その言葉を信じるなかれ。

おはこんばんちわ。飯塚です。

日本にいる頃、なぜか本音と建前は日本人独特のものだと勝手に思っていました。
お世辞も日本人しか言わないとか。

なんでだろう。コレ、大きな誤解でした。
※今日の写真は数年前に友人とアイルランド旅行をした時のものです。

今思うと私も初めの頃、勘違いしてた。

アイルランドに住んで驚いたことの一つは、アイリッシュは日本人とは比較にならないほど本音と建前があり、お世辞を大袈裟過ぎるほど言うという点。

アイルランドに住む日本人の友人、旦那さんがアイリッシュではなく且つ周りにアイリッシュの友人がいないと
「アイリッシュは凄く褒めてくれる!めちゃくちゃいい人ばっかり!!」
と勘違いしていましたが、真相はただのお世辞がほとんどです。
(知らない方が幸せかもね。)

当のアイリッシュでさえ、「アイリッシュの褒め言葉は信じられない」と言うほどですから大仰に褒められてもその言葉を鵜呑みにしてはなりません。

例えば、赤ちゃんを連れている人に
「Such a beautiful baby!! He is so gorgeous. すごく綺麗な赤ちゃん、彼は本当にハンサムね」

とべた褒めしながらも、その人が去った瞬間に
「I never seen such a ugly baby あんなブサイクな赤ちゃん見た事ないわ」
と言うのを聞いた時は我が耳を疑いました。

Kilkennyにあった可愛らしい通り。

そこまで褒める必要があるのか?!

また、Facebookで肥満体型の女性がドレスアップした写真をアップすると、たくさんのいいね!がつき、コメントも
Gorgeous!! 
Beautiful! 
Amazing!
 とべた褒めしながら
「この体型であんなポーズ取って写真アップするなんてよく恥ずかしくないわねwww」
と影ではボロカスに言っているのが実情です。

そこまで強烈な陰口叩くならお世辞も言わず、Facebookの投稿だって無視すればいいのに、と元々お世辞下手で正直者な私は不信感を抱いています。

噂によると女性陣は本当に美しい人には嫉妬心が働き不愉快になるだけなので逆に無視。
いいね!もしなければコメントも残さない。

綺麗ではないのに勘違いして写真をアップしている人を嘲笑いながらワザと褒めるんだ、という説があり、コレが本当なら善意のはずのお世辞がもはや悪意にしか見えないのは私だけなのか。
ちょっと歪んでるでしょ。
だからか、もうFacebookに投稿する人などほとんどいないのですけど。

で、これって単に私の周りの人だけが性格歪んでるだけなんじゃない、と思ったあなた。

ちゃんと他に証言を集めました(何のために?)。

友達いないからインスタで愚痴くらい言わせてね。

私も自分の周りだけなのかも、と思いつつ、たまに愚痴を兼ねてインスタにこういう話をツラツラ書いたりすると、アイルランドの北や西や東に住む日本人の方々から賛同の声が届くからです。

「アイリッシュの褒め言葉怖い」
「あそこまで褒める意味がわからない」
「アイリッシュに褒められても全然嬉しく思えない」
などなど…。

この過剰なお世辞を通り越した嘘は国民性だったのか!
これで少しは納得出来ました。

インスタでは会った事も、名前も知らない異邦人同士が肩を寄せ合いながら時々愚痴を言っては日頃の溜飲を下げています。

夫に真相を尋ねたところ、アイリッシュにとって褒めることが礼儀。
相手をいい気分にさせたんだから陰で何言ってもいい。
日本人とは違った形の善意だよ。
だそうで。

で、お世辞や褒め言葉の一つ言えない日本人はマジで気が利かないわー!くらい思われてるんですよ、ワタクシ。

ダブリンのトリニティカレッジの図書館は有名な観光スポット。この荘厳な雰囲気に圧倒されます。尚、ここで本を借りたり読んだりすることはできません。

OKの真意、なぜ誰も教えてくれなかったのか…。

これはイギリスも同じです。
イギリスで語学留学した際も、先生が授業中の雑談で話していました。

「イギリス人の褒め言葉を額面通り受け取らないでね。英語は褒めるのが礼儀。実は言葉の裏に皮肉の意味も多分にある。状況や言う人の表情を見て本音を探るのよ」と。
その場にいたイタリア人やスペイン人達は面倒くさそうな顔してました。

また、最近Twitterで在米日本人が、仕事でべた褒めされているように聞こえてもそのまま受け取るな、と警告していたのでアメリカも同じような感覚かもしれません。
逆に貶したりは滅多にしないそうで、大体下記のような感覚なんだとか。

Excellent=Good
Very good=So so
Good=OK
OK=Bad
Not to bad=Bad
Bad=Bad

OK やNo problem は本音では不満レベル。
Badは本当に酷く救いようがない時にしか言わないのだそう(だから日本人もよほどの時以外は使わないように、と)。
語彙力やリスニングスキルとはまた別に、人間関係をうまく築くにはこう言うニュアンスを知っておく必要があるのに指摘してくれる人はなかなかいないのが現実です。

しかしまた、よく考えると日本語も似ています。
ビジネスでも
「検討します」
とか、プライベートでも
「考えておくね」
がイエスという意味ではないことは暗黙の了解だったり。

日本語のこの点に混乱する外国人が多いとはよく聞くので、いつか日本で痛い目に合ったアイリッシュやイギリス人とビール飲みながら
「あんたの国の方がえげつないわ!」
とか言い合ってみたいものです。

アイルランドといえばギネスですが、私のイチオシはコレ、Kilkennyです。日本でもこれを置いているアイリッシュパブがあります。

西果て便り

(毎週木曜日更新)
世界放浪の後にヨーロッパの西端アイルランドに辿り着く。海辺の村アイリッシュの夫、と3人の子供達(息子二人、娘一人)と暮らしています。