街の夕方を賑やかにするために生まれたのでしょうね。

そうでもしない限り、人々は寒くて暗い街など歩かないですから。

残念ながらコロナの影響で今年のクリスマスはその明かりも灯りませんが。
ドイツをはじめとしたヨーロッパの大半でクリスマスマーケットはキャンセルされています。

ロックダウン中に行った町のファストフード店内。持ち帰りのみで店内飲食禁止のため、飲食スペースをフルにクリスマスデコレーションにする心意気が素晴らしい。

家の装飾に注がれる果てしない情熱。

アイルランドは10月中旬から11月末まで一番厳しいロックダウンをしていました。

連日コロナのニュースばかり、店もレストランも閉店していたので、嫌気がさした人々はクリスマスデコレーションに精を出しました。
例年ですと12月に入ってから飾るのが今年はハロウィン終わってすぐ飾り始める人が多かったのです。

このロジック、3月から5月のロックダウンと全く同じで。
当時も国民総出でガーデニングにやたらと精を出していたのでした。

12月1日から再開したガーデンセンターなどではクリスマスのライティングやデコレーションの売り上げが例年より遥かに上回ったそうで品切れになっているとか。

また、クリスマスツリーやリースは生の木を飾る人が多いのですが、今年の売れ行きはかなり良いようで、家に大きなツリーを二本も飾る人もいるのだそう。

生のクリスマスツリーはガーデンセンターを始めスーパーや幹線道路脇、ショッピングモールの駐車場とどこでも入手可能。
木は数週間のみ飾られ、年始には廃棄します。

日本と違い新年度の飾りはないので1月頭までクリスマスの飾りは残っています。
日本はクリスマスが終わってすぐ新年に変えないといけないから大変ですよね。

近所のスーパーの店頭で売られているクリスマスツリー。

アイルランドにいると日本人とは食への意識が違いすぎてたまに目眩しそうになりますが、その分アイリッシュは家にかける時間とお金は惜しみません。

寒冷地で家にいる時間が長いからでしょうね。

家や庭に電飾やたくさんのオブジェをコレでもか!!と飾る家々が近所にもあり、車に乗せてドライブすると我が家の子供達も身を乗り出して興奮します。

ガーデンセンターで売られているクリスマスガーデン用の装飾。

誰もがパリピになりたい12月。

日本では年末恒例の忘年会。
アイルランドでもクリスマスパーティという名目で12月は会社主催によるレストランディナーや大企業だとホテルの宴会場で大きなパーティを開催します。

仮に会社が負担してなくてもこの時期だけは同僚とクリスマスパーティをしたりもします。
普段は日本ほど仕事帰りに飲みに行く習慣がない国ですがクリスマス時期くらいはそれにかこつけて外食したい。

今年はコロナの影響で大企業のパーティは開催されないようですが。
日本の忘年会も同じ状況でしょうね。

外食産業にこれほど厳しい冬はあるのでしょうか。
来年はどうか改善していることを願うばかりです。

パーティーにはクリスマスの服を着ていくんですよ。
映画「ブリジット・ジョーンズの日記」でコリン・ファースの着ていたダサいクリスマスセーターにドン引きしたけれど驚くことにこの手の服はクリスマスパーティーで普通に着用されています。

命懸けなクリスマスショッピング。

おもちゃ屋や本屋さんはクリスマス前に年間の売り上げの60%を占めるのだそう。

アイリッシュはクリスマスショッピングにおそろしいほど浪費します。
自分の子供達へのサンタクロースからのプレゼントを始めとしてプレゼントは友人、家族、隣人用に用意。
更に同僚同士でプレゼント交換もあったり。

また、クリスマス休暇前に保護者が学校の先生にプレゼントを渡すのも慣わし。
昨年、学校一年目だったのでいわゆるママ友に事前確認したら、
「そうよ、プレゼント皆あげてるから忘れない方がいいわよ。」
とありがたいアドバイスいただきました。

中身は例えば、チョコレートの詰め合わせやキャンドルみたいなものが妥当なようです。

この風習を楽しいと思うか、苦痛に感じるか。
残念ながら私は後者。

誰が何を喜ぶのかわからないし、元々ショッピング自体が別段好きではありません。

それもあり、11月末頃から12月の買い物だとお店側も通常のレシートと共にプレゼント用のレシートを添付してくれます。

値段が書いてないそのレシートはプレゼントと共にあげるのです。プレゼントを気に入らない、または既に持っている人は、そのお店にもらった物とレシートを持って行けば同じ値段の別の物と交換できるのです。

昔は日本のお正月も静かでしたね。

クリスマス当日12月25日、アイルランドは基本的に全ての店、飲食店、公共機関(交通含む)休みます。

厳密に言うとパブやレストランを開けることは法律で禁じられています。
ここ近年はガソリンスタンドなどは開けるようになってきていますが。

便利でありがたいと思う人は確かにいるでしょうが、実はこの現象を快く思わない人も多いのです。

一年で一日、家族で過ごす日にスタッフを稼働させることに反発を覚えそのオーナーにアンチ的な感情になり二度とそこを使わないようにする、などと言うのです。

日本は確かに便利で特にサービス業はお客様至上主義ですが、ヨーロッパは個人や家族と過ごす時間を優先しているところがあります。
便利さと引き換え伴う犠牲の捉え方が違います。

ヨーロッパ式にやっと慣れてきた私には日本のサービスは素晴らしい、よりも時に過剰にすら感じスタッフや企業への負担や犠牲を考えてしまうのです。

クリスマス当日は誰かの家で家族や親戚が揃い、プレゼント交換をし、クリスマスディナーを食べる。

出掛けるのは教会にクリスマスのミサに行くぐらいです。

賑やかな街中は店が全て閉まっていてとても静かなんだろうな、と毎年思います。
一度そんなシティを見てみたいです。

年賀状と同じ意味合いで送り合うクリスマスカードも含め、ヨーロッパのクリスマスと日本の正月は同じようなものです。

来週はクリスマスの食べ物の話をします。

西果て便り

(毎週木曜日更新)
世界放浪の後にヨーロッパの西端アイルランドに辿り着く。海辺の村アイリッシュの夫、と3人の子供達(息子二人、娘一人)と暮らしています。